第21.3話 猫ちゃん
猫とは、ネコ目ネコ科ネコ属に分類される小型哺乳類。
簡単にいうなら、超可愛い生き物。
そして今、俺の目の前にはその超可愛い生き物がいる。
「...かわいい」
黒い毛並み、クリクリの目、プニプニの肉球。
この世界でも、猫はちゃんと可愛かった。
動物は角が生えてたり牙があったりと、元の世界とは違う姿をしていた。
だが猫だけは唯一の例外だった、まったく同じ見た目だ。
どこの世界の神様でも、やっぱり可愛い猫は欲しかったんだろうか。
猫は石畳の上で丸くなりながら欠伸をした。
かわいい。
耳がぴくりと動く。
かわいい。
しっぽがゆっくり左右に揺れる。
かわいい。
「...」
かわいいしか出てこない。
俺はそっとしゃがみ込み、ゆっくりと手を伸ばす。
猫はこちらを見ていた。
警戒している様子はない。
いける。
これはいける。
指先が毛に触れる。
「...!」
柔らかい。
想像以上だった。
俺は慎重に頭を撫でた。
猫は嫌がる様子もなく目を細める。
最高だった。
異世界に来てから色々あった。
死にかけた。
襲われた。
戦った。
女になった。
だが今だけはそんなこと全部どうでもよかった。
猫が可愛い。
それだけで十分だった。
「ソフィ?何してるの?」
「静かにしろ...」
「え?」
「今、大事な時間なんだ。」
カレンは俺と猫を交互に見た。
「...?」
「猫だ。」
「それは見れば分かるよ」
猫は俺の膝に前足を乗せた。
かわいい。
「ソフィ。」
「なに?」
「すっごくニヤニヤしてるよ。」
「してない。」
「してるよ?」
していない。
断じてしていない。
カレンは吹き出した。
「ふふっ、そんなに猫好きだったんだ。」
「別に」
「今さら隠しても無駄だよ~?」
猫はそのまま俺の膝へ飛び乗り、膝の上で丸くなった。
温かい。
柔らかい。
軽い。
最高だった。
やはり猫は偉大だった。
世界が変わっても。
身体が変わっても。
猫は猫だった。
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