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地獄の毎日から目覚めた少女は、元王家の生き残りでした 〜新しい運命の扉を開く〜  作者: 白椿(しろつばき)


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第44話 分かれた道

——学園・生徒寮


朝の光が、カーテンの隙間から差し込む。


ミラベルはゆっくりと目を開いた。


無意識に胸元へ手を伸ばす。


ペンダント。


指先が触れた瞬間、かすかな熱が伝わってきた。


(今日から二年生……)


一年前の私は、こんな朝を迎えるなんて思っていなかった。


誰かと並んで歩くことも。


自分の力を信じることも。


きっと、できなかった。


でも——変わりたいと思った。


だから今、ここにいる。


これから先も。


まだ知らない何かに出会っても、前へ進みたい。


ミラベルは身支度を整え、部屋を後にした。


——


——学園・講堂


新年度最初の日。


全校生徒が講堂へ集められていた。


周囲には、いつもとは違うざわめきが広がっている。


「昇格者がいるらしい」


「特別科の再編成もあるって」


「三年に上がれなかった人もいるとか……」


ミラベルは少しだけ眉をひそめた。


その時。


「ミラベル」


振り返る。


そこにはノアとセレスが立っていた。


「おはよう」


「おはよう」


セレスは周囲を見渡しながら苦笑する。


「なんだか落ち着かない空気だね」


「そうだね」


ミラベルは胸元のペンダントを握る。


新しい一年。


何が待っているのか分からない。


それでも——


やがて、講堂前方の魔導掲示板が淡く光り始めた。


ざわめきが静まる。


浮かび上がった文字。



【特別科二年】


ミラベル


ノア・ルミエール


セレス・アルヴェイン


エルフィナ・クローディア


ガルド・レイヴン



一瞬の静寂。


次の瞬間、講堂が大きくざわついた。


「エルフィナが特別科に?」


「第一科の上位だったはずだろ」


「昇格ってことか……」


そして。


「待て……ガルド先輩?」


「二年じゃなかったのか?」


「三年に進級すると思ってた」


驚きの声が広がる。


ミラベルも目を見開いた。


(そういえば、前にリナが言ってたっけ、第一科にすごい子がいるって)


エルフィナが加わったことも驚きだった。


第一科で常に上位にいた彼女が、特別科へ上がる。


それだけの実力を認められたということだ。


だが。


それ以上に目を引いたのは、もう一人。


ガルド・レイヴン。


二年生だったはずの先輩。


当然、三年へ進級すると思われていた人物。


その本人が、掲示板の前に立っている。


険しい表情。


しばらくして、低い声が響いた。


「……納得できねぇな」


周囲が静まる。


ガルドは掲示板を睨んだまま続ける。


「三年に上がれなかったのは分かる」


拳が強く握られる。


「だが、なんで俺が一年上がりと同じ場所なんだ」


重い沈黙。


その時。


「評価の結果です」


静かな声が響いた。


エルフィナだった。


ガルドが振り返る。


「……評価だと?」


「はい」


エルフィナは淡々と答える。


「学園が必要と判断した配置です」


「気に入らなくても、それが事実でしょう」


張り詰めた空気。


ガルドの眉がわずかに動く。


しかし、反論はしなかった。


舌打ちだけを残し、その場を離れる。


残された生徒たちは顔を見合わせた。


——


発表が終わり、生徒たちは講堂を後にする。


ミラベルたちも人の流れに混ざって歩いていた。


「なんというか……」


ミラベルが呟く。


「特別科って、本当に厳しいんだね」


セレスが頷く。


「実力主義だからね」


「進級したら終わりじゃない、ってことか」


ノアも静かに言う。


上へ進む者。


届かなかった者。


新しく加わる者。


同じ特別科でも、その立場は決して同じではない。


ミラベルは、ふとガルドの背中を思い出した。


悔しさを隠せない表情。


認められなかった者の痛み。


その感情を、ミラベルは知っていた。


かつての自分も、同じ場所にいたから。


——


寮へ戻る途中。


不意に胸元が熱を帯びた。


「っ……」


ミラベルは足を止める。


ペンダント。


鼓動に合わせるように、かすかに熱を放っている。


進級試験の時と同じ感覚。


いや。


それ以上だった。


周囲を見回す。


誰もいない。


それでも。


何かがおかしい。


説明できない違和感だけが残る。


ミラベルは胸元を押さえた。


ペンダントは静かに熱を帯び続けていた。


まるで


忘れていた何かが。


こちらを見つけたように。

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