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地獄の毎日から目覚めた少女は、元王家の生き残りでした 〜新しい運命の扉を開く〜  作者: 白椿(しろつばき)


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第43.5話 水面下の波紋

——王都・王家監察局


暗い部屋。


窓は閉ざされ、

灯された魔石の明かりだけが、

机の上を照らしていた。


集められた数人の影。


机の上には、

大量の書類が積まれている。


「……王女様へ報告を」


低い声が響く。


「進級試験区域で発生した魔力反応について」


一人の男が書類へ視線を落とす。


「まとまったか?」


「はい」


紙をめくる音。


「旧防衛区域に存在しないはずの魔法陣」


「そして、規定外の魔力反応」


部屋の空気が重くなる。


「この報告書を王女様へ提出する」


「学園側は……信用できませんな」


別の者が口を挟む。


「偶然で片付けるには、不自然すぎる」


「監視が必要です」


「誰が潜る?」


ざわめきが広がる。


「学園内部を確認する必要がある」


「誰が何を隠しているのか」


「上手く潜入して調査を……」


その時——


扉が開いた。


「やーやー」


場違いな明るい声。


全員の視線が向く。


そこには。


「皆さん、お揃いで」


セドリック・ヴァレンタイン。


いつもの軽い笑み。


「僕も混ぜてくださいよぉ〜」


「……貴様」


「そんな怖い顔しないでくださいって」


セドリックは部屋へ入り、

机の上の書類を見る。


そして。


一瞬だけ。


笑みが消えた。


「……なるほど」


「やっぱり、出ましたか」


部屋の者たちが警戒する。


「知っていたのか?」


セドリックは肩を竦める。


「まさか」


「ただ——」


窓の外。


遠くにある学園の方向を見る。


「僕の知っている海は」


「もっと静かだったもので」


「何の話だ?」


「無駄口を叩くなら出て行け」


黒い影たちは、

苛立ちを隠さない。


だが。


セドリックは気にした様子もなく、

肩を竦めた。


「まあまあ」


「誰もやりたがらないなら——」


口元に笑みを浮かべる。


「僕が買って出ますよ」


「……何?」


数人の視線が集まる。


「それに」


セドリックは机の上の報告書を指先で軽く叩いた。


「僕には、少し気になることがあります」


「気になること?」


「ええ」


一瞬。


その瞳から、

いつもの軽さが消える。


「でも——」


「ここで全部話すほど、僕も親切じゃないので」


「……貴様」


「怖い顔しないでくださいよ」


セドリックは笑う。


「ちゃんと役に立ちますから」


黒い影たちは、

警戒と苛立ちの混じった視線を向ける。


そんな反応すら楽しむように。


セドリック・ヴァレンタインは、

静かに笑った。

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