閑話 アリスの為ならば
アリスとの婚約を望んだのは、最終的には僕の方だ。
僕は彼女を望んだ、その事に後悔など少しもない。
そう、僕にはそうなんだけど…。
アリスには、そうではないらしい。
自分の事を守ってと言う事は、アリスの事は放っておけと言っているように聞こえた。
大丈夫とは言っていても、そんなな訳がないじゃないか。
僕と君は同い年なんだから。
君は時々、背伸びをした事を言う。
其処もひっくるめてアリスだとわかっている。
でも、僕には頼ってほしいんだ。
周りの大人や兄弟に頼れない時、些細な事でもなんでも。
「アインハルトは、ヒューズお兄様と同い年くらいですか?」
「そうですね、ヒューズ様とは同い年になります。アリス様、自分の事は良いので、クラウス様とお話なさっては如何でしょうか?自分はお茶の用意をして参ります」
「本当?なら、ハーブティーを用意してくれませんか?お兄様なら、アリスの好みをわかってくれてますよね?」
任せろと言って部屋から出ていくレオナルドと、その後を苦笑しながら付いていくアインハルト。
アインハルトとフリードが兄弟だったとは、アリスも知らなかったんだ。
二回しか会ってないから仕方ないけど、フリードがあの状態だからね。
…とは言え、アインハルトも信用できるかと言えば微妙だな。
アリスはアインハルトを気に入ったのか仲良くしたいらしいけど…。
レオナルドが許すくらいなら、其処までは警戒しなくても良いのかもしれない。
油断は出来ないけど、この城では僕がアリスを守らなきゃいけないんだ。
「クラウス様、大丈夫ですか?」
考え事をしてしまっていたから、アリスが側に来ていた事すら気付けなかった。
アリスの右手が僕の左頬に、優しく触れた。
「お疲れなのではありませんか?噂のせいであまり休まれて居ないと、ヒューズお兄様から聞きました」
王族直属の騎士団に配属される事が決まっていたから、見学に来ていたのは聞いていた。
挨拶もしに来てくれたけど、其処まで知っていたとは…。
「まさか、アリスに話してしまうとは思わなかったよ。僕がしたくてしている事だからね。…まだ時間は掛かると思う。でも必ず、噂の根元を見付けてみせるから。ーーそれまで、待っててくれる?」
「いくらでも待ちます。けれど、お身体に障るような探し方はしないで下さいね?」
…あぁ、アリス。 君は本当に優しい子なんだね。
そのアリスを悲しませる者は、何者でも許さない。
必ず見付けてみせるよ、君の笑顔の為にも。




