第40話 私も手伝う
その日はなんだか眠りが浅かった。
だからだろうか、気づいてしまった。
誰かがテントから出て、静かに歩いていく音がした。テントの隙間から外を覗くと、楓だった。
楓は九十九のテントまで行くと、すぐに中へ入った。
やはり、二人はそういう関係なのか。恋愛音痴な自分でも、なんとなく分かった。
テントを閉じて、また寝ようとした。でも気になって、そっと様子を見に行ってしまった。
のぞき見するなんて、はしたない。
頭ではそう思いながらも、足が止まらなかった。
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二人の会話がかすかに聞こえた。
レベルが上がった、スキルポイント、手伝う。何の話なのか考えながら、もう自分のテントに戻ろうとした。
そのとき、少し荒い息遣いが聞こえてきた。
もしかして、これって。
耳まで真っ赤になって、その場を動けなくなった。
何かをこらえる声がしたと思ったら、静かになった。それから楓の驚いた声が聞こえた。レベルが上がったとか、下がったとか言っていた。
いったい何なのか。その……そういうことを九十九くんとすると、レベルが上がる?
まさか、そんな。
そういえば、レベル10になったとき楓の様子が少しおかしかったことを思い出した。
顔を真っ赤にしたまま考えていると、楓が九十九のテントから出てきて、自分のテントに戻っていった。
しばらくして、ようやく冷静さが戻ってきた。
そっと、自分のテントに戻った。
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今日は一旦街に帰ることにした。
皆と別れた後、迷ったあげく楓に連絡した。
すぐに返事が来た。喫茶店のような店で待ち合わせた。
テーブルについて、楓が「どうしたんですか」と聞いてきた。なかなか本題に切り出せなかった。
付き合っているとか、そういうことを聞くのは野暮な気もした。そもそもどう切り出せばいいのか分からなかった。
でもレベルやスキルポイントのことも気になった。
「澪さん、大丈夫ですか」
楓が心配そうに見つめてきた。気づかないうちに、表情がころころ変わっていたらしい。
意を決して、遠回りに聞いた。
「楓は、その、九十九くんと付き合っているのか。そうなら少し考慮してあげないと思って」
「いえ、九十九くんとはそんな関係じゃないです……」
楓は恥ずかしそうに少し下を見て答えた。
二階堂は驚いて、思わず口にしてしまった。
「付き合っていないのに、あんなこと——」
言いかけて、口を押さえた。
楓が真っ赤になって慌てて答えた。
「違います違います、私は九十九くんのお手伝いを」
「お手伝いで、体の……」
男女関係が苦手な二階堂は、顔を真っ赤にしてしまった。
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そのあとどういう話をしたか、あまり覚えていなかった。楓が「いったんお店を出ましょう」と言って会計してくれて、二人で外へ出た。神殿の庭園へ向かった。
落ち着いてから、話し始めた。
「楓、ごめん。のぞき見するつもりはなかったんだけど」
「……」
「レベルやスキルポイントなんて言葉が聞こえてきたから、つい」
楓は黙っていた。
「そしたら、あの……」
二階堂は真っ赤になって下を向いた。
「そのあと、レベルが上がったとか聞こえてきて」
「隠すつもりは……ってその、あまり人に話せる内容じゃなくて」
楓はぽつぽつと話し始めた。九十九の職業特性で、スキルポイントがレベルアップでは獲得できないこと。協力していること。レベルが上がるのは条件が分からないが職業固有スキルの効果だということ。それからハーレムメンバーのことも、正直に話した。
二階堂はしばらく考え込んでいた。
顔を真っ赤にして、立ち上がった。
「私も手伝う」
楓は思わぬ発言に困惑した。でも拒否できなかった。
胸の奥が、もやもやした。




