第22話 対高級ゴーレム
「サファイアロー! ライトニングレイン!」
俺たちを避けて落雷が荒れ狂い、空に浮いてる鳥人たちを落とす。
地上からは樹人と昆虫人が声を上げながら襲い掛かってきた。
俺はアスガイアーコア擦り、右手を構える。
「アスガイアー・ビームぅ!」
熱線を横なぎに放ち、吹っ飛ばしていく。
「すごい! これでは私の出る幕はありませんね!」
ボンベさんが声を弾ませる。
「いやぁ、そう喜んでもいられねえよ」
岩山の斜面でキュデって呼ばれてた樹人が両腕をかざす。
「低位回復・広域」
キュデってヤツが魔法を唱えると、倒れてた連中が起き上がってくる。
だがその後はジリジリと距離を詰めてくるだけだ。
「ビビってんじゃないよお前たち!」
「士気上昇・広域」
またなんかキュデが魔法を使った。
囲んでる奴らの殺気が強くなる。
「何度もあんな大魔術使えるもんか! 休まず攻めるんだよ!」
鳥人の女が鉱山のテッペンで喚いた。
いや、だいぶ出力落としてるからまだまだ使えるけどね。
ゴブリンの時は魔物だから割り切ったけど、こいつらはコミュニケーションを取れる亜人なんだよなぁ。
皆殺しってのは気分が悪いけど。
「どうする? やっちゃうしかねえかな?」
「いかんぞカブラギ殿。付け入るスキを見せておかんと、ヤケクソになられると厄介ぢゃ。あの蚯蚓人のように自爆を図られたりするとメイ姫たちが危ない。大人しくアルセーヌ殿を待つのが得策ぢゃぞ」
確かに。賢い仲間がいると心強いね。
マキマキが背中を合わせてくる。
「もう少し時間を稼ぎましょう!」
「そうね」
マキマキと同時に駆け出して、敵に突っ込んだ。
右手で吹っ飛ばし、左手で吹っ飛ばし、後ろ頭を剣で殴られる。
殴ってきた昆虫人を裏拳で殴り、鳥人たちが上空から繰り出す魔法を左手ではたく、はたく。そんで当たる。
ぜんっぜん痛くねえけどな!
殺さない程度に打撃を当てて、程よく攻撃をくらう。
見るとマキマキもそんな感じだ。
当たったように見せて風のバリアで防いでるけど。
《エメラシールド》だっけ。
あ、ボンベさん大丈夫かな?
と思ったら上手に戦ってる。
攻撃を受けそうな場面ではアグーがピンボールみたいに跳ねて、敵を弾き飛ばしてカバーしていた。
「ちいっ! もう少しなのに何やってんだい!」
地団駄踏んで悔しがる鳥女。
アイツが指示出してるんだよな。
挑発してみるか。
「そう思うんならオマエが来いよ鳥女! 最後の一押しになるかもよ!」
雑魚の攻撃をさばきながら声をかけてみる。
「はあ!? ふざけんじゃないよ! アタイは口は出すけど手は出さないんだよ!」
「手ぇないじゃん」
「黙りな!」
叫んだ鳥女の後ろにコウモリが集まってきた。
「ん? ピっ!!」
甲高い悲鳴を出して落ちてくる鳥女。
アルセーヌさんがコウモリっぽい羽を生やして拳を握っている。
そんで急降下して樹人のキュデを踵落としで沈める。
「マルマリ家の皆さまは救出いたしました」
魔力をのせた声で告げるアルセーヌさん。
それを聞いて狼狽える雑魚たち。
「聞いた通りだぜ! どうする!? 降参するか!?」
俺の言葉にまだ迷ってる。
やれやれ。
俺はしこを踏んで、ガイアエネルギーを熱に変えて放出した。
ブワッっと高温度の熱波が辺りに吹き荒れる。
「……さっきまでのは本気じゃねえぞ」
静まった場に、俺の低い脅しが響いた。
武器を捨てていく亜人たち。
岩山の穴の一つから、メイ姫とソマリさん、残りの護衛3人が姿を見せる。
「カブラギ様!!」
メイ姫が叫びながら飛び降りてきた。
あぶねえ!
俺は駆けよって、メイ姫を抱きとめた。
「メイさん危ねえじゃんか」
「信じてましたわ! 私の仮面の英雄さま!」
ギュッと両腕を巻き付けてくるメイ姫。
「まあ……いいですけどぉ」
マキマキはご機嫌ナナメ。
「さすがにコヤツ等を縛って運ぶのは骨ぢゃ。ボンベ殿、メサルテへの連絡手段はありますかな?」
「え、ええ。ここに通信魔導具が……、あれ? ノイズが酷いな。鉱山付近だからか? 少々お待ちを、駐屯室に備え付けの物があるはず」
アグーとのやり取りのあと、ボンベさんが岩山の方に走っていく。
一件落着だな。
逃げ出すヤツがいねえか探るために、ガイアセンサーとガイアイアーの出力を上げる。
すると小声でボソボソ喋ってんのが聞こえてきた。
「不味い、不味いぞ。まだ十分な時間を稼げていない……。このままでは間に合ってしまう……」
ソマリさんの声だ。
どしたんだろ?
……地中に強いエネルギー反応が複数上がってきた。
土を削って地上に向かって来る。
ヤバイ!!
「ボンベさん離れろぉ!!」
「え?」
叫んだ俺と、ボンベさんの目が合った。
ドゥグゥアァァンン!!!!
地中から現れた硬質なカタマリに、弾き飛ばされるボンベさん。
ボンベさんが空を舞う中、不規則に飛び出したカタマリが10体、地上に着地した。
「マキマキ頼む!」
「はい! エメラルウインド! フライ!!」
風をまとい、空を駆けてボンベさんを掴むマキマキ。
アグーの毛からポンっと飛び出た回復薬を空中でキャッチする。
そっちは二人に任せて、メイ姫を片手に抱いたまま飛び出したカタマリを視認する。
「ハイウーツ鋼のゴーレムですわ! なぜ!」
メイ姫の言葉に納得。
見た事あると思ったんだよ。カジノで見た一億円じゃねえか。
それが10体、目が回るぜ。
「鉱山の警備ゴーレム……ではなさそうぢゃの」
アグーに俺も賛成だ。
不可解な事を言っていた、苦々しい表情をしている仲間の一人を見据える。
その仲間、ソマリさんが岩山から滑り降りてゴーレムの群れの中に立った。
「アナタ方が強すぎるから……。このような手段に出なければならない事、残念でなりません」
ソマリさんが。
アグーの《鳥の丸焼き一気飲み》に手を叩いて喜んでいたソマリさんが。
マルマリ子爵家は私がお守りしますって言っていたソマリさんが。
裏切っていた。
毎日更新が途切れます……。
力不足ですみません。
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