↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星脈のほとりで、俺たちは気づいた  作者: pokupi
第2章:「星渡りの街に満ちる違和感」
42/64

第41話 もやもやは消えなかった

 手伝うと言ったものの、どうしたらいいのか分からなかった。

 どうしてあんなことを言ったのだろう。

 考えてみれば、理由はいくつかあった。九十九への同情もあった。でも一番大きかったのは、楓だけに負担をかけたくないという気持ちだった。あの夜、楓が一人でテントを出ていく後ろ姿を見てしまった。それからずっと、何かが引っかかっていた。

 もし楓が望んでそうしているなら、それでいい。でももし、無理をしているなら。

 そう考えると、自分にも何かできることがあるはずだと思った。九十九のスキルへの興味も、正直に言えば少しあった。でもそれを認めるのは、なんだか気恥ずかしかった。

 いろいろな考えがぐるぐる頭を巡った。それでも、意を決した。

 

 ⸻

 

 ある野営の日、食事の片付けをしながら楓に小声で伝えた。

「今日、手伝う」

「……わかった」

 楓は短くそう答えた。その顔が、心なしか元気のないものに見えた。

 何か言おうとしたが、言葉が出てこなかった。片付けを続けた。

 

 ⸻

 

 夜になった。瑠奈はもう寝ているようだった。楓のテントは静かだった。きっと分かっているはずだった。

 二階堂はそっと自分のテントを出て、九十九のテントへ向かった。入口の前で、一度立ち止まった。

 深呼吸をした。

「起きてる」

 声をかけると、中から驚いたような声が返ってきた。

 二階堂は素早く中へ入った。

「二階堂さん、どうしたんですか」

 九十九が目を丸くしていた。二階堂はその横に寝た。

「えっと、その、スキルポイント……」

 それを言うのが精一杯だった。

「もしかして一ノ瀬さんに聞いたんですか。その、無理はしないでください」

 九十九が気遣うように言った。

 二階堂は黙ったまま、しばらく動けなかった。心臓が速かった。耳が熱かった。

「……無理じゃない」

 そう答えるまでに、ずいぶん時間がかかった気がした。

 それから、そっと抱きついた。

 九十九はほっそりと締まった体ながら、女性らしい柔らかさと膨らみにドキドキした。なんて節操がないのだろうと思いながらも、抱き返していた。

 

 ⸻

 

「二階堂さん、ありがとう。おかげでスキルポイント増えました。ただレベル譲渡は条件がよく分からないです」

「まあ、続けていればいつかは上がるだろう」

 二階堂は視線を逸らした。

「また……」

 それだけ言って、そっとテントを出た。

 

 ⸻

 

 楓はテントの中でずっともやもやしていた。

 きっと今頃、二階堂さんと。

 考えないようにしようとした。でも考えてしまった。九十九のスキルはこの世界で価値があるものだ。だから協力者が増えるのはいいことのはずだった。

 頭では分かっていた。

 それでも、もやもやは消えなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。