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シンシアとマリアが物騒な単語をたくさん並べて相談している内に、明日の狩りの打ち合わせをしにサラがやってきた
俺達の修羅場を見てかなり焦ったようだが
「私がパーティメンバーなんですか?タツキさんと組むのは明日の狩りだけかと思ってましたが…」
との言葉を聞き、シンシアが放心状態となる
これで俺の無罪放免が決定した
サラと明日の狩りについて計画を立てる
折角なので一番報酬の高い依頼を選んできた
「討伐対象はアンフィスバエナだったな」
「はい、尾の方にも頭がある双頭の大蛇です」
「毒の情報はあるか?」
「前と後で毒の種類が違います。後の頭の牙にある毒は即死の恐れもあるほど強力です。前の頭の麻痺毒は遠くからでも飛ばしてきます」
「お主よ」
「デカい上に麻痺毒と即死毒、2つの頭で激しい攻撃、しかも麻痺毒は飛ばせる。蛇だから巻き付きもしてくるだろうし、相当な難敵だな」
「あの…ええと、シルバー級で狩りに行くのは私くらいでしたね、普通はゴールド級のパーティで狩る相手です」
「タツキよ」
「よくソロで狩ったな」
「あの…え?あ、はい。後の即死毒さえ避けれたら、他の傷や麻痺毒は魔法で回復できますから」
「麻痺毒をか?」
「すぐに解毒するから大丈夫なんです。少し時間が経てばさすがに危ないですよ」
「タツキよ、聞いて欲しいのじゃ!」
「なんだよ。さっきからサラが気にしてるだろ、作戦会議の邪魔すんな」
「儂が悪かったのじゃ、謝るのじゃ」
シンシアとマリアはさっきまでの俺の様に、正座をしていた
「タツキよ、もう許して欲しいのじゃ、足が限界なのじゃ」
「まだ10分も経ってないぞ、俺は30分以上やらされてたからな」
「さっきはすまなかったのじゃ、もうあんな事はしないのじゃ。あ、足が…」
「マリアを見ろ、慎ましく反省しているだろ」
「反省しております」
「マリアはゴーレムじゃから、足が痺れたりしないのじゃ!一緒にするでない!」
「あーゴーレム差別だー、いーけないんだー」
「マスターがその様な事を…悲しいです」
マリアが目元に手で抑えているが、もちろん涙など出てない
「ち、違うのじゃ、マリア、儂はそう言う意味では…」
「もう、タツキさんもマリアもやり過ぎですよ」
シンシアが慌てているのを見かねてサラが助け舟を出す
ちなみにサラはマリアにもさん付けしたがったが、本人が頑なに拒否していた
メイドの沽券に関わるらしい
「まったく、仕方ないな。次は人の話を最後まで聞くように。わかったか?」
「わかったのじゃ!」
「じゃあ二人とも、もういいぞ」
赦しが出たのでマリアがスッと立ち上がる
「はあ、やっとじゃ。……うあぅ」
シンシアも続こうとしたが予想通り悶絶している
優しく紳士である俺は体勢を崩したシンシアを支えるために手を伸ばした
「どうしたシンシア、大丈夫か?」
そしてついうっかり足に触ってしまう
「やめろ!来るでない!そこはだめじゃあぁぁぁぁ」
追い討ちを受けてシンシアは断末魔の叫びをあげた
「お仕置き完了」
「タツキ様は悪魔か何かですか?」
「なんて事言うの。どう見て善良な一般市民だろ」
「魔族にあんな悲鳴を上げさせる善良な一般市民がどこにいますか…」
「言っとくけど、マリアも共犯者だからな」
「私はマスターの忠実なる僕です」
「嘘泣きしたり、これ見よがしに立ち上がったり。なかなかの忠義だな、おい」
「お褒め頂き光栄に存じます」
「くそう、皮肉が通じない…」
あまりマリアを弄り過ぎると思わぬ反撃がくるので、このあたりで引き下がる事にした
話を戻してアンフィスバエナ対策に集中する
「サラはどうやって倒しているんだ?」
「前の頭を潰してから後の頭を潰します」
「対策も何もねぇ…」
脳筋過ぎて参考にならない
「蛇の特性を考えるなら火なんかは有効なんじゃないかな」
「何故ですか?特に火に弱いとは聞きませんが…」
「蛇は基本的に目が悪い。代わりに発達した嗅覚で周囲を感知しているんだ。ただ毒蛇の中には熱を感知している奴もいてな。物陰にいる獲物も見つけられる」
「それは心当たりがあります。茂みの中を風下から近づいたのに離れた所から毒液を飛ばしてきました。後、目を潰してもこちらを補足してるように攻撃してきた事もありましたね。そう言う事だったのですか」
「やっぱりか…そこで俺の出番だ。感覚器の妨害を狙う。だが熱感知してるからな。離れた場所から火を放っても当たらないだろう」
「はい、アンフィスバエナは遠くからの火炎魔法は回避すると聞きます」
「火と言ったけど、俺達の体温より高いならそれで十分なはずだ。それに元々俺は魔法は使えない」
「…ではどうやって?」
「まず俺が遠くからスリングを使って感覚器を撹乱する、その後にサラがいつもの様に好きに戦ってくれ」
「遠くからの攻撃は避けられるのでは?」
「敵に当たるまでは熱を発して無いから大丈夫だ」
「そんな物があるんですね」
「まあね。その後はもう一つの頭を俺がスリングで牽制するから、サラは存分に暴れてくれ。今度は目潰しも効くと思うぞ」
「わかりました」
サラは力強く頷いている
信頼に応えるべく、俺も気合いを入れるのだった
「では行ってくる」
「行ってきます」
「お気をつけて」
「無事に帰って来るのじゃぞ」
「ああ。カルポ、頼むぞ」
手綱を引くとカルポは軽快に走り出す
しばらく駆けてアンフィスバエナの目撃された付近へやってきた
「少し降ってきましたね」
サラが水滴を掌で受けながら、曇り空を見て呟く
「そうだな、小雨ぐらいなら丁度いいんだが」
「丁度いい?ああ、そうでしたね」
「そう。マップに反応は?」
「まだありません」
カルポを操縦しながらマップを見るのは難しいので、サラの方に表示して確認してもらっていた
フィーの能力も俺のレベルに依存しているらしく、初めに比べていろいろと向上していた
それによりかなり広範囲を索敵できる様になっている
俺とフィーが遭遇してないモンスターは名前が表示されないが、ある程度はサイズの判別が付くのでおそらくアンフィスバエナとわかるだろう
アンフィスバエナは普通のでさえかなり大きいのに、今回討伐依頼が出てたのは5割増しのサイズらしいから尚更だ
「2時の方向に大きな反応があります、他のモンスターとは比べものになりません」
「わかった」
俺達はカルポから降りてゆっくりと近づく事にした




