第18話 一緒に遊ぼ~!!
「へぇ...ソフィ。」
「お嬢ちゃんの名前はソフィっていうんだ!」
アニルが嬉しそうに笑う。
「いい名前だねぇ。」
「ずっと気になってたんだぁ。」
「ソフィの名前を知れて嬉しいよ!」
「だから両手のことは許してあげる!」
アニルが切断面から炎を出し腕を作る。
「ソフィ...ボクはね君の事をとっても気に入ってるんだよ。」
アニルが両手を握って、開き動きを確認している。
「うん、ちゃんと動く。」
アニルが笑う。
「改めて自己紹介でもしようか。」
「ボクは魔女信教葬法司、火葬担当、アニル・フレイレル」
「君と同じ魔女様の祝福を受けた者だよ。」
アニルがカーネルに目を向けた。
「チッ...」
カーネルがアニルを睨みつけ、舌打ちをした。
「ほら続き、しようか。」
「エル・ライヤー」
アニルが地面に手を置いた瞬間。
「っ!?」
地面が赤く染まった。
次の瞬間、地面から無数の炎の槍が突き出してくる。
「散れ!」
カーネルの声と同時に、俺達はそれぞれ別方向へ飛び退いた。
「うわっ!?」
ミルネのいた場所を無数の炎の槍が貫く。
「危なかったっす!」
「へぇ、ちゃんと避けるんだ。」
アニルが楽しそうに笑う。
「じゃあこれは?」
アニルが指を軽く振る。
炎の槍が地面を這うように走り、ミルネへと迫る。
「させるか!」
カーネルが間に割り込み、剣を振り下ろした。
炎の槍が真っ二つに切り裂かれる。
「ナイスっす、カーネル様!」
「礼は後だ!」
カーネルがアニルへ向かって駆け出す。
「イグ・トール!」
腕から雷光が迸る。
アニルへ向かって一直線に雷が走る。
「またそれ?」
アニルが身体を炎へと変える。
雷光がその身体をすり抜けた。
「甘いよ。」
炎と化したアニルがカーネルの背後へ回る。
「そこっす!」
ミルネが横から飛び込んできた。
剣がアニルの首元を狙う。
「おっと。」
アニルが身体を反らした。
刃がアニルの頬を掠め傷を付けた。
「へぇ。」
アニルの頬に一筋の傷が走る。
「...当てたんだ。」
アニルが嬉しそうに笑う。
「今の、ちゃんと当てたよね?」
「だからなんだ!」
カーネルが距離を詰める。
カーネルが剣を振り上げる。
「おっと!」
アニルが後ろへ飛び退いた。
地面が大きく抉れる。
「すごいねぇ!」
アニルが笑う。
「じゃあ、もっと近くで見せてよ!」
アニルの背中から炎の腕が伸びる。
「っ!」
四本の炎の腕が一斉にカーネルへ襲い掛かる。
「させないっす!」
ミルネが横から炎の腕を斬り払う。
「おっと。」
切り落とされた炎の腕が地面へ落ちる。
「ほらほら。」
切断面から新たな炎の腕が生える。
「やっぱり厄介っす...!」
ミルネが後ろへ飛ぶ。
「魔撃ッ!」
俺の放った魔撃が地面を抉りながらアニルへ向かう。
「おっと。」
アニルが横へ飛ぶ。
魔撃が地面を削りながら通り過ぎていく。
「危ない危ない。」
「今っす!」
ミルネがアニルへ駆け出す。
「っ!」
アニルが振り向く。
「エル・フレイム!」
ミルネの剣に炎が纏う。
「もらったっす!」
剣がアニルへ振り下ろされる。
「甘いよ。」
アニルが身体を炎へと変える。
剣が炎の身体をすり抜ける。
「また...!」
その瞬間。
「後ろ!」
カーネルが叫ぶ。
「えっ!?」
ミルネが振り返った。
炎の腕がミルネへと伸びている。
「危ない!」
俺は炎の腕を斬り飛ばした。
「助かったっす!」
「気を抜くな!」
「分かってるっす!」
カーネルがアニルを睨む。
「...厄介だな。」
「そう?」
アニルが笑う。
その時アニルとカーネルの距離が一瞬で縮まった。
アニルの足蹴りがカーネルの腹へ入る。
「ぐっ...!」
カーネルの身体が後ろへ吹き飛ぶ。
「カーネル様!」
ミルネが駆け出す。
「よそ見しちゃダメでしょ?」
「なっ...」
アニルの回し蹴りがミルネの脇腹に直撃した。
「ほら、どうする?ソフィ。」
「だったらなんだ!」
俺は踏み込みアニルと距離を詰める。
そのままアニルの腹に掌底をした。
「ん?なに?この手。」
しかしアニルは蚊が止まった程度の反応だった。
だがこれで良い。
「吹っ飛べ!!魔撃!!!」
俺はアニルにゼロ距離で魔撃を打ち込んだ。
「っ...!」
アニルが魔撃と共に吹き飛ぶ。
「よっしゃ!」
吹き飛んだアニルが瓦礫へ突っ込む。
石畳を砕きながら何度も跳ね、崩れた建物の残骸に埋もれた。
力が抜けた。
「っ...」
魔撃を使いすぎた。
上手く立てない。
膝が石畳へ落ちる。
「ソフィ!」
ミルネが駆け寄ろうとした、その瞬間。
瓦礫の山が赤く光った。
炎が噴火のように吹き上がり、崩れた建物が吹き飛んだ。
「げほっ...!」
熱風が街を飲み込む。
俺は腕で顔を庇った。
「っく...!」
炎の中から、ゆっくりと人影が歩いてくる。
「いやぁ...今のは本当に危なかった。」
アニルが肩の埃を払う。
「ソフィ。」
俺を真っ直ぐ見つめる。
「やっぱり君、最高だよ。」
「...黙れ。」
立ち上がろうとしたが。
足に力が入らない。
「魔力切れかな?」
アニルが笑う。
カーネルが前へ出る。
ミルネも俺の前へ滑り込むように剣を構えた。
「お前は立て直せ。」
アニルが首を傾げる。
「三対一で続けるの?」
「文句あるか。」
「ボクも無限に魔力と体力があるわけじゃ無いんだよ?」
「そろそろ見てるだけじゃなくてさ、手伝ってよね。」
「え~!めんどくさ~い!」
どこからともなく、気の抜けた少女の声が響いた。
「は?」
カーネルが眉をひそめる。
崩れた時計台の上。
足をぶらぶらさせながら、一人の少女が座っていた。
灰色のローブに黄色いペンダントを付けた幼い黄土色の髪をした少女。
少女はふわりと時計台から飛び降りた。
「も~仕方ないな~!」
少女を受け止めるように地面から土が盛り上がった。
「よいしょっと...」
カーネルが剣を構えたまま、少女を睨む。
「お前も葬法司か。」
「うん!」
少女が元気よく頷いた。
「あたしは!魔女信教葬法司、土葬担当!」
「リニア・ラベリー!一緒に遊ぼ~!!」
「魔女様の加護がみ〜んなにありますように!」
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