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投稿ミスで06と07が同じ内容になっていました
07を修正しましたので、よろしければ御一読ください
「フィーに関してはこれで全部だ」
「………まだ何かあるのじゃな?」
「実はまだあるんだ。これからしばらくは工房作りのパートナーとなるワケだし、きちんと伝えておこうと思ってな」
「う、うむっ!」
パートナーと聞いたシンシアが顔を赤らめる
その反応は面白いが話が進まないのでスルーだ
本を取り出すイメージをすると、左手に重さを感じた
「錬金術大全、俺の知識の源だ。錬金術の全てが書いてある。とは言えレベルに応じて読めるページが増えるのでまだ半分も読めないが」
シンシアは急に現れた分厚い本に驚いたが、本を開くと興味深そうに覗いてくる
「………なにも書いておらんが?」
「俺以外には読めないようだ。いつでも取り出せるので腹に仕込んで拳から身を守る事にも使える」
「……あの時のか。こんな大層な物をなんと言う使い方じゃ」
「あんな拳、生身で受けたら死んじゃうだろ」
「確かにそうなんじゃが……。ちなみにあの時助けて貰った手前言わんかったが、常に魔法で障壁を張っておるからあんな攻撃は儂には効かぬぞ」
「そうなのか…足が震えていたから、そんな備えがある様に見えなかったぞ。ていうかお前、障壁あるのにびびっていたのか」
「な!びびってなどおらんぞ!震えてもないわ!」
「結構びびってたろう。声も裏返ってたし」
「裏返ってなどないわ!しっかり啖呵を切ったであろう!ビシッと決めておったわ!」
「啖呵を切るは言い過ぎだろう」
「お主こそ『まあまあ落ち着グボォ』とか言ってぶっ飛んでいたではないか!グボォって」
「あー!お前助けに入った人にそんな事よく言えるな!あれはワザと殴られてアイツらの立場を悪くする所までが脚本なんだぞ!」
「いーや!あれは予想よりも威力がすごくて普通にやられてだだけじゃ!脚本に『グボォ』まで書いてあるワケがないじゃろう!」
(ぐぬぬ、シンシアのクセに意外といい所を突きやがる。実際めちゃくちゃ痛かったし)
しかしここで引き下がるワケにはいかない
「違わい!グボォも計算通りなんだ!俺が派手に倒れたからお前が漏らしたのもバレなかったんだぞ!」
「たわけー!漏らしてなどおらんわ!乙女が往来で漏らすわけがなかろうがー!」
しばらく不毛な争いが続いてしまった
「なんか疲れたから手早く済まそう」
「お主が要らん事をぬかすからじゃ」
「スキル『10倍速』、発動する事で10倍の速さで動ける」
「なんじゃその恐ろしいスキルは。なんでも有りではないか」
「まあ聞け、そんなに世の中甘くない。これはそのままだとかなり使い勝手が悪い。具体的に言うと10倍で動けるが、10倍の負荷がかかる」
「つまり?」
「発動して高速移動した俺は、負荷に耐えきれず全身骨折した状態で移動先に倒れている」
「…………使い勝手とかそう言うレベルでは無いのう」
「それでもなんとか4つほど活用方を見つけてな。1つはスリングの投げるタイミングを正確に測る。これで百回投げても百回同じタイミングで投げれる。時間感覚も10倍で、周りがかなりゆっくりになるからな」
「おー」
「2つ目は錬金術を使う時。これは結構活用できてるんだ。素材に送る魔力の波長を細かく変えて反応を見たり、アイテム作製時に全魔力を完全に同調させて効果を最大に引き上げたりな。あの接着剤なんかはそのおかげでかなり性能を上げてある」
「通りでな。あんなに効果のある接着剤は聞いた事が無かったのじゃ」
「3つ目は高速思考とでも言うのかな。発動中は俺だけ時間感覚が10倍だから、人の1秒間に俺は10秒間考えれる。焦らずに余裕を持って判断できるのは結構重要だったりするぞ」
「なるほど。お主があまり動じないのはそう言う理由からか。年の割りに肝が座っておるなと思っておったわ」
「毎回使ってるわけじゃないけどな。4つ目はフィーの行動予測と組み合わせた回避行動。これは気休め程度だ。俺は早く動けるワケじゃないからすぐ限界がくる。加減が難しいから等倍でしか動かないしな。下手に高速で動くと足を骨折する」
「先読みは出来ても体がついてこないのじゃな。何と言うか、本当に使い勝手が悪いのう。どの活用法も10倍で動いておらんし」
「最後の能力は全状態異常無効、毒・麻痺・睡眠・石化・沈黙・混乱などのあらゆる状態異常が一切効かない」
「……フィーも規格外じゃが、お主と相当じゃな。そんな能力聞いた事がないわ」
「その分代償もしっかりあってな。俺は経験値が1割しか入手出来ない。なかなかレベルが上がらないんだ」
「それも随分と恐ろしい呪いじゃな。レベルがロクに上がらねばずっと弱いままじゃ。しかしお主はその割に困ってなさそうじゃが」
「大抵の敵はスリングで投げた特製の毒薬で倒せるし、状態異常の効かないゴーレムは固めて無力化できるから実際あまり困ってない。唯一、錬金術大全がレベル依存なのが難点だ。とまあ俺自体の能力はこんな所だ」
俺が話終えるとシンシアは何やら考え込んている様子だ
今度は俺がフィーを撫でていると、しばらくしてシンシアが口を開く
「なぁお主よ、一体どこから来たのじゃ?」
長く生きているはずのシンシアなら分かるかと思っていたので、その質問には驚く事も無かった
「どこから、とは?」
「場所ではない。時代が違うと言うか、いやそれでは説明が付かぬか…」
「さすがに長生きしてるだけあるな。俺は違う世界から来たと思ってる」
「ふむ、やはり稀人であったか」
「まれびと?」
「その時代ではあり得ない知識や能力を持つ者の事じゃ。長く生きる我らでも知る者はそう多くない、珍しい話じゃがな」
「稀人の話にははどんなのがあるんだ?」
「約千年前に魔族の王が大量のモンスターを操って世界を征服しようとしてのう、それを阻止した人間が稀人じゃったと言われておる」
「勇者?」
「うむ、まさしくそう呼ばれておったようじゃ。尋常ならざる力と魔法でたった1人でモンスターの大軍を退け、遂には魔族の王を滅ぼしたらしい」
「1人でか、すごいな」
「ちなみにその者が王国の祖でもあるぞ」
「へー」
「あとは500年程前に帝国に現れた博士あたりが稀人ではないかと言われておる」
「博士?」
「自らをそう呼んだらしい。様々な発明をしたらしいが、どれも珍妙で使い道も良くわからん物ばかりだったそうじゃ」
「まあ、こちらでは使える物は限られるしな。動力もあまり無いし」
「確か数年で死んでしまったはずじゃ。死後は全ての道具が破棄されたらしい。どうも時の権力者に楯突いて殺されたとの話じゃ」
「あー、研究者とかって変わり者が多いからな。世渡りが上手な印象が無いな」
「この辺りの話が通じるなら、お主と同じ所から来たのかのう?」
「どうかな?博士はそれっぽいけど、王国の祖になった勇者は違うかも。俺のいた所では魔法は無かったし。いやでも500年前には博士とかいないか…。やっぱりよくわかんないな、すまん」
「いや、いいんじゃ。別に儂は稀人の研究をしてるのでも無いしのう」
「俺は前の世界で死んだんだが、その後に色々と能力を身につけてな。それで気づけばテーベ村の近くに居たんだ」
「蘇ったのか?アンデットかのう?」
「いや、新しい肉体に俺の魂が入った感じだ。俺の元の体は事故でまともに動けないほど酷い有様だったからな。あの体で蘇っても数分で死ぬ自信がある」
「なんと言うか、お主は性格の割りに不憫な人生を送っておるのう」
またシンシアに同情されてしまった




