友人と呼ぶには02
オースティンやサラの前では、口が悪くなるのもわからなくはないけど。
私の前でもそうなるのは、気を許してるからなのもわかっている。
じいやに聞かれたら、また扱かれるのに。
ルーイは大丈夫なのかしら?
「アンナさんから手紙を預かって来たよー」
シャノンが手紙を片手に、私に近付いてくる。
誰からかしら?と思ってたら、差出人は噂の本人であるリリアだった。
「このタイミングで来られると、盗聴でもしてるのかと考えてしまいたくなるわね。この時代には盗聴器なんてないのはわかっているけど」
ペーパーナイフと手紙を一緒に受け取り、開けて中身を確認する。
中に書かれていたのは、下級貴族の集まりに私も来ないかと言う招待状のようなもの。
これでも公爵家だから、家を理由に断る事も出来はする。
お父様やお母様に相談するも、あまり良い返事は貰えなかった。
それ所か、渋い顔をされたではないか。
お父様は重い口を開き、渋るのには訳があると教えて下さった。
「――あの子爵家には、色々と噂が流れている。子爵本人が宰相の地位を狙っているのもそうだが、彼女の育ての母…子爵夫人やご令嬢ご子息も領地で私腹を肥やす傲慢な性格だと。欲しいものは全て手に入れると言う、欲が凄いんだ。…アリスの王太子妃と言う地位も欲しているかもしれない。くれぐれも、気を付けるんだよ」
うーん、お父様の話を聞く限り行かない方が良いのかもしれない。
お断りの手紙を書く方が良いかな。
そうと決まれば、紙とペンを用意して貰う。
「シャノン、これを子爵家に送ってちょうだい。…お父様にお断りの手紙を出したと話さなきゃ。ルーイ、付いてきて」
お父様に断りの手紙を書いて届けて貰ったと伝えると、お父様は少なからずホッとした表情を私に見せた。
気が気じゃなかった、のかもしれない。
お父様もお母様も、使用人たちも。
「アリス、リリア嬢がどのような子かは私たちはわからない。その子との付き合い方は、アリスに任せるよ。お友達で居たいのか、そうでないのか…と言うのもね」
あっ、お父様も私が悩んでるのを知ってたんだ。
友人と思って良いのか、思わない方が良いのか。
「これから見極めていくつもりです。家庭教師の先生が見える時間なので、お父様失礼致します」
「あぁ、頑張って」
お父様と別れ、早く戻らないと待たせてしまうであろう家庭教師が居る自室に向かう。
私はこの時、この手紙で一波乱起きる事を知るよしもなかった。




