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最強番長TS転生で非力から  作者: 塩レモン
第4章 迷宮編

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第31話 属性魔法

「そういえばカーネルが雷魔法以外使ってる所見たことないな……」


思い返してみると、1人1属性の魔法しか使っていない。


属性は2つ以上使えないのだろうか。


俺は少し気になって、カーネルに聞いてみることにした。


「カーネル」


「どうした?」


「魔法って、複数の属性を使えないのか?」


「いや、そんな事は無い。団長や副団長は3つ以上の属性が使えるからな。」


「じゃあ何でカーネルは雷魔法しか使ってないんだ?」


「そうだな...簡単に言えば1番使い慣れてるからだ。」


「使い慣れてる?」


「ああ。魔法ってのは、属性を覚えればそれで終わりってわけじゃねぇんだ。」


カーネルはそう言って、手のひらをこちらに向けた。


「同じ雷魔法でも、使う奴によって威力も速度も精度も違う。」


「へぇ...」


「だから普通は、自分が得意な属性を一つ決めて、それを伸ばしていく。」


「じゃあ、複数の属性を使える奴は?」


「いる。」


カーネルは即答した。


「ただ、二つ三つの属性を使えるからって、それだけで強いとは限らねぇ。」


「なんで?」


「練習する時間が分散するからだ。」


「基本的に属性魔法を上級まで扱えるようになるまで20年かかると言われてる。」


「20年...」


俺は思わず呟いた。


「だから複数の属性を使おうとすると、その分だけ時間がかかる。」


「じゃあ、初級魔法だけならもっと早く覚えられるのか?」


「ああ。練習すれば誰でもすぐ使えるようになる。」


「だったら、初級魔法を極めればいいんじゃないか?」


「それじゃ駄目なんだ。」


「なんで?」


「初級魔法は、どれだけ鍛えても初級魔法だからな。」


「どういう事だ?」


「初級魔法をどれだけ強くしても、中級魔法や上級魔法には基本的に勝てねぇ。」


「もちろん属性同士には相性がある。」


「相性が良ければ、多少の差なら覆せることもある。」


「じゃあ勝てることもあるんじゃないか?」


「まあ、条件次第ではな。」


「片方が初級魔法、もう片方が中級魔法を使えるなら、圧倒的に後者が有利だ。」


「なるほど...」


「でも相手が上級か中級どっちを使ってるか分からないと意味がなくないか?」


「だからこそ、魔法を見て判断するんだ。」


「見て?」


「ああ。」


カーネルは手のひらを前に向ける。


「例えば、雷魔法なら...」


手のひらに小さな雷が走る。


「イグ・トール。」


小さな雷が前方へ一直線に飛んでいく。


「これが中級魔法だ、そして上級になると、エル・トールになる。」


カーネルの手のひらに先ほどとは比べ物にならないほど強い紫電が集まる。


「エル・トール。」


轟音と共に、巨大な雷が地面へ落ちた。


「うわっ!」


俺は思わず後ろへ下がる。


地面には黒く焦げた跡が残っていた。


「...全然違うな。」


「だろ?」


カーネルは手を下ろす。


「基本的に初級魔法は量。」


「量?」


「ああ。同じ魔法でも、一度に大量に撃ったり、連続して使ったりするのに向いてる。」


「じゃあ中級は?」


「バランスだ。」


「威力、速度、消費する魔力。その辺のバランスが取れてる。」


「なるほど。」


「そして上級は質。」


カーネルは先ほどの焦げ跡を見る。


「一発一発の威力や精度が高い。その分、魔力も多く使う。」


俺は少し考える。


「じゃあ初級を大量に撃てば、上級にも勝てるんじゃないか?」


「理論上はな。」


「おっ。」


「だが、上級の方が効率よく相手にダメージを与えられる。」


「なるほど。」


「それに、上級魔法を使える奴が初級魔法を使えないわけじゃねぇ。」


「え?」


「上級まで覚えた奴でも、状況によって初級や中級を使い分ける。」


「じゃあ、上級魔法を覚えたら初級魔法はいらなくなるわけじゃないんだな。」


「ああ。」


カーネルは頷いた。


「例えば、遠くの敵を一人だけ狙うなら上級魔法が有効なこともある。」


「でも大量の敵を相手にするなら、初級魔法を連発した方がいい場合もある。」


「中級魔法はその間だ。」


「なるほど……」


俺は少し考える。


「カーネルはどうして雷魔法を選んだんだ?」


「...雷だからだな。」


「いや、意味が分からない。」


カーネルは少し笑った。


「雷魔法は、他の属性と比べて扱いが難しい。」


「難しい?」


「ああ。」


カーネルは手のひらに小さな雷を走らせる。


「雷ってのは、使い方を間違えると自分にも返ってくる。」


「自分に?」


「ああ。下手すりゃ自分が感電する。」


「危なくないか?」


「危ねぇよ。」


カーネルはあっさり答えた。


「だから雷魔法を使う奴は少ない。」


「じゃあ、何でカーネルは使ってるんだ?」


カーネルは自分の手を見た。


「俺なら、多少無茶しても治るからな。」


「...あ。」


俺は思わず納得した。


カーネルの再生能力。


それなら、普通の魔法使いなら避けるような使い方でも、カーネルならできる。


「でも、火魔法も自分に当たったら危ないんじゃないか?」


「まあな。」


「じゃあ火でもよかったんじゃ?」


「それがそうでもねぇ。」


カーネルは首を横に振る。


「火はな。怪我しただけなら治る。」


「でも、細胞そのものが焼けて死んじまったら、再生できねぇ。」


「...なるほど。」


「俺の再生は炭になった体は治せねぇんだ。」


「まあ、炭になった所を切り落とせば治るがな。」


俺は呆れながらカーネルを見る。


「折角だ、お前も属性魔法は使えた方が良い。教えてやるよ。」


「俺、自滅したくないんだけど。」


「安心しろ、初級なら全属性使える。」


属性魔法...


便利そうではある。


でも、カーネルの話を聞いた後だと、なんとなく素直に喜べなかった。


...とりあえず、普通に使える魔法から覚えよう。

読んでいただきありがとうございます。

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