第10.6話 怪談
ある日の夜。
魔導灯の明かりを消して、ベッドに転がっている。
その時、ドアが勢いよく開いた。
「ねぇねぇソフィ! 聞いて聞いて!」
「今から寝るんだけど...」
カレンが夜に飛び込んでくるのは、今に始まったことではなかった。
「で、何の話?」
「ねぇ、知ってる?」
「何を?」
「古い井戸のウワサ」
「...古い井戸?」
「そう!」
カレンはベッドの横に座った。
「この街の外れに、ずっと使われてない古い井戸があるんだって」
「へぇ」
「昔、その井戸に女の人が落ちたんだって」
「それで?」
「その人は助からなかったの」
「...」
「それから夜になると、その井戸から声が聞こえるようになったらしいの」
カレンの声が少しずつ小さくなる。
「『返して...』って」
「...それで?」
「その声を聞いちゃった人は、皆二週間以内に死んじゃうんだって」
「...」
「怖いでしょ?」
「まぁ、少しは...」
カレンが食いついた。
「そうだよね。怖いよね!」
「こんな怖い話を聞いた後に、一人で寝るなんて嫌だよね!」
「もう、ソフィったら怖がりなんだから!」
カレンは笑いながら立ち上がった。
「そんなソフィのために、一緒に寝てあげる!」
「いや、別に一人で寝られるけど...」
「ほら、もっとそっち寄って!」
「聞いてる?」
カレンはすでに布団へ潜り込んで抱き着いてきた。
「...カレン」
「なに?」
「お前、最初からこれが目的だっただろ」
「...」
カレンは目を逸らした。
「なんのことかな~?」
「絶対そうだろ!」
「ほら、もう寝よう!」
「話を逸らすな!」
「おやすみ!」
「おい!」
結局その日はカレンの抱き枕にされて眠った。
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