閑話 やっと見付けた
やっと見付けた、私が求めていたモノを持つ彼女を。
彼女は知らない、私が私を作っている事を。
知りはしない、だって会ったばかりなのだから。
彼女は恵まれている、私なんかよりずっと。
(――そう、だから壊すの)
彼女が大事にしているもの、大切なものも全部全部。
壊すだけじゃつまらない、奪ってしまうのも良いかもしれない。
まずは彼女の親の噂から流そう、悪い噂を。
そして彼女の噂も流そう、悪役令嬢だと。
周りの人は、噂話が大好きなのね。
瞬く間に広がっていった事に驚きもしたけど、彼女の父親を僻んで、嫉んで、妬んでいた大人たちも乗り気だった事から、社交界でもお城でも広がるのが早かった。
汚い大人の世界を垣間見た気がして、吐き気を覚えたわ。
でも、私はまだこれからしなくてはいけない事がある。
彼女の友人と言う地位を手に入れて、全て奪えるように下準備をしなくては。
なにを奪うのかって?
勿論、言葉通り全てよ。
地位も男も、なにもかも。
彼女なんかより、私の方が王太子妃に相応しい。
なのに、何故彼女が選ばれるの?
何故彼女が、王太子妃に選ばれたの?
許さない、赦さない、ゆるさない、ユルサナイ。
私の恋した彼を奪った貴女が、私の恋した彼が選んだ貴女が。
私の方が、彼に相応しいのに。
憎い、悪い、にくい、ニクイ。
彼女を壊せば、彼は私に振り向いてくれるかしら?
それとも、私なんて知らないのかもしれない。
彼と会ったのは、一度だけだから。
仕事をしている時の彼の姿が格好良くて、一目惚れしてしまった。
そんな彼の視線の先には、必ずと言って彼女が居る。
あぁ、どうしたら良いのかしら。
(壊す事には変わらないけど、どうにかして彼を振り向かせる事が出来るなら…)
私は、鬼にも悪魔にもなれるだろう。
彼が好きだからこそ、そして…私の性格がそうだから。
(あぁ、彼女の顔が歪むのを見るのが楽しみだわ…)
カップを片手に、紅茶を飲みながらそんな事を考えている。
メイドや執事は私にはあまり近付こうとしない。
いや、近付きたがらないと言った方が良いのかもしれないけど。
(私は自由で良いけど、たまに暇なのよね)
お父様もお母様も、私自身にはあまり興味がないみたいだけど。
私の企みには興味あるのが救いかしら。
さて、明日は身内だけのパーティーだと言っていたし。
もう少し慎重にマナーを身に付けておかないと。
彼女より、自身を磨かなくてはね。




