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子供たちが人形劇の続きを楽しみにしているそうなので、シンシアと相談して3日後にまたこの広場で開催する約束をしてから別れた
その後は予定通り冒険者ギルドで話を聞いたりして、モンスターの情報を集める
途中で副代表がこちらに気づいて声をかけてきたので事情を説明すると、近隣のダンジョンのモンスターについての情報も教えてくれた
「冒険者にとって回復薬や解毒剤は生命線です。あそこでポーションを販売してもらう事は我々にとっても大変ありがたい話ですから。それについての情報はいくらでも提供させて頂きますよ」
との事でかなりの情報が集まった
さすがに貴重な書類などは持ち帰れないが、フィーに記憶させるので問題は無い
「おかえりなさいませマスター、タツキ様」
「ああ、ただいま」
「…うむ」
帰りも俺が操縦したのでシンシアは後ろにしがみ付いていた
何故かおとなしいが、その分操縦に集中できて腕が上がった気がする
「いつか全速力で駆けさせてやるからな」
撫でながらカルポに話しかけると、なんとなく嬉しそうにしている感じが伝わる
「カルポは賢いよな、手綱から俺の意を汲むのが上手い。見た目がゴツいから最初は分からなかったけど、割りと人懐こいし。よしよし、いい子だ」
更に撫でるとブルルッと嬉しそうに顔を震わせた
その頃、カルポを愛でるタツキから少し離れてマリアはシンシアに寄り添っていた
「マスター、いかがでしたか?」
「…何がじゃ?」
「タツキ様の背中はいかがでしたか?」
「…まぁ悪くないのう」
「よかったですね」
「…何でマリアが嬉しそうなのじゃ」
「主の喜びは我が喜びです」
「正直に言わんか」
「あの引きこもりマスターが殿方の後ろに乗り遠乗りをする日が来るなんて…ふふ」
「引きこもり…まあそうじゃったかのう」
「しかも顔を真っ赤にしながら…ふふふ」
「う!赤くなどないわ…」
顔を背けながら否定するシンシアでしばらく遊ぶマリアだった
次の日は集めた情報を元に実際モンスターを狩ってみる事にした
「マスターお気をつけて」
「大丈夫じゃ、儂の防御魔法の腕はマリアも知ってるじゃろう。タツキもおるしな」
「ああ、シンシアはしっかり守るよ」
「タツキ様よろしくお願いします。マスター、くれぐれも油断なさらぬよう」
「わかっておる」
「じゃあ行ってくる、カルポ、頼むぞ」
手綱を引くとカルポが軽快に駆け出した
森の奥に入るとかなり木が多くなるので、カルポを降りて歩いて進む
「ん、ちょっと待て。この反応は牙猪だ」
シンシアを手で制し、反応のある方向を見る
「ここだと射線が通らないな、この辺なら…」
少し横へ移動しスリングで小瓶を投げる
「よし、命中。麻痺薬も効いてるな」
近づくと体長2メートル程の大きな猪が横たわり、細かく痙攣していた
下顎から伸びた立派な牙が特徴の獣型モンスターだ
この牙を使った突進攻撃を受けたら俺なんかはひとたまりもないだろう
インベントリから刃渡り50センチ程の片手剣を取り出して首に当て、体重をかけて深く突き刺す
しばらくして痙攣が収まったので血抜きをしてからインベントリへ収納する
「手馴れたものじゃな」
シンシアは腕組みをして感心していた
「ここまで大きなのは初めてだから、そうでもない。この剣がなかったらトドメに困ってたろうし」
持っていたナイフは刃渡り20センチも無いので、かなり手こずっただろう
人形館の瓦礫リストにあったのだが、トドメ用に借りていて正解だった
「その剣は13番のじゃな。10番台は儂がまだ未熟なせいで小さなゴーレムばかりじゃったが、素早く動くのでなかなかの手練れ揃いでもあった」
「…全部覚えているんだな」
「もちろんじゃ。こやつらは何故か勇者の話が好きでのう。よくせがまれて読み聞かせておった」
(なるほど、だから子供たちの扱いが妙に上手かったのか…)
シンシアが少し寂しそうに遠くを見る
マリアに鹿と猪なら料理できるので、余裕があるなら狩って欲しいと頼まれていたのだが、その分は確保できたようだ
「しかしお主とフィーの連携は隙がないのう」
「そうなるように工夫したからな。半分くらいは偶然だけど」
索敵、モンスターの判別、効果のある毒薬を用いたスリングでの遠距離先制攻撃、トドメを刺してインベントリへ収納
大抵のモンスターならこの流れでいける
数が多い時やこちらより索敵範囲の広いモンスターだとまた変わってくるが、その時の備えもある
「お…、やっと見つけた。今日の目的の一つ、一角兎だ。ただ…」
「ただ?」
「めちゃくちゃ数が多いな、おそらく30羽はいるぞ」
「それは…大丈夫なのか?」
「さすがに多いな…でもやるしかないぞ、こっちに向かってる」
「ど、どうするのじゃ?」
「シンシアはここで自分の身を守っていろ、俺が引きつける」
そう言って駆け出すと右手にナイフを構えた
左手には蓋の開いた小瓶が3つ
中身は種類の違う麻痺薬2つと睡眠薬で、どれも揮発性を高めてある
最初に現れた2羽の一角兎の攻撃を避けつつ、瓶の中身を振り撒く
すれ違った兎は2羽ともそのまま地面に倒れて動かない
フィーからの情報で睡眠のステータス異常を確認した
(やはり麻痺はどちらも耐性ありか、だが睡眠は効く!)
素早く左手の小瓶を全て睡眠薬に持ち替える
茂みの奥から次々と兎が現れるが、避けたりナイフで威嚇しながらも小瓶の中身を振り撒き続ける
そうこうしてる間にどんどん兎は地面に倒れていき、ついに動く兎は居なくなった
「シンシアもう大丈夫だ、すまんがトドメを刺すのを手伝ってくれ」
情報に寄れば魔の森の一角兎はなかなか凶悪なモンスターだ
中型犬サイズと兎にしては大きな体に立派な角があり、その角を使ったジャンプ攻撃はかなりの貫通力だ
しかも角には麻痺毒もあり、かすり傷でも行動不能になる危険もある
そして基本的に群れを作るので数が多い
ジャンプ攻撃は単調なので、落ち着いて対応すればブロンズ級冒険者でも5羽くらいなら倒せるが、麻痺を受けると一気に形勢が不利になる
この麻痺毒の解毒剤はメティスでも売っているが、戦闘中に解毒剤を飲む隙などなかなか無い
(耐性薬を用意できたら人気商品になりそうだな)
トドメを刺すたびにヒィヒィ言っているシンシアを見ながらそんな事を考えていた




