友人と呼ぶには01
あれから、リリアとは仲が良くなってきている、と思う。
うん、確実に。 誰もがそう思っているだろうと、私でも思う。
けど、私自身がこの関係をあまり乗り気じゃないとだけ言っておきたい。
何故かって? それは今から話します。
「アリス様、難しいお顔をなさってますね」
「ルーイ、来ていたの。…今、リリアの事を考えていたの」
「リリア様の事を。珍しいですね、アリス様が他人の事で頭を悩ませているのは」
ルーイの言い方じゃ、まるで私が考えていないみたいじゃない!
失礼しちゃうわ。
「リリアと初めて会った時に感じた、あの禍々しい気配」
「あっ、言っちゃうんですね」
「事実だもの。ちょっとルーイ…話の腰を折らないでちょうだい。あれを感じてから暫く経つけど、昨日また感じたのよね。なんなの、彼女は。二重人格と言ったら、本当にその障害になってる人には失礼かもしれないけど。違和感はそれを彷彿とさせるなにかがあるのよ。…考えすぎなら、それで良いのだけど」
話し方や仕草はリリアそのもの。
けれど、雰囲気と言うかオーラと言うか、それが異なるのが事実。
シャノンも、それを感じたと言っていたし。
…あの子は本当に、良くわからない子だわ。
リリアの母親に出逢ったあの日、あの人が言っていたあの言葉。
私が幸せになれない、みたいな事を言っていたよね。
勝手に決め付けてくれちゃって、私は私で対策するから良いけど。
…クラウス様はどうしよう。
婚約破棄されても別に良いけど、それはそれで私は面白くないし。
悪役令嬢を演じなきゃいけないのに、未だに出来てない。
「…ルーイがそれをさせてくれないから、なんだけど」
噂は噂だと思ってくれているようだから、クラウス様は人を見る目があるのよね、きっと。
人を見る目がないのは、私か。
「オースティン、城からなにか連絡はあった??」
「いえ、お嬢様宛のものはなにも。手紙が一通、公爵様宛に届いておりました」
誰からかしら? お父様に手紙を書いたのは。
私が考えに浸っていると、ルーイにおでこをピンと叩かれた。
其程力を入れてなかったから良いものの、私は驚いて顔を上げる。
「まーたなにか考え込んでたな?…そのクセ、治らないのな。さて、親父。アリスがお袋の菓子を待ってるって、言ってきてくれ。今日は林檎のタルトを焼いてた筈だから、厨房に居る筈だから」
オースティンは頷き、私に礼をして部屋を出て行った。
気を使わせちゃったかな…、ゴメンね、二人共。




