第41話 もやもやは消えなかった
手伝うと言ったものの、どうしたらいいのか分からなかった。
どうしてあんなことを言ったのだろう。
考えてみれば、理由はいくつかあった。九十九への同情もあった。でも一番大きかったのは、楓だけに負担をかけたくないという気持ちだった。あの夜、楓が一人でテントを出ていく後ろ姿を見てしまった。それからずっと、何かが引っかかっていた。
もし楓が望んでそうしているなら、それでいい。でももし、無理をしているなら。
そう考えると、自分にも何かできることがあるはずだと思った。九十九のスキルへの興味も、正直に言えば少しあった。でもそれを認めるのは、なんだか気恥ずかしかった。
いろいろな考えがぐるぐる頭を巡った。それでも、意を決した。
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ある野営の日、食事の片付けをしながら楓に小声で伝えた。
「今日、手伝う」
「……わかった」
楓は短くそう答えた。その顔が、心なしか元気のないものに見えた。
何か言おうとしたが、言葉が出てこなかった。片付けを続けた。
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夜になった。瑠奈はもう寝ているようだった。楓のテントは静かだった。きっと分かっているはずだった。
二階堂はそっと自分のテントを出て、九十九のテントへ向かった。入口の前で、一度立ち止まった。
深呼吸をした。
「起きてる」
声をかけると、中から驚いたような声が返ってきた。
二階堂は素早く中へ入った。
「二階堂さん、どうしたんですか」
九十九が目を丸くしていた。二階堂はその横に寝た。
「えっと、その、スキルポイント……」
それを言うのが精一杯だった。
「もしかして一ノ瀬さんに聞いたんですか。その、無理はしないでください」
九十九が気遣うように言った。
二階堂は黙ったまま、しばらく動けなかった。心臓が速かった。耳が熱かった。
「……無理じゃない」
そう答えるまでに、ずいぶん時間がかかった気がした。
それから、そっと抱きついた。
九十九はほっそりと締まった体ながら、女性らしい柔らかさと膨らみにドキドキした。なんて節操がないのだろうと思いながらも、抱き返していた。
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「二階堂さん、ありがとう。おかげでスキルポイント増えました。ただレベル譲渡は条件がよく分からないです」
「まあ、続けていればいつかは上がるだろう」
二階堂は視線を逸らした。
「また……」
それだけ言って、そっとテントを出た。
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楓はテントの中でずっともやもやしていた。
きっと今頃、二階堂さんと。
考えないようにしようとした。でも考えてしまった。九十九のスキルはこの世界で価値があるものだ。だから協力者が増えるのはいいことのはずだった。
頭では分かっていた。
それでも、もやもやは消えなかった。




