第39話 耳まで、真っ赤だった
近くのダンジョンへ通い続けて、四人での戦闘にもだいぶ慣れてきた頃、難易度の高いダンジョンへ挑むことになった。
街から離れているため、野営をしながらの攻略になる。野営道具と結界の魔道具を収納魔法に入れて準備した。結界の魔道具は魔物などの外敵を範囲内に入れない便利な道具で、一人一個ずつ持つ必要があった。この世界で野営するには必須の装備だった。
現代人の四人は野営に不慣れだった。最初は一泊だけにして、慣れるごとに少しずつ日数を増やしていった。
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野営地はダンジョンから少し離れた開けた場所だった。
女子三人がそれぞれテントを設営し始めた。3つとも近い場所に固まっていた。九十九は少し離れた場所にテントを張ろうとした。
「九十九くん、別に近くでもいいのよ」
二階堂が顔を上げて言った。
「いや、大丈夫」
九十九はそのまま少し離れた場所に設営した。それぞれが結界の魔道具を起動した。淡い光の膜が、それぞれのテントの周囲に広がった。
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夜遅く、デバイスにメッセージが届いた。
「起きてますか」
一ノ瀬からだった。
「起きてる」
返事を送ると、すぐに続きが来た。
「澪さんと瑠奈さんはもう寝たみたいなので、そっちに行きますよ」
「わかった」
短く返した。
しばらくして、テントの外で気配がした。九十九は急いで結界の隙間を調整して、一ノ瀬を中へ入れた。
一人用のテントは狭かった。一ノ瀬が横に寝そべると、顔がすぐ近くにあった。九十九は気恥ずかしくて、上を向いた。
「どうしたのですか」
「安全のため領域鑑定を実行して寝てるのですが、動物か何かにも反応するようで起きちゃうんです……それでもし九十九くんが起きてればと思って」
一ノ瀬の声は少し早口だった。
「ところでまたレベル上がってますね。ごめんなさい、勝手に鑑定使って……スキルが心配なので見させてもらいました。実は私もレベル上がったんですよね」
「そうなんだ」
「でもやっぱり、スキル増えてないですよね……大丈夫です、手伝いますから」
一ノ瀬は静かに覆いかぶさってきた。
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「えっ」
終わった後、一ノ瀬が驚いた声を上げた。視界の端に通知が浮かんでいた。レベル譲渡が、また発動していた。
「ごめんなさい、手伝うつもりがレベル下げてしまって……」
「大丈夫」
九十九は天井の布地を見ながら言った。
「たぶんこの時のためにレベル上がるの早いのだと思う。それにレベル下がっても強さほとんど変わってないから」
「ならよかった。新しいスキル取れそう?」
「まあなんとかな」
一ノ瀬は少し笑ったような声を出した。
「また手伝うからね。二人に気づかれるといけないから戻るね」
そっとテントを出ていった。
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その様子を、木の影から見ていた一人の女性がいた。
長い黒髪が月明かりに照らされていた。
耳まで、真っ赤だった。




