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両親は悪役貴族、娘の私は悪役令嬢…よね?  作者: 葦原 さくら
第四章
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正式な婚約03

お父様やお母様に見送られ馬車で一人、城への道を揺られていた。

途中、なにやら女の子の泣き声が聞こえた。

平民の女の子が、男の子に苛められている所だった。

…全く、何処の世界でもこう言う輩は居るのね。


「シャノン、停めてちょうだい」

「それは構いませんが、お茶会のお時間に間に合わなくなりますよ?」

「お茶会に間に合う事より、女の子を助ける方が優先よ」


馬車を停めて貰い、自らケンカを止めに行こうとする。

シャノンと御者として乗っていたアーノルドに止められたけど、私は聞かずに子供たちに近付いていく。


「――お止めなさい」


男の子の手が女の子に降り下ろされそうになった間一髪の所を、私は止める事が出来た。

あのまま降り下ろされていたら、女の子の頬は赤くなっていたに違いない。

男の子の手首を掴み、阻止できてホッとしたのも束の間、泣いている女の子と目が合った。


(…なに、この子。本能がこの子に近寄るなと言っているような…。…いえ、気のせいよね)


「誰だよ!お前は!」

「ただの通りすがりよ。…貴方たち、寄って集って一人の女の子になにをしているの?」

「んだよ!お前には関係ないだろ?!」

「えぇ、確かに関係ないわ。…男が女に暴力を振るうなんて、許される事ではないの。――さぁ、子供はお家に帰りなさい」


私の気迫に圧されてか、しどろもどろになりながら去っていった。

…子供といえども、悪い事は叱ってあげなければ。


「あのっ、ありがとう!私はリリア。貴女は?」

「名乗る程の者ではないわ。可哀想に…、怪我してるじゃない。…うん、これで良いわね。そのハンカチはあげるわ。私は良く此処を通るから、また機会があれば会えるかもしれないわね」

「お嬢様、お急ぎ下さい」


リリアに背を向け、馬車を走らせる。

…あの時、リリアから感じた悪い予感はなんだったのかしら?


「アリス様、あの少女にはあまり関わらない方が良いんじゃない?…嫌な感じがした」

「シャノンも感じたの。…なら、私の嫌な予感も正解かもしれないわね。はぁ…、どうしたものかしら」


外に聞こえない程度の声音で話していたのは良いけど、お城に着いたのはお茶会がもう中盤に差し掛かった頃だった。


「アリス!遅かったから心配していたんだよ。どうしたの?君が遅れてくるなんて、滅多にないのに」


クラウス様に謝り、さっきの事を話すと納得して下さった。


「アリスのそう言う所、良いと思うよ」


クラウス様は、笑顔でそう言って下さった。

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