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星脈のほとりで、俺たちは気づいた  作者: pokupi
第2章:「星渡りの街に満ちる違和感」
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第34話 私たちは、何なのだろう

 ダンジョンから帰って、三上瑠奈は部屋の鏡の前に立った。

 いつもと同じ顔だった。金髪ソバージュが帽子の跡でわずかに乱れていた。それだけだった。

 召喚されてから、かなりの月日が経っていた。

 変わっていない。

 顔つきも、体型も、召喚された日とほとんど同じだった。これだけ毎日ダンジョンに潜って、魔物と戦い続けているのに。普通なら鍛えれば体つきが変わるはずだった。筋肉がついたり、顔が引き締まったり、そういう変化があるはずだった。

 何もなかった。

 

 ⸻

 

 着替えながら、考えた。

 レベルが上がると力がつく。それは間違いなかった。魔法の射程が伸びて、威力が上がって、連発しても魔力が続くようになった。でもそれって何なのだろう。筋肉がついたように見えない。体が大きくなったわけでもない。

 魔力は目に見えないものだから、見た目に変化が出ないのかもしれない。そう考えれば説明はつく。

 でも髪はどうだ。

 ルーヴェ村にいる頃に澪が気づいていた。召喚されてから髪が伸びていない。爪も同じだった。切れば短くなる。でもある長さから先には伸びない。召喚された時の長さに戻るだけだ。

 これは再生? それとも維持?

 生理現象は起きている。食事も必要だし、眠くもなる。代謝は働いている。なのに体の形だけが変わらない。

 肉体が、一定の状態を維持しているのではないか。

 何かが、そうさせているのではないか。

 

 ⸻

 

 夕食の後、三人で宿屋の食事処に残っていた。

「ねえ、私たちって体つき変わらなくない?ずっと戦ってるのに」

 澪と楓が顔を上げた。

「言われてみれば……まあそういうものじゃない?」

 澪があっさり答えた。

「髪も爪も伸びないですしね」

 楓が少し考えてから言った。

「それって変じゃない?普通鍛えたら体変わるじゃん」

「変といえば変だけど、今更じゃない」

 澪はそう言ってお茶を飲んだ。楓も特に深くは追わなかった。

 瑠奈は二人を見た。二人とも、それ以上考えるつもりはない様子だった。

 

 ⸻

 

 部屋に戻って、瑠奈は手のひらを見た。

 魔法を撃つ時はここから力が出る感覚がある。でもこの手のひらは召喚された日から何も変わっていない。同じ大きさで、同じ形で、同じ皮膚だった。

 一体何なのだろう。

 私たちは、何なのだろう。

 答えは出なかった。でも考えることをやめられなかった。手のひらをただ見つめたまま、部屋の明かりだけが白く灯っていた。

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