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第23話 錬金術師ソマリ

更新!


「アナタ方が強すぎるから……。このような手段に出なければならない事、残念でなりません」


 ソマリさんはそう言って、懐から丸い水晶を出した。


「ソマリ! 説明なさい!」


 メイ姫が鬼気迫る声でソマリさんに叫ぶ。

 それに答えず、ソマリさんが水晶に手をかざすとゴーレムたちが動き出した。

 

 灰色でシンプルな形をした3メートルくらいのゴーレムたち。

 人型だけど、拳は真ん丸で殴られたら痛そうだ。

 

「舌噛むなよメイさん」


「え? キャ!」


 俺はいわゆるお姫様抱っこでメイ姫を抱えて跳ぶ。

 そんで岩山の、魔人族の3人がいる場所で降ろすと着地してきたアルセーヌさんにお願いした。


「アルセーヌさん悪い。メイさん達を守ってやってくれ」


「かしこまりました」


 高いトコから見下ろすと、どさくさに紛れて逃げようとする亜人たちが見える。

 でもある程度の位置で風の壁に阻まれていた。

 エメラシールドか。

 マキマキがアグーを背中に張り付けて、ボンベさんを抱えたまま浮いている。


「カブラギさん! ボンベさんは一命をとりとめましたよ!」


 そっか。

 ……良かった。


「よっしゃマキマキ! 過激派の連中が余計な事しねえように見張っといてくれ!」


「いいですけど! ソマリさんの事……」


「なんのつもりか聞かねえとな。先ずは話をするのにジャマなオモチャを――」


 両拳を打ち付ける。


「ぶっ壊す!!」


「ハイ!」


 うれしそうなマキマキの声を聞きつつ、岩山から駆け下りゴーレムに向かう。

 片手でメガネを上げて、もう一つの手に持つ水晶を掲げるソマリさん。


「錬金術師の真骨頂! お見せいたします!」


 ゴーレムの二体が降りてきた俺にタイミング合わせて拳を振るう。

 それをバク宙で躱して、両足で同時に蹴りをかます。


 うーん硬いね!

 技使わないと一発じゃ無理かな!


 スタッと着地してよろめくゴーレムの脇腹に


「デラスト・ナックル!」


 逆のヤツにも


「アスガイアー・キック!」


 ゴーレム二体が四散した。

 あと8体。

 戦闘バトルフォームの俺は止めらんねえぞ。


 ゴーレム三体を壁にして、残りの五体を突進させてくるソマリさん。

 まとまってくれると助かるぜ。


「アスガイアー・メガパンチ!」


 秒速100発のパンチ。

 攻撃を集中させた一体がヒザをついて倒れる。

 まだ向かってきていた別の一体を両手で受け止め、腕を掴んで振り……、


 降ろす!!


 ハンマー代わりに使ったゴーレム一体は砕け、振り下ろされたもう一体もズンと沈む。

 あと5体。


 二体のゴーレムが両腕を伸ばし、グルグルと横回転しながら左右から迫ってくる。


 ふんっ!!


 開いた両手で、一体ずつガシっと止めた。

 ちょっと痛い。


「そんな! 逃げずに受け止めるなんて!」


 俺がチカラを抜いて手を離すと、ゴーレム二体がよろめいた。

 その頭に、


「デラスト・ナックル! デラスト・ナックル!」


 一発ずつ丁寧に壊していく。

 あと3体。


「ソマリさんも逃げずに話をしてくれよ。なんでこんな事してんだ?」


「くっ! ゴーレム!」


 三体のゴーレムが向かって来る。

 俺は腰を落として、右手にガイアエネルギーを集中させた。


「アスガイアぁ……ギガパンチぃ!!」


 秒速1000発の超必殺。

 ゴーレムは粉々の砂になった。

 これで、0体だ。


「本当に、お強いんですね……。グランドキマイラやマンティコアロードすら討伐できる戦力だったのですけど……」


 砂が風に流されていく。

 水晶を抱えて、ガックリとうなだれるソマリさん。


「なんでだソマリさん。間に合ってしまうって言ってたろ? どういう意味だ?」


 ゆっくりと、近づいていく。


「理由があるのか? どんな理由でもいいから話してくれよ。ボンベさんだってケガはしたけど高位回復薬ハイポーションもあるからすぐ治るだろうし、一緒に謝るからさ。な?」


「お優しいですね……。こんな事をしでかした者を、まだ許して下さるというのですか?」


「一緒にメシ食って、笑った相手をさ……」


 ボーニア伯爵さんの。

 あの夜に俺の話を喜んでくれた、ボーニア伯爵さんの顔がよぎる。


「悪人でしたかハイそうですかって……簡単に軽蔑出来たら、楽だろうさ」


 俺は足を止めた。


「そりゃ理由によるし、やらかした事の大きさにもよる。でもま、被害は少ねえし、理由も話を聞かなきゃ分かんねえからな」


「ウソをつかれたら、どうするのです」


 馬車の中で見た、ソマリさんの真っ直ぐな瞳を思い出す。


「隠し事はともかく、つまらねえウソは良くないね。ぶん殴ってやるさ」


「キレイごとを……そんな悠長な事を言っていると、足元をすくわれますよ」


 チカラなく笑うソマリさんに向かい合い、俺は腕を組んで自身満々に答える。




「だからスーパーヒーローは強いんだ!! キレイごとをまかり通す為になぁ!!」


 


 そこでソマリさんが顔を上げて俺を見た。

 でも、まだ、顔は引きつったままだ。

 そんで首を横に振りながら後ずさる。


「無理です、無理なんです。いくらカブラギ様でも、アレは無理なんです」


 ソマリさんの胸の水晶が、禍々しくうねる様に黒く光る。

 このエネルギーは……。

 知ってるぞ。

 覚えがある。


 最初にぶつかった、魔王4将軍のシャマカとかいうじいさんが使っていた祭壇・・の。

 



覚醒ジグーラ




 ソマリさんを中心に激風が吹き荒れる。

 マキマキは飛ばされ、周りで様子を見ていた亜人たちも吹っ飛んでいく。

 マフラーをはためかせながら、俺だけが微動だにせずにソレと向き合っていた。


 ガラスのような光沢の大巨人。

 角ばった水晶のカラダは禍々しく、黒い光を宿している。

 ズゥゥンと起き上がった体躯はあの赤龍よりも一回り以上大きい。

 胸の丸い部分には、目を閉じたソマリさんが納まっている。

 頭部の赤黒い目が俺を見下ろして、

 叫ぶ。



 ゴオオォォォォォォンンンン!!!!

 






書け次第更新更新で!

文が乱れてたらすみません。

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