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最強番長TS転生で非力から  作者: 塩レモン
第3章 騎士団編

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第22話 騎士団

魔女信教の襲撃から5日が経った。


現在までに確認された被害は、死者1,487人、重傷者527人、軽傷者3,246人。


行方不明者は214人に上る。


建物の被害は、全壊142戸、半壊273戸。


被害の全容はいまだ把握しきれていない。


騎士団や治療院、街の住民による救助活動は現在も続いている。


たった2人でここまでの被害が出た。


騎士団も魔女信教の調査を優先的に進めているようだ。


そして今日、俺とカレンは騎士団に呼ばれた。


騎士団の建物へ向かう道中、街の様子は以前とは大きく変わっていた。


焼け焦げた建物。


崩れた壁。


瓦礫の撤去をする人々。


負傷者を運ぶ治療院の職員。


あれから5日も経ったというのに、街にはまだ魔女信教の爪痕が残っている。


「...ひどいね。」


隣を歩くカレンが、小さく呟いた。


「ああ...」


俺も短く返す。


5日前。


俺はカレンを背負って、この街を逃げ回っていた。


あの時は生き残ることだけで精一杯だった。


だが今、こうして街を見ていると改めて思う。


あれは、とんでもない事件だった。


『魔女の器』


あの言葉が頭から離れない。


俺が何なのか。


なぜ奴らは俺を探していたのか。


俺と魔女になんの関係があるのか。


まだ何も分かっていない。


「...ソフィ?」


「ん?」


「大丈夫?」


カレンがこちらを見る。


「何が?」


「なんか難しい顔してたから。」


「...大丈夫だ。」


そう答えると、カレンは少しだけ心配そうな顔をした。


「無理しちゃ駄目だよ。」


「分かってる。」


「本当に?」


「本当。」


「ならいいけど。」


そう言ってカレンは前を向いた。


少しだけ、気持ちが軽くなった。


やっぱりカレンが隣にいると安心する。


騎士団の建物が見えてきた。


以前、訓練場に向かう時にも何度か見た建物だ。


だが、今日はいつもと雰囲気が違う。


入口には何人もの騎士が立っている。


普段なら聞こえてくる笑い声や訓練の掛け声もない。


皆、忙しそうに行き交っている。


「ここまで大きな被害が出ると、騎士団も大変そうだね」


「そうだな。」


建物の中へ入る。


すると、すぐに受付にいた騎士がこちらに気付いた。


「ソフィさん、カレンさんですね?」


「ああ。」


「お待ちしていました。こちらへ。」


騎士に案内され、廊下を歩く。


途中、何人もの騎士とすれ違った。


皆、疲れた顔をしている。


やがて、一つの部屋の前で騎士が立ち止まった。


「こちらです。」


扉が開かれる。


中には数人の騎士がいた。


そしてその中央に初老の男性が椅子に腰かけていた。


初老の男性は、俺達が入ってくるとゆっくりと立ち上がった。


白髪交じりの髪に、深い皺の刻まれた顔。


身に着けている鎧は他の騎士達よりも装飾が多かった。


そして胸元には騎士団を示す紋章が刻まれている。


「ソフィ、カレン。よく来てくれた。」


低く、落ち着いた声だった。


「俺達を呼んだ理由は...?」


俺が尋ねると、男性は椅子を指差した。


「まずは座ってくれ。」


俺とカレンは向かい側の椅子に腰を下ろす。


男性も再び椅子に座った。


「私は騎士団、団長を務めている。ローズベル・スコーチだ。」


「騎士団長...」


カレンが小さく呟いた。


ローズベルは静かに頷いた。


「そうだ。突然呼び出してすまなかったな。」


「いえ...」


カレンが少し緊張した様子で答える。


俺はローズベルを見た。


騎士団長。


つまり、この国の騎士団をまとめている人間だ。


そんな人物が、なぜ俺達を呼んだ?


「今回、お前達を呼んだ理由はいくつかある。」


ローズベルはそう言って、机の上に一枚の紙を置いた。


そこには、今回の襲撃による被害状況がまとめられていた。


「まず、今回の魔女信教による襲撃についてだ。」


俺は黙って紙を見る。


死者。


負傷者。


行方不明者。


数字だけでも、改めて見ると胸が重くなる。


「騎士団は現在、魔女信教について調査を進めている。」


「...何か分かったんですか?」


俺が尋ねる。


ローズベルは少し間を置いて答えた。


「分かったこともある。だが、分からないことの方が多い。」


「...」


「今回確認されたのは二人。」


ローズベルが紙に目を落とす。


「白髪の男、アニル・フライレル。」


俺はその名前を聞いた瞬間、あの男の姿を思い出した。


白い服。


赤い首飾り。


炎。


そして、楽しそうに人を殺していた顔。


「もう一人が、リニア・ラベリー。」


巨大な岩。


街を覆い尽くす魔力。


そして、まるで遊びのように俺達を攻撃していた少女。


「魔女信教、葬法司について分かったことがある。」


ローズベルはそう言って、一枚の紙を取り出した。


そこには、見たことのない人物の名前がいくつか書かれていた。


「葬法司とは、魔女信教の中でも特に重要な役割を持つ者達だ。」


「重要な役割?」


「ああ。」


ローズベルは紙を机の上に広げる。


「現在、騎士団が確認している葬法司は5人。」


「5人...」


カレンが呟く。


俺は紙に書かれた名前を見る。


「火葬担当、アニル・フライレル。」


ローズベルが続ける。


「そして、もう一人のリニア・ラベリー。」


紙には、


『土葬担当』


と書かれていた。


「葬法司には、それぞれ担当する属性があるらしい。」


「火と土...」


「そうだ。」


ローズベルは頷く。


「残りの3人についても名前だけは確認されている。」


紙にはさらに3つの名前が書かれていた。


「水葬担当、スウェリア・アル・レイル。」


「風葬担当、ウィルム・ベイストン。」


「そして、雷葬担当は現在不明。」


俺は紙を見つめる。


「雷だけいない?」


「正確には、存在しているのかすら確認できていない。」


ローズベルは一度言葉を切った。


「だが、問題はそこではない。」


「じゃあ、何なんですか?」


「葬法司が何のために存在しているのかだ。」


「...大方予想はついている。」


部屋の空気が重くなる。


ローズベルは紙に書かれた五つの名前を見つめた。


「魔女信教の目的は、魔女の復活だろう。」

読んでいただきありがとうございます。

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