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最強番長TS転生で非力から  作者: 塩レモン
第2章 魔女信教編

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第17話 反撃

「ど~ん!」


「っあぁ...!」


真横で壁が炎を上げ弾けた。


爆風に煽られ、肌が焼ける。


「ぐっ...!」


爛れた皮膚が衣服に張り付く。


それでも俺は、カレンを離さなかった。


「あ~痛そう!ねぇ痛い?痛いよね?」


「でも安心しなよ!君は殺しはしないさぁ!」


「背中の子は殺すけどねぇ!!!」


やばい。


やばい。


やばい。


どこまでも追ってくる。


逃げられない。


カレンが殺される。


「あっ...」


足がもつれてしまった。


追いつかれる。


足に力が入らない。


「い、嫌だ...」


背後から、足音が近づいてくる。


「あはっ、もう終わりかなぁ?」


「残念だったねぇ頑張ったのに守れなかった!」


「やだっ...やめ、やめてくだっ....」


「だ~め。」


アニルがカレンに手を伸ばす。


俺は結局守れないのか...


守れるように強くなりたかったのに。


結局ここで...


俺はぎゅっと強く目を瞑った。


その時何かが目の前を通り過ぎる気配がした。


「残念、邪魔が入っちゃった。」


「待たせたな。」


「っ...カーネル!」


「ほら早く立てよ、守るんだろ?」


「...!」


「っ...ありがとうカーネル!」


俺はこの場をカーネルに託しカレンを背負い直し走った。


「行かせないよ~!」


カーネルの剣がアニルへ突きつけられる。


「空気読めねぇなお前、童貞だろ。」


「はぁ?」


「司祭のコスプレして童貞の言い訳しやがって。」


「何?お前、頭おかしいの?」


「僕、お前みたいな変な人と話してる暇ないんだけどっ...!?」


背後からミルネがアニルの右足を斬りつけた。


バランスを崩したアニルをすかさずカーネルが蹴り飛ばす。


「ぐぉっ!」


アニルが壁へ打ち付けられた。


「イグ・トールッ!!」


カーネルの腕から雷光が走りアニルへと突き進む。


雷光が壁へ稲妻の亀裂を作り破裂する。


粉塵が壁の周囲を包み込んだ。


「やったっす!」


「よくやった、ミルネ!」


「不意打ちとか酷いじゃないか...」


宙に舞う粉塵が一瞬で燃え尽き、視界が晴れる。


その向こうからアニルが姿を現した。


「まぁ、そんな簡単には行かねぇよな。」


「エル・フレイム」


アニルの手の平から巨大な炎が噴き出した。


「っ!」


カーネルが咄嗟に前へ出る。


「ミルネ下がれ!」


「了解っす!」


「エル・トールッッ!!!」


アニルの炎と同等の大きさの雷光が地面を割る。


雷光は炎を纏いながらアニルに一直線へと走った。


アニルは背中から炎の腕を生やし、瓦礫を掴む。


そのまま身体を引き寄せ、雷光を紙一重で躱した。


「おっと、意外だなぁ君も上級魔法使えるんだ。」


「随分余裕そうだな。」


「だって本気出してないもん。」


「ちょっとだけ...君に興味が出てきたよ。」


「...そりゃどうも。」


カーネルは剣を構え直した。


「俺はお前みたいな男にチリ一つの興味もねぇけどな。」


「ふふっ、そういうところも好きだよ。」


アニルが一歩踏み出す。


「じゃあ、もう少しだけ遊ぼうか。」


カーネルが剣先をアニルへ向ける。


アニルがにやりと笑う。


「行くぞミルネ。」


「了解っす!」


アニルが勢いよく飛び出した。


アニルの手の平がピッタリとカーネルの胸にくっ付いた。


「エル・フレア」


「っ...!」


轟音と共に、カーネルの身体が燃え上がる。


「カーネル様っ!」


ミルネが叫び、剣を握り直した。


「よそ見はダメだよ?」


アニルの笑顔が目の前まで迫る。


「イグ・フレイム!」


炎弾が放たれる。


「くっ...!」


ミルネは身を捻って避けるが、肩を掠めた炎が制服を焦がした。


「熱っ...!」


「弱い弱い! もっと楽しませてよ!」


アニルは子供のように笑いながら、炎の腕を何本も生み出す。


「ほら!待てよ~」


「邪魔っす!」


ミルネが炎の腕から逃げ回る。


カーネルが剣を大きく横に切り払う。


アニルが自身の腹を炎に変えカーネルの剣をすり抜ける。


「わぁ凄い!生きてる!」


「当たり前だろ。俺は騎士団第六部隊隊長カーネル様だぞ。」


アニルが傷一つないカーネルをマジマジと見る。


そしてニヤリと口元をゆがませた。


「なぁんだ君も魔女様に選ばれた側じゃん。」


「俺の能力を気色悪ぃ言い方すんじゃねぇよ!」


カーネルの鋭い回し蹴りが軽くアニルに受け止められる。


「同じ選ばれた人間同士仲よくしようよ!」


アニルが止めたカーネルの足先から炎が体に広がる。


「エル・トールッッ!!」


「あがっ...!?」


カーネルが自身ごとアニルに電撃を浴びせた。


カーネルの身体から凄まじい電撃が迸る。


その電撃は、触れているアニルへも容赦なく流れ込んだ。


「ぐっ...!」


二人の身体が激しく痙攣する。


「カーネル様っ!」


ミルネが叫ぶ。


やがて電撃が止まり、カーネルが膝をついた。


「はぁ...はぁ...」


「カーネル様!」


ミルネが駆け寄ろうとする。


その時。


「ふふっ。」


「...?」


アニルが笑った。


「やっぱり面白いなぁ。」


焼け焦げた服の隙間から、アニルがゆっくりと顔を上げる。


「傷がすぐに治るからって自分まで巻き込むなんてさぁ。」


「...うるせぇ、俺のやり方に口出すんじゃねぇよ。」


カーネルが立ち上がる。


「お前をぶっ殺せるなら、多少痺れるくらいどうってことねぇよ。」


アニルは目を細める。


「やっぱり君、好きだなぁ。」


「気色悪ぃんだよ。」


「ふふっ。」


アニルの周囲に炎が渦巻く。


「じゃあさ、もっと見せてよ。」


その瞬間、炎が一気に膨れ上がった。


空に、キラリと光が走った。


「...え?」


アニルが目を見開く。


次の瞬間。


両腕が落ちた。


「やぁ...おかえり。」


「待ってたよ、お嬢ちゃん。」


「ソフィ!」

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