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星脈のほとりで、俺たちは気づいた  作者: pokupi
第1章:「灯火の村と、始まりの嘘」
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第09話 三上瑠奈

 今日もダンジョンへ向かう。

 先頭には澪ちゃん。隣には楓ちゃん。いつもの三人だった。

 召喚されてから1か月。最初は何もできなかった私たちは、少しずつ慣れてきていた。新しい魔法も覚えた。前よりずっと強くなっている。……たぶん。

「今日は順調に進めそうね」

 澪ちゃんが前を見ながら言う。私は杖を握り直して頷いた。

 ダンジョンの通路を進むと、前方に魔物が現れた。二体。

 澪ちゃんが剣を抜く。一歩踏み込んで一体目を斬り倒し、そのまま二体目へ向かう。

 早い。

「すごい!」

 楓ちゃんが声を上げる。私は前を向いたまま、杖を握る手に少しだけ力を込めた。

 その後も戦闘は続いた。澪ちゃんが前衛、私が後衛、楓ちゃんが補助。理想的な連携だ。それでも魔物を倒すたびに「澪さんすごい」「助かった」という声が聞こえてくる。

 次の角を曲がった瞬間、魔物が現れた。

 考えるより先に杖を構えていた。火の魔法が直撃する。爆ぜる炎。魔物は近づくことすらできずに倒れた。

「おおっ!」

 楓ちゃんが目を丸くする。私は無言で前を向いた。でも口元が緩んでいるのは自分でも分かった。

 次の戦闘も魔法。さらに次も魔法。魔物が見えたら先に撃つ。気づけば澪ちゃんより先に動いていた。

「瑠奈」

 振り返ると澪ちゃんが困った顔をしていた。

「魔力、大丈夫?」

「大丈夫」

「飛ばしすぎじゃない?」

「だって倒せるし」

「瑠奈さん、もしかして張り合ってる?」

 楓ちゃんの声に、足が止まった。

「違う」

「今日すごく頑張ってるもん」

「いつも頑張ってるし」

「じゃあやっぱり張り合ってるんだ」

 言葉が出なかった。耳の先が熱くなる。

「……澪ちゃんばっかり活躍してるから」

 口から漏れた瞬間、しまったと思った。

 沈黙。

 それから楓ちゃんが吹き出して、澪ちゃんも小さく笑った。

「別に競争じゃないでしょ」

「分かってる」

 私はそっぽを向く。分かっている。三人で生き残ることの方が大事だ。誰が何体倒したかなんて関係ない。

 それでも負けたくないと思ってしまう。昔から負けず嫌いだった。テストも、何でも負けるのは嫌だった。

「瑠奈ちゃんらしいね」

「らしくない」

「らしいよ」と澪ちゃんまで言う。

 私は頬を膨らませた。でも二人が笑っているのを見ていると、杖を握る手から少しだけ力が抜けた。

「次は私が倒すからね」

 二人がまた笑う。

 私はもう前を向いていた。

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