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第28話 赤龍討伐戦

場面は戻ります。


「先に行くぜ!!」


「カブラギさん!」


 マキマキの言葉を背にして、俺は魔導車を飛び降り関所に跳ぶ。


 空から見下ろした関所では、大勢で何か粉をまき散らしながら槍を使って、サソリを城壁から突き落としてる。

 粉が降りかかった箇所をサソリは避けるが、隙間から大量に城壁に向かい、互いを足場にしながら関所を超えようとしている。

 ダメだ、如何せん数が多すぎる。


 俺は滑空しながら両手を合わせる。


「アスガイアぁメテオストームぅ!!」


 超高熱の火の玉を城壁ギリギリに着弾させる。

 間髪入れず、仮面の前に両腕をクロスして拳を握る。


「アスガイアぁタイフーンブラストぉ!!」


 大の字になって別の技を放ち、熱波が関所に向かわないように超速の突風を前方に起こす。


 目に見える範囲のサソリ共は突風に飛ばされながら、燃え尽きて空中で灰になっていった。

 着地して両足で立ち、サソリの全滅を確認。

 だが山の中腹からウジャウジャと、まだ大量のサソリが迫ってくる。

 オイオイ。


「サファイアロー! ライトニングレイン!」


 城壁に片足をかけて、マキマキが蒼光の矢を上空に放った。

 放たれた矢が無数の落雷となって大地に降り注ぐ。

 粉々になっていくサソリ共。


「カブラギ殿! この粉を撒くんぢゃ!」


 城壁の上からアグーがポンっと大きな袋を飛ばす。

 それをジャンプしながら片手でキャッチ。

 それを結び目を待ったまま、空中で振りかぶって放り投げた。


「サファイアロー!」


 袋をマキマキの矢が貫通し、中から粉が広範囲に散乱する。

 残っていたサソリは(きびす)を返すと、蜘蛛の子散らすように四方八方へ逃げて行った。


 危機一髪だった。

 あのカークスじいさんの所で買ったマウントスコーピオン除けの粉か。 じゃあアレがマウントスコーピオンってヤツだな。

 名前まんまな。


 俺は10メートル以上ある関所の壁をビヨンと跳んで、城壁の上にクルリと着地する。

 そのまま、魔法少女ジュエリールに変身してるマキマキにスタスタと近寄りながら片手を上げた。

 マキマキも立ち止まったまま片手を上げる。


 パァン!!


 ボケっと見てる城壁の上の人たちを尻目に、お互いの手を打った。

 ハイタッチって気持ちいいよね。


「貴殿らは? もしやその出で立ちは……」


 何人か引き連れて、鋼の全身鎧を着た八の字ヒゲのおじさんが声をかけてきた。

 責任者かな?


「関所長でいらっしゃいますかな? ガドニア侯国へ向かう特使団へ編入された異界人ですぢゃ。ワシは妖精アグー」


「カブラギです」


「海崎です」


 ペコリ。


「これは申し遅れました。私は大嶮山関所長を持ち回りで担当しております、ニッカ・ウインスと申します。この度の救援、まことに感謝いたします」


 頭を下げるウインスさん。


「怪我人はいませんか?」


「幸い確認されておりません」


 俺が聞くと、眉ひとつ動かさず即座に答える。

 真面目な人なんだろうな。


「お久しぶりです。ウインス男爵」


 向こうからアベイル隊長と騎士さんが4人、その後ろをシソーヌ姫とアルマが歩いてくる。


「これは! 姫様にアベイル・ミツ・ガドニア殿下!」


 ウインスさんと周りの人たちが膝を付く。


「楽にして下さいウインス卿。カブラギ殿、ウインス卿はガドニア侯国出身だから必要以上に敬ってくれるんだ。次男坊で婚姻のあての無い自分なんか、そんな価値がある人間でもないのにさ」


「何をおっしゃいます殿下」


「ウインス男爵、異界人の方々はお強いでしょう」


 シソーヌ姫はまたお姫様モードだ。

 しかしウインスさんって男爵なんだ。爵位持ちか。


「ハッ! おかげで危機を脱しました。感謝の言葉もありませぬ」


「先ほどのような事は度々あるものなのでしょうか?」


「いえ,マウントスコーピオンは群れを成さぬ魔獣です。大嶮山が防人さきもりおさの任について以来10余年、このような事はございません。他の長からも一切聞いておりません」


「では10余年この地を守り続けた貴方に伺います。現状考えられる状況は?」


「先に飛来したワインバーンストロンガーの群からかんがみるに、より強大な魔獣が縄張りに現れ逃げてきたものと思われます。偽竜ワイバーン種は敵意に敏感な魔獣ゆえ。しかしマウントスコーピオンまでが逃げ出すとなると、過去に例はございません」


 やり取りを聞いていたが、どうやら危機はまだ去ってないらしい。

 ガイアセンサーにエネルギーを注ぎ周りを探る。

 と、

 なんかいた。


「ヤバイのがいる! 八時の方向!」


 ガイアセンサーに反応はあるが、まだ目視できる距離じゃない。

 南西にみんな目を向けるがまだ見えない。

 しかし、あの速度ならすぐわかる。

 尖った岩山の間を蛇行しながらソレは現れた。


 ワイバーンの数倍はデカい翼の生えた赤い鱗の大トカゲ。

 多分あれが噂に聞く《龍》だ。


「赤龍だあぁぁぁ!!!!」


 誰かが叫ぶ。


「グアァァァァアア!!!!」


 咆哮を上げながら、赤龍がバッサバッサと翼をはためかせて関所に向かって来る。


「いかん! プランE! 並行してプランJだ! 魔導砲の準備を!」


 慌ただしく走り出す関所の人たち。


「抜剣!!」


「「「「応!!」」」」


 アベイル隊長の号令で騎士の4人が剣を抜く。


「ひいぃぃ! 怖いぃぃ!」


「姫さま、うしろへ」


 怯えるシソーヌ姫に、庇うアルマ。


「アベイル隊長! アレは攻撃していいヤツか!?」


 俺が聞くと、アベイル隊長が答える前に――


「グアァァァァアア!!!!」


 赤龍の大口が光り、首を仰け反らせると、勢いよく光線が関所の城壁に放射される。

 城壁へ届く前に透明の壁が光を防ぐが、すぐにバリンと割れた。

 勢いを多少失った光線が城壁の一部を崩す。


「いいヤツだ! 攻撃してくれ! くそ! 魔術師がいる! レスタ! 3人を呼んできてくれ」


「もう来ておりますよ」


 騎士さんの一人にアベイル隊長が叫んだが、呼ばれる予定だった魔術師さん3人がフワリと空から降りてきた。


「ゴリン殿!」


「ドウブ、カンミ。赤龍は体内魔素が強い。物理系で迎え撃つ」


「「了解!!」」


 中年の魔術師さんの指示で、運転席に乗ってた二人の魔術師さんが杖を構える。


氷結槍アイスランス連続コンテニュアス


 3人の前に魔法陣が現れて、氷の槍がズバババと連続で飛んでいく。

 マシンガンみたいだ。

 赤龍は横側に重心を向け、下降飛行してそれを避ける。


飛翔剣ひしょうけん!」


 アベイル隊長と他の4人が剣を振り、飛ぶ斬撃で赤龍を攻撃する。

 でも空を縦横無尽に飛び回る巨体にかすりもしない。

 よっしゃ俺も。


「ガイアシューター!」


 右手でバックルに付いたガイアコアを擦り、射撃姿勢をとる。

 手の中に拳銃サイズのガイアシューターが光りながら現れた。


「おりゃ! おりゃ!」


 ピュン! ピュン!

 レーザーを打つけど、全然当たらない。

 そういや射撃とか苦手だわ俺。


プランEは魔防障壁の展開

プランJは魔導砲への魔石装填です。

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