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星脈のほとりで、俺たちは気づいた  作者: pokupi
第1章:「灯火の村と、始まりの嘘」
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第16話 魔法ってなんだろう

 おかしい。

 ダンジョンの通路を進みながら、ずっとそのことを考えていた。

 前方に魔物が現れる。反射的に杖を構えて火の魔法を放った。直撃。魔物が光となって消える。

 また魔法を使った。

 また同じ疑問が浮かんだ。

「瑠奈、どうしたの? さっきから変な顔してる」

 澪ちゃんが振り返る。

「変な顔してない」

「してるよ」と楓ちゃんが言った。

「……ちょっと考えてることがあって」

「何を?」

 答えようとして、うまく言葉にできなかった。

「後で」

 

 ⸻

 

 セーフティエリアで休憩を取った。

 石造りの壁に囲まれた小さなスペース。魔物は入ってこられない。三人で座って水を飲んだ。

「ねえ」

 口を開いていた。

「魔法って、何だと思う?」

 澪ちゃんが少し考えてから答えた。

「使えればいいんじゃない?」

「楓ちゃんは?」

「確かに不思議ですよね。なんで使えるのかって考えたことはあります」

「でしょ」

 杖を膝の上に置いて、続けた。

「私、火と水の魔法が使えるじゃない」

「うん」

「同時に発動しても打ち消し合わないんだよね」

 澪ちゃんが首を傾げる。

「そういうものじゃないの?」

「普通に考えたら打ち消し合うはずなんだよ。火と水なんだから。でも打ち消し合わない」

「……言われてみれば」

 楓ちゃんが眼鏡の位置を直した。

「詠唱もしてないよね、私たち」

「そう。なんで発動できるのか、感覚では分かるんだけど理屈が分からない」

 魔力を使う時の感覚は確かにある。何かを引き出すような、押し出すような感覚。でもそれが何なのか説明できない。

「魔力って何なんだろう」

 誰も答えなかった。

 

 ⸻

 

 休憩を終えてダンジョンを進む。

 戦闘をこなしながら、観察を続けた。

 魔法を使うたびに気づくことが増えていく。発動する時の感覚。魔力が動く方向。炎が広がる形。水が流れる軌跡。

 バラバラに見えて、どこかに規則性がある気がした。

 まるで誰かがルールを決めて、そのルールの上で動いているみたいだ。

 自然現象じゃない。

 設計されている。

 そんな気がした。

「瑠奈、また変な顔」

 澪ちゃんの声で我に返る。

「してない」

「してる」と楓ちゃんまで言う。

 

 ⸻

 

 ダンジョンを出て、居住区へ戻る途中だった。

「魔法って」

 また口が動いていた。

「誰かが作ったルールの上で動いている気がする」

 澪ちゃんと楓ちゃんが顔を見合わせた。

「どういう意味?」

「分からない」

 正直に答えた。

「でも気になる」

 二人はそれ以上聞いてこなかった。聞いても答えが出ないと分かったのかもしれない。

 部屋に戻って、杖を眺めた。

 小さな炎を手のひらの上に灯す。揺れる炎を見つめながら、また考え始めた。

 なぜこれが存在するのか。

 なぜこのルールで動いているのか。

 答えはまだ出ない。

 でも観察をやめることができなかった。

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