↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/41

31

それから様子を見に部屋へ来た部下は、テーブルに伏して死んでいる主を見つけ大騒ぎしていた


それを見届けてからフィーを撤収させ、カルポで工房へ帰る


「あの男はなんで死んだのじゃ?」


街を出てしばらく走った所でシンシアが聞いてきた


さすがに街中では話せないので、気になっていたがここまで我慢していたようだ


「急性アルコール中毒、要は酒の飲み過ぎだ」


「最後は酔い潰れていたしのう。それにしても、儂らがフィーを使って監視してる最中に死ぬのは些か不自然なのじゃが…」


「一応カラクリはある。あの見張りの男に頼んで空瓶屋の主が飲む酒瓶に薬を混入させた」


「毒を盛ったのか?」


「いや、だから薬だって」


「ふむ、どんな薬じゃ?」


「アルコール、酒の酔う成分の事な。酒を飲んだらこのアルコールを身体の中で分解する。二日酔いはこれが全部分解しきれてない状態だ」


「それは知っておる。子供や下戸はそれができないから酒が飲めんのじゃろ?」


「そう、んで盛ったのはそのアルコール分解機能を無くす薬だ。本当は酒の味も不味くなるんだけど、そこは影響無い様に改良した。あと普通は分解能力を少し減らす程度だが、それを極限まで高めてある」


「つまりあの男は一時的に下戸になったと?」


「その通りだ。下戸と同じ体なのに酒瓶ごとラッパ飲みしてたからな。アルコールは最後まで分解できないと下手な毒より体に害がある」


「それで一気に酔い潰れたのか…」


「これで上手くいくかは五分五分だったけど成功してよかったよ、しかも初日に。何日も見張りたくないし」


「裏切りが続いてずいぶんと荒れておったからのう。飲まずにはいられんと言うヤツじゃな」


「これで結果が出ないなら、リスクを承知で拉致とかになるからな。ホント理想的な結果だ」


「なんでこのやり方が理想的なのじゃ?」


「空瓶屋の主がこれで死んだ場合、公的には俺達に疑いがかからない」


「まぁ酒の飲み過ぎで死んだ訳じゃからな」


「しかも部下や側近が2人行方不明だ。襲撃された跡が無く自室で死んでいる以上、毒を盛ったとしたら、そいつらが疑われる可能性が高い。部屋は荒れてるが、一人で暴れてるのを目撃してる部下もいるしな」


「なるほど、それで奴らが逃げ出すように仕向けたのじゃな」


「確実に逃げるかはわからないから、どっちかだけでも良かったんだけど、2人とも逃げ出したからな」


「じゃがな、もしあの見張りの男が捕まって、お主に命令されて毒を盛ったと証言したら不利ではないか?取り調べに嘘を見抜く魔道具を使うのは知っておるじゃろ?」


「だからあれは薬なんだって。酒浸りの人が酒を止める為の薬。あの男にもそう伝えてある。酒が楽しめなくなる嫌がらせだと理由をつけて」


「なるほど。それでは毒を盛ったと証言できんか。盛ったのは薬じゃからな」


「偶然だけど証拠になる薬の混ぜた酒も主が飲み切ってしまったしな。あの薬があんなに効果があると知ってるのは俺達だけだ」


「これではなかなか足がつかんな」


「それでも空瓶屋の主が死んだ事を知れば、あの見張りの男は自分が実行犯にされたと思うかもな。その時は更に必死に逃げるだろう」 


「なるほど、確かに理想的じゃ」


シンシアが納得したあたりで街道を外れて魔の森に差しかかった


カルポも心得たもので自分で減速する


「空瓶屋の主は魔の森工房に関わってから死んでるから、俺達に手を出して酷い目にあったヤツとしては2組目だろ?」


「そういえば返り討ちにしてやった愚か者がおったな」


「あの親分と空瓶屋、2つ続けば偶然とは言い難い。裏の方ではしっかりと警戒されるだろう。俺達に手を出すとロクなことにならないと」


「ただでさえ暗殺の依頼料が高いのに、更に跳ね上がるならおいそれと頼めんじゃろうな」


「しかもその高額な依頼料を払う見返りも空瓶屋以外には少ないしな。空瓶屋の後継にはほとぼりが覚めた頃に挨拶しとこう。仲良くしましょうねって」


「ふふふ、これ以上ない脅しじゃな」


「これで公的にも、非合法的にも俺達に手出しはしにくいだろう。人質になりえる孤児院はこっちにあるし」


そう言っている内に工房へ着いた




サラと子供たちは引っ越しも一段落し、マリアの作った焼き菓子を食べながらまったりしていた


サラとマリアを外へ呼び、さっきシンシアに話した様な感じで事の顛末を説明する


「さすがタツキ様、もう片を付けてしまうとは」


「ありがとうございます、これで子供たちも安心です」


「サラに関しては俺達の存在が引き金になってる所もあるから、あまり気にしないで良い」


「そうじゃぞ、元はと言えば加減も知らずに薬を売りまくったタツキも悪い。あれだけ売れば目の敵にされても仕方なかろう」


「ご自身が倒れるほどでしたからね」


「うぅ、その件は謝っただろ、今後は気をつけるよ。ただ遅かれ早かれ俺達は目を付けられたと思うけどな」


「まあそうじゃな、それは否定できぬ」


「サラ、明日は冒険者ギルドへ行くのか?」


「はい。最近仕事をできてないので、一稼ぎしようかと思ってます」


「なら空瓶屋の話を聞いたら教えてくれ。説極的に調べないでいい、噂程度で十分だから」


「わかりました」


「さて、あとは引っ越し祝いじゃな。晩飯は少し豪華にいきたいところじゃ。マリア、頼めるかのう?」


「お任せください」


「それなら何か狩って来ようか?」


「そうですね、牙猪があるとかなり豪華なものになります」


「あの、私も狩りへ…」


「サラは料理ができるだろ?マリアを手伝ってくれ。俺とシンシアは料理がダメなんだ」


「わかりました」


「…お主、儂が料理できないと思っておるな?」


「できるのか?」


「できるかできないかと言われれば確かにできぬ。しかし聞かれた事も無いのにできぬと決めつけられては遺憾じゃ」


シンシアは腕組みをしてすごい睨んでくる


「…あっそう、じゃあ行こうか」


「サラ。な、此奴はこう言う奴なんじゃ。乙女心の『お』の字も理解せん。絶対に今『何言ってんだコイツ』と思っておるはずじゃ。酷い男なのじゃぞ」


「はいシンシア様、肝に銘じます」


「まあタツキ様ですからね、致し方無いかと」


(…何故かアウェイ感がすごいぞ。男が俺しかいないからか?)


男女比が偏っているので仕方ないと思いながら獲物を狩りへ出るのだった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。