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星脈のほとりで、俺たちは気づいた  作者: pokupi
第2章:「星渡りの街に満ちる違和感」
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第31話 大丈夫ですから

 部屋の扉を閉めて、二人は声を落とした。

 ポニーテールの子が、ベッドの端に座ったまま膝の上で手を握り合わせた。おっとりした顔が、今日は少し青ざめていた。

「本当にこれで大丈夫なの?絶対魔道デバイスで監視されてるはずだよ」

「だから置いていくんじゃない」

 ショートヘアの子が窓の外を見ながら答えた。活発そうな顔に、珍しく緊張の色があった。

「私の遠見のスキルでこっちに小さな村が見えた。まずそこへ行って身を隠せばいい」

「でも……」

「帰りたいんでしょ。私も同じ。ここにいたって怖い思いするだけじゃない」

 ポニーテールは少しの間黙っていた。それから頷いた。

「……分かった」

 二人は魔道デバイスを机の上に置いた。並べて、確認した。

 部屋を出た。

 

 

 人目を避けながら商業区の門へ向かった。行き交う人の流れに紛れて、できるだけ自然に歩いた。門を通り過ぎた瞬間、ポニーテールが小さく息を吐いた。

 農業区に出た。畑の間の道を走った。外壁の門が見えてきた。くぐった。

 外壁の外は静かだった。舗装されていない道が続いていた。二人は走り続けた。どのくらい走っただろうか。荒れた道が続いて、息が上がってきた頃、ようやく遠くに小さな村の影がかすかに見えてきた。

「あれじゃない」

 ショートヘアが指差した。ポニーテールも頷いた。二人は走った。

 その瞬間、光が弾けた。

 

 

 気づいたら、神殿の前にいた。

 息が上がっていた。二人とも膝に手をついて、周囲を見渡した。アルヴェナの神殿だった。走り出す前と同じ場所だった。

 正面に神官が立っていた。いつからいたのか分からなかった。穏やかな顔で、こちらを見ていた。

「危ないところでしたね」

 怒っていなかった。声のトーンが変わらなかった。

「道を間違えておられましたよ」

「あ、えっと……」

 ポニーテールが口を開きかけた。神官は笑顔のまま続けた。

「それに魔道デバイスをお忘れになってお出かけになるなんて、危険ですよ」

 一拍置いた。

「でももう安心してください。大丈夫ですから」

 二人は何も言えなかった。神官はそのまま神殿の中へ戻っていった。

 

 

 部屋に戻った。

 机の上を見た。デバイスがなかった。置いていったはずだった。二人で確認してから出たはずだった。

 ポニーテールが収納魔法を確認した。

 あった。

 ショートヘアも確認した。同じだった。

 二人は顔を見合わせた。

 引きつった笑みを浮かべるしかなかった。頭の中で、神官の声が繰り返された。

 大丈夫ですから。

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