第10.9話 女子力
「ソフィってさ、なんか男の子みたいだよね」
カレンがまた唐突に話題を振ってきた。
男の子みたいっていうか、中身は男なんだが。
「そうか?」
「そうだよ」
カレンは俺をじっと見つめる。
「喋り方も男の子っぽいし、仕草も男の子っぽいし」
「別にいいだろ」
「よくないよ!」
「なんでだよ」
「ソフィは女の子なんだから、もっと女の子らしくしないと!」
「...面倒くせぇ」
「今の言い方も男の子っぽい!」
「じゃあどうしろっていうんだよ」
「女子力を上げよう!」
「女子力?」
「そう!」
カレンは勢いよく立ち上がった。
「まずは座り方!」
「座り方?」
「女の子はもっとこう、上品に座るの!」
カレンが見本を見せる。
「こう!」
「...」
「ソフィもやって!」
「こうか?」
俺はカレンを真似して座った。
「違う!」
「何がだよ」
「もっと女の子っぽく!」
「知らねぇよ、女の子の座り方なんて」
「じゃあ次!」
「まだあるのかよ」
「言葉遣い!」
「今のままでいいだろ!」
「よくない!」
カレンは腕を組む。
「『面倒くせぇ』は禁止!」
「『なんだよ』も禁止!」
「『知らねぇよ』も禁止!」
「もっと可愛く喋って!」
「例えば?」
「えっと...」
カレンは少し考えた。
「『そうなんだぁ』とか!」
「……」
「『嬉しいなぁ』とか!」
「『ありがとう』も柔らかく!」
「ほら言ってみて!」
俺はしばらく黙っていた。
そして、真顔で口を開く。
「...ソウナンダァ」
「棒読みすぎる!」
「無理だろ」
「諦めないで!」
カレンはソフィの両肩を掴んだ。
「女子力は一日にしてならずだよ!」
「だから明日から毎日特訓ね!」
「は?」
「...面倒くせぇ」
「今の禁止!」
「うるせぇ!」
「それも禁止!」
「じゃあ俺にどうしろっていうんだよ!」
「ほら! そういうところ!」
カレンは満面の笑みを浮かべた。
「私が立派な女の子にしてあげる!」
「その言い方、なんか嫌だな...」
結局カレンの女子力向上計画は三日坊主で終わった。




