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地獄の毎日から目覚めた少女は、元王家の生き残りでした 〜新しい運命の扉を開く〜  作者: 白椿(しろつばき)


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第33話 海沿いの旧防衛区域

眩い光が弾ける。


次の瞬間――


潮風が頬を打った。


「……海?」


ミラベルは目を見開く。


視界の先には、

荒れた灰色の海が広がっていた。


砕けた石壁。


半壊した監視塔。


錆びついた鎖が風に揺れ、

耳障りな音を立てている。


ここは旧海岸防衛区域。


かつて海から現れる魔物を迎撃するため築かれた拠点。


今は学園管理下の実戦訓練区域として使われている場所だった。


崩れた石畳の隙間から海水が入り込み、

ところどころ地面を濡らしている。


見渡すとノアとセレスがいない。


「あれ?二人は……?」


その時だった。


「——ミラベル!」


遠くから声が響く。


振り返ると、

少し離れた通路の向こうにノアとセレスの姿が見えた。


どうやら転移位置に多少の誤差が出たらしい。


「そっち行く!」


ミラベルが駆け出した瞬間――


ガァァァァッ!!


低い咆哮が響いた。


崩れた壁を突き破り、

黒い影が飛び出す。


「っ!」


魔獣。


鋭い爪がミラベルへ迫る。


だが。


「遅い」


銀の軌跡が走った。


ノアの剣。


魔獣は吹き飛ばされ、

石壁へ叩きつけられる。


動かなくなったそれを確認し、

ノアが視線を向けた。


「大丈夫か」


「う、うん……!」


ほっとしたのも束の間。


ミラベルの背筋がぞくりと震えた。


「——ノア、左!」


ノアが即座に反応する。


次の瞬間。


横の壁が砕け、

別の魔獣が飛び出した。


鋭い牙。


振り下ろされる爪。


だがノアの方が速い。


剣閃が走る。


魔獣は悲鳴を上げる間もなく崩れ落ちた。


セレスが目を細める。


「今の、分かったの?」


ミラベルは戸惑いながら首を振る。


「分からない……でも、嫌な感じがして」


ノアが剣を納める。


「助かった」


短い言葉。


それだけなのに、

ミラベルは少しだけ嬉しくなった。


けれど。


胸元が熱い。


ペンダント。


じわり、と熱が広がる。


まるで何かを警告するように。


(……何かいる)


潮風に混じる匂いも変わっていた。


海の匂いではない。


どこか淀んだ、

腐ったような魔力の気配。


セレスが周囲を見渡す。


「地図通りなら、この先が中央区画だ」


崩れた監視塔を確認しながら続ける。


「封印核もそこにあるはず」


「急ぐぞ」


ノアが先頭に立った。


三人は崩れた通路を進む。


途中、

何度か魔獣の襲撃を受けた。


だが。


ノアが前衛として道を切り開き。


セレスが魔法で援護し。


ミラベルが異変を察知する。


自然と役割が噛み合い始めていた。


やがて。


崩れた石壁を抜けた先で、

ミラベルの足が止まる。


「……あれ」


声が漏れた。


通路の先。


広場の中央。


そこに淡い黒光りが揺れていた。


「どうした?」


ノアが視線を向ける。


三人は慎重に近づく。


そして。


広場の中央に刻まれたものを見て、

全員が足を止めた。


巨大な魔法陣。


複雑な紋様が幾重にも重なり、

地面一帯を覆っている。


「これが……封印核?」


ミラベルが呟く。


だが。


セレスは答えなかった。


じっと魔法陣を見つめている。


その表情が険しい。


「セレス?」


呼びかけにも反応せず、

彼はゆっくりと眉をひそめた。


魔法陣を構成する線は、

黒く変色していた。


まるで血管のように。


ゆっくりと脈打ちながら。


不気味な光を放っている。


ぞわり、と寒気が走る。


風が止んだ。


波の音だけが響く。


「……おかしい」


セレスが低く呟く。


「こんなはずがない」


その瞬間。


ミラベルのペンダントが、

今までで一番強く熱を帯びた。


思わず胸元を押さえる。


じわり、と汗が滲む。


セレスは魔法陣から目を離さない。


その顔から、

いつもの余裕は消えていた。


「これ……本当に封印核なのか……?」

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