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最強番長TS転生で非力から  作者: 塩レモン
第2章 魔女信教編

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第15話 はじめまして!こんにちは!!!

今日は濃く澄んだ青空だった。


風が心地良い。


俺とカレンは今日も訓練場へ向かう。


最近は目に見えて魔撃の精度も上がってきた。


着実に強くなっているのを実感する。


一週間前に意識不明だったオルガとレーンも目を覚ました。


二人が目を覚ましたと聞いた時は、正直ほっとした。


黒牙との戦いから、もうしばらく経つ。


あの時はどうなることかと思ったが、少しずつ元の日常を取り戻していた。


俺の怪我も完全に治った。


「ソフィ、今日は何の訓練するの?」


隣を歩くカレンが聞いてくる。


「いつも通り魔撃だな。まだまだ練習が必要。」


「え~!もう結構上手になったじゃん!」


「今日は少しやってみたい事があるからさ。」


「やってみたい事?」


「それは着いてから教える。」


「気になる!早く行こ!」


カレンが俺の手を引く。


「そうだ!今日の訓練が終わったら、甘いもの食べに行こうよ!」


「またか?」


「また!」


「この前も食べただろ」


「美味しかったからいいの!」


「...まあ、いいけどさ。」


「やった!」


カレンが嬉しそうに笑う。


俺も小さく笑った。


訓練後の甘いものは正直俺も毎回楽しみにしていた。


そんなくだらない会話をしながら、俺たちは街の大通りを歩いていた。











何が起きたのか、理解する暇すらなかった。











耳が痛い。


視界がぼやける。


体が痛い。


力が出ない。


何、何が起きた。


何が。


あれは火?


火事?


爆発?


熱い。


早く逃げないと。


カレン。


カレンは。


カレンはどこに...


何だコレ...血?


耳から血が出てる?


痛い。


痛い。


痛い!


「ソフィ...」


聞こえた。


籠った聴覚で確かに聞こえた。


近くにいるはず。


カレン。


カレンどこに。


どこ。


...居た。


「カレンっ!」


体が痛い。


でも、気にしている場合じゃない。


カレンの傍に。


早く。


一刻も早く。


俺は痛む身体を無理やり動かした。


「カレンしっかりして!」


耳から血が出ていて、身体にも瓦礫やガラスの破片が刺さっている。


...そうだ、魔法。治癒魔法


「だめ!起きて!カレン!」


カレンの傷が塞がっていくが目を覚まさない。


「安全な場所に...訓練場、訓練場なら近い。」


俺はぐったりとしたカレンをおぶった。


「っ...!」


体が痛む。


重い。


いや。


重いんじゃない。


今の俺の身体が、もう限界に近いんだ。


賑やかだった街はもう無かった。


子供たちのうめき声。


恋人の名前を叫び続ける女性。


声も出せずもがき苦しみ倒れている人々。


地獄だった。


歩く度にガラスが靴を貫き痛む。


「あっつ...」


突風が火を更に強める。


「カレンっ!」


火の粉がカレンの服を焦がす。


早くここから出ないと...


俺は腕を前に突き出した。


「魔撃ッ!」


一直線に飛んでいく。


風圧が火の手を散らしていく。


「よし...早く行かないと。」


このまま右に曲がればすぐ訓練場だ。


早く行かないと。


右へ曲がる。


...あれ?


「...なんで。」


いつもなら、ここから訓練場が見える。


でも、見えない。


見えるのは、黒い煙だけだった。


「あぁ...」


足が止まる。


「なんで...」


地獄に終わりなどなかった。


訓練場は、既に燃えて崩れていた。


「はじめまして!こんにちは!!!」


煙の中から声が響いた。


「誰!?中にいるのか?早くここから逃げないと!火が!」


「火?火ねぇ?そう!火!あははっ!お嬢さん面白い!面白いねぇ!!」


「な、なに言って。早く逃げよう?な?」


「逃げるぅ?」


煙の中から声の主が現れた。


白い修道服に赤いペンダントを付けた白髪の男が首を傾げ笑っている。


「なんで?」


「なんでって...ここは危ないだろ!」


「危ない?」


「火が広がってる!見えるだろ!」


「ははっ!」


「本当に面白いなぁ、お嬢さん!」


「...何が、何が面白いんだ!」


「こんな状況なのに、他人の心配してるんだ?」


「他人って...」


俺は背負っているカレンを見る。


「この子は友達だ。カレンは俺の大切な友達だ!他人なんかじゃない!」


「へぇ...」


「だから早く安全な場所に!」


男が笑った。


「その子を置いていったら?」


「...は?」


一瞬、何を言われたのか理解できなかった。


「な、何言ってるんだ?」


「そんな荷物さ邪魔なだけでしょう?」


「火が危ないんだよね?火が怖いんでしょ?」


「置いて行きなよ!そんな足手纏いなんかさ!」


「...ふざけるなっ!」


「おぉ?」


男が楽しそうに目を細める。


「怒った?ねぇ怒った?」


「当たり前だろ!」


俺はカレンを背負い直す。


「カレンは絶対に置いていかない!」


「へぇ...」


男は恍惚とした笑みを浮かべた。


「いいねぇ...いいよぉ...良い!!!」


楽しそうに笑った。


「そういうの、好きだよ!」


この男は普通じゃない何者なんだ...


訳が分からない。


「...お前、一体何なんだ?」


「ボク?」


男は自分を指差す。


まるで初対面の相手に自己紹介するように笑い、胸に手を当て軽く頭を下げた。


「ボクは魔女信教(まじょしんきょう)葬法司(そうほうし)」


「火葬(かそう)担当、アニル・フレイレル」


燃え盛る街の中、男の声だけが、妙に明るく響いた。


「魔女信教...」


「魔女様のご加護があらん事を。」

読んでいただきありがとうございます。

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