正式な婚約02
下準備期間、とは言ったものの…私の中での悪役令嬢像ってないのよね…。
そもそも、どうやれば良いの?
嫌がらせ…は、ベタよね。
誰かを陥れる…は、関係ない人も巻き込んじゃいそうだし。
と言うか、私が今やられてる現状なのでは?
ふむ…困ったな、人に迷惑を掛けないで出来そうな悪役令嬢はないものか。
…そんな事出来たら、苦労はしないだろうけど。
それでも! 人に迷惑だけは掛けたくない。
「アリス様、クラウス様がお見えです」
落ち着いた様子で私の部屋に迎えに来てくれた、サラは本当に良いメイド長だ。
アンリに手伝って貰っていた着替えも済み、髪をとかして貰ったからサラサラに仕上がっている。
これでクラウス様にお会いしても、恥ずかしくないわ。
「本当?じゃあ、中庭に通してくれる?お天気が良いから、日向ぼっこしながらお茶をしたいの。サラ、今日のお菓子はなあに?」
「今日はアリス様のお好きな、苺のタルトでございます」
前世からそうだけど、私は苺が大好きで。
ケーキやタルトなどに使って貰えると、凄く喜んでいた。
「やあ、アリス。こんにちは」
「こんにちは、クラウス様。今日はどう言ったご用件でしょうか?」
「僕との婚約が正式に発表されたのは知っているよね?」
「執事から聞きました。王妃様も、お許し下さったのですか?」
王妃様、お城で初めて会ってからお会いしてはないけれど。
…何処と無く、前世でとても仲良くしていた親友に似ている。
あの方を見ていると、そう言った感情が溢れてくる。
…そんな事、あり得る訳がないと言うのに。
「その母上から、アリスに会いたいと伝言を預かってきた。城でのマナーや王妃としての教育を学ぶ事で、色々と言いたい事があるらしい。その時は、僕も付き添うから」
との事で、私は素に戻っていたようできょとんとしてしまう。
(えっ、王妃様から呼び出し?)
頭の中は、それでいっぱいになってしまった。
クラウス様は心配なさってか、私の名前を呼んで下さっている。
「大丈夫です。近々、お城に伺いますと王妃様にお伝え下さい」
…さて、明日は王族主催のお茶会があるのよね。
「クラウス様は、明日のお茶会に出席なさるんですよね?」
「王族主催だからね。アリスも、僕の婚約者として参加してくれるよね」
…此処で参加したくないと言えたら、どんなに良いものか。
しかし、クラウス様の今のお顔を見て同じ事を言えるか。
否! 捨てられた子犬のような表情をしているのよ!?
無理、可愛い。




