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星脈のほとりで、俺たちは気づいた  作者: pokupi
第1章:「灯火の村と、始まりの嘘」
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第24話 言える理由がなかった

 魔物が崩れて、光の粒になって消えた。

 残滓が空気に溶けていくのをぼんやり見ていると、二階堂が静かにステータスを確認した。少しの間があって、息を吐いた。

「やっと10になった。結構かかったな」

「澪ちゃんが10になったら私もすぐだけどね」

 三上があっさり言った。二階堂が楓の方を見た。

「そうすると楓ももうすぐだね」

「う、うん。私も頑張らないと」

 自分でも分かった。返事が変だった。

 三上が少し首を傾けた。

「なんか変な返事」

「そ、そんなことないよ」

 二階堂は特に何も言わなかった。でも一瞬だけ、楓の方を見た。その視線がすぐに外れたのを確認してから、楓は前を向いた。

 レベル譲渡で、すでに達成していた。二階堂にも三上にも、言えなかった。言える理由がなかった。

 胸の奥に、小さな引っかかりが残った。

 

 ⸻

 

 セーフティエリアで休憩しながら、三上が天井を見上げて言った。

「レベル10になったら次の街なんだよね。どんなところなんだろ」

「全員が10になってから移動だから、あとどのくらいかかるかな」

 二階堂が静かに答えた。

「……そうですね」

 楓は相槌を打ちながら、別のことを考えていた。次の街へ行ったら、九十九くんとはどうなるのだろう。同じ街になるのか、別々になるのか。そもそも、この先も今と同じように会えるのか。

 三上はすでに次の街への興味を口にしていた。二階堂は表情を引き締めて、何かを考えているようだった。

 三人とも、同じ話をしながら、少しずつ違うことを見ていた。

 

 ⸻

 

 ダンジョンを出て、楓と三上と別れた後、二階堂は一人で歩いた。

 全員が10になるまで待てばいい。そうすれば転送される。それまでの間、休んでいても誰も何も言わない。

 でも足は止まらなかった。

 この先どうなるか分からない。分からないなら、動いていた方がいい。そう決めたのは自分だった。誰かに言うつもりはなかった。言う必要もなかった。

 居住区とは反対の方向へ、二階堂は歩き続けた。

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