顔合わせ06
クラウス様が婚約に乗り気になった事から、パーティーが盛大になった。
いや、元々盛大ではあったけど、周りの大人が羽目を外している。
大人が羽目を外しすぎているのはどうかとも思うけど、お目出度い席だから誰も文句は言わない。
勿論、子供である私も、それを言う資格はないし。
尚且、このパーティーの主役とも言われる位置に居るから、場の白けるような事は言えない。
けど、言えないとはいえ、思う事は出来る。
私は身分はあるけど、王族との婚約に口出し出来はしないと黙っていた。
えぇ、婚約が早すぎるのもあるし。
私自身がまだ悪役令嬢と呼ばれていないのに、と言う身勝手な理由だけども、思っていたのもある。
同じ貴族なら、嫌と言えば簡単に解消出来るものを、王族とか…。
…この世界を舐めている訳ではないのよ?
ただ、中身が大人な分、考えがどうしても子供らしくなくなってしまうのね。
貴族の最高地位に就いているお父様に逆らえる者など、この国の貴族には居ないでしょうけど。
チラッと隣を見ると、ニコニコしているクラウス様の可愛らしいお顔が見えてしまった。
其処まで喜ぶ事が、いつの間にあったのですか?
「君が、アリス=ド=ルーテシア嬢だね?」
クラウス様に気を取られている間に、私に声を掛けて下さったのは、王様と王妃様だった。
「初めてお目に掛かります。ルーテシア公爵家長女、アリスと申します。宜しくお願い致します、国王様、王妃様」
「まぁ、歳のわりにはしっかりしているのね。クラウスより、年上なんじゃないかと思ってしまうほどね」
シャルル=ド=ヴィーレンス国王と、妻であるマリア=ド=ヴィーレンス王妃。
王妃様に至っては、勘が鋭い。
まさか、私の中身が成人女性だと気付いて…はないかな?
気付ける訳がない、根拠もないのに。
それに、王妃様が纏っている空気がなにやら可笑しい。
可笑しいと言うのは無礼だろうけど、胸の奥底まで見透かそうとしているように感じる。
そう感じるのは私だけではないらしく、クラウス様も貼り付けた笑顔で応戦していく。
「母上、どうしたと言うのですか?」
「いいえ、なんでもありません。アリス嬢との婚約パーティーも、そろそろお開きにしますか。…国王様、私、先に失礼させて頂きますわ」
…王妃様とクラウス様、仲が良いようには見えないのは私だけだろうか?
親子なのに…、…親子よね?
似ているようで似ていないような…。
…複雑な事情があるのよね、きっと。
私が関わる訳にはいかないわね。




