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12、異世界を生き抜くために、スキルさんが役にたつのか検証します



 かくれんぼ続行中です。

 何故だか再びローザが隠れる番になりましたので、木に登って息を潜めることにいたしました。

 実は自由に出歩いていいのは屋敷の中だけと言われているので、中庭はグレーゾーンだったりする。

 でもここも屋敷の一部だよね。と開き直りました。

 この支配からの卒業!という、よくわからない衝動にかられ、窓から庭に飛び出してしまいましたが、一体あれはなんだったのか自分でもよく分かりません。

 そして、ステータス画面も、よく分かりません。


「うーむ。スキルは発動していると思っていいんだよね」


 空中に出現しているパネルのスキル欄には、四つのスキルが表示されていた。


 ポーカーフェイス(鉄面皮)

 パーフェクトガード(物理・魔法攻撃無効)

 オールクリーン(状態異常無効)

 イミテーション(猿真似)


 この内、ポーカーフェイスを除く三つを現在発動させている。

 とゆーか、常時発動している。

 本当ならポーカーフェイスも常時発動のはずなのだが、何故だがオンオフの切り替えが出来た。


 実のところ、これは大変助かった。

 せっかく表情も豊かな健康優良児を心がけたのに、ポーカーフェイスのせいで常に無表情な少女になってしまったら、キースパパやキースママに心配をかけてしまうではないか。

 最悪病院監禁ルート突入だしな。

 うん、気を付けよう。


 さて。死亡エンドを回避するために、自分の能力を確認しなきゃなりません。

 そこで!ローザさんの考え付いた方法がこれです。


『死亡エンド回避までの道~スキル確認の巻き~』


 どん!というセルフサービス効果音と共に、前世?の文字で作戦内容を書いた紙を広げた。

 もちろん、向かいに座るプリティーさんに見せて説明するためだ。


「スキル確認その1!【オールクリーン】編!あらゆる状態異常を無効化する、とっても優秀な彼が本当に発動しているのか、今から検証してみたいと思います!はい、拍手!」


 パチパチとセルフサービス拍手を行いまして、紙を一旦片付ける。

 ちなみに、かくれんぼの最中なので、声も拍手もちぃさく慎ましく、木の上で作戦進行中です。


「さて、検証する方法ですが、メニューの中のアイテムボックスを選択し、実験道具をいくつか取り出しましょう」


 ぽちぽちとメニュー画面を動かし、アイテムボックスを開いた。

 するとまぁあるわあるわ、色々あった。

 21回のプレイで集めた武器や道具やネタアイテムが、ぎゅぎゅっとみっちり詰め込まれていた。

 まぁ、文字の羅列なので、ホントにボックス内がぎゅっぎゅっとみっちりなのかは知らないけどな。


 さすがに特殊アイテム的なものはなかったです。

 特殊アイテムってやつは、例えばローザの首飾りのように『境スタ』のストーリーに深く関わっていて、売却や引き継ぎが出来ないアイテムの事です。


 で、特殊アイテム以外の武器やら薬やら素材やらはどっちゃりなアイテムボックス内には、保有限度数の999の数字が並んでいるやつもありまして……。

 しかも……取り出したのに何故だか数字が減っていないやつもありまして。

 でも、ちゃんと減るのもあったりして。

 ローザ、もぅよくわからない。


「バグですか?バグですかねぇ?ステータス画面もバグだったりしますかね?」

 

 だったらスキルもバグってますかね?

 検証しないとダメですね?

 で、現在に至りました……っと、これと、これと……あとはこれもいっとくか。

 ぴこぴこ画面を操作して、ボックスから目当てのアイテムを選択する。


「【万能薬】×2と【とっても美味しい水でありたい】と【シビレ粉】と【毒瓶】!」


 黄色い粉末が入ったちっちゃな瓶と、紫色の液体と、オレンジ色の液体が入った瓶。

 そして、ひたすら美味しくありたいと願っている水(一応、下位のHP回復薬的なやつです。いまのステータスにHP表記はないんですけどね)をアイテムボックスから取り出した。

 

 そう。

 ローザさんが思い付いた検証方法とはこーゆーことだ。


「名付けて『状態異常無効(オールクリーン)さんが正常に作用しているなら、【シビレ粉】や【毒】を飲んでも問題ないじゃん!』方法。詳細は省く!」


 いや。

 詳細とか要りませんよね。

 読んで字のごとくってやつですよね。

 全力で体を張ってますよね。

 スキルがバグってたら、最悪ローザは死にます。

 一人木の上で、孤独に苛まれながら……っと、そーならないために、目の前には親友のプリティさんがいるわけですが、彼は心の支えにはなりますが、死亡エンドの回避の役にはたちません。なぜならば。


「最後まで見守っていてね、ウサヒャン」


 ぬいぐるみだから。

 そんなわけで、ローザは孤独に頑張るのです。


 誰だいま『うわぁ、ぬいぐるみに話しかけてる……引くわ』って思ったやつ!

 ぬいぐるみしか友だちが(まだ)いないよ!悪かったな、ほっとけ!


 こほん!

 気を取り直して、さっそく検証実験を行いたいと思います。

 シビレ粉用意!


「せいやー!服毒!」


 おおいに掛け声を間違ったが、気にしない。

 黄色い粉が入った小瓶の蓋を開けて【とっても美味しい水でありたい】で流し込む。

 心の支えはウサヒャンと【万能薬】だけです。


 そして。


「ぶブハーっ!ぐぇほっ!ごほっごほっ!」

 

 盛大に口から噴き出した。

 そして、むせた。

 美少女のお口が水鉄砲です。

 とてもとても、お茶の間の皆様にはお見せできない映像でした。


「な、なぜにカレーの味がするとですか?」


 シビレ粉がカレーの味がするとか、もう、どうしろと?

 色がついてるのもどーかと思いましたが、無味無臭が最低限の条件じゃないですかね?

 こっそり誰かに飲ませるとか無理じゃねこれ?


 仕方がないので【美味しい水でありたい】に粉をいれて、蓋を閉じて上下に振って混ぜ合わせる。

 わぁい。黄色い飲み物が出来たぞぉ。

 うん。飲みたくない。

 しかし、検証方法は他に思い付かないのであった。

 やるしかない。やるしかないのです、ローザ!


「…………いただきます」


 覚悟を決めた私は【ポーカーフェイス】をオンにし、心を無にしてそれをイッキ飲みした。

 ぶっちゃけ【ポーカーフェイス】は精神面には作用しないけどな!


 あれれ。ローザはヒロイン(だと信じている)なのに、何でこんな芸人さんみたいなことをしているんだろう?


「ぬるくて、うっすいカレー味、激マズ……」


 【ポーカーフェイス】が大活躍して、表情だけはクールなローザさんであった。

 そう、ついさきほど噴き出した黄色い水で、親友のプリティさんの毛並みが黄色に染まっていることに絶望しても、ローザさんの表情は一ミクロンも動きませんでした。




「続きまして、毒瓶も試してみたいと思いまーーす!」


 うっすいカレー味のなにかを飲んでしばらく待ったが、舌も手足も特に痺れることなく正常のままです。

 状態異常無効(オールクリーン)の兄貴が頑張ってくれているのだと信じたいが、毒を防げなきゃプロとは言えねぇぜ。ちょっとテンションがおかしい件は置いておく。

 さて、今からが本番だぜ兄貴。


 目の前に、こども向けアニメに出てくる魔女が大釜で煮詰めていそうな、紫色の怪しい液体が入った小瓶がある。

 そして、その向こうに黄色い毛並みにイメチェンした親友が座っている。

 いや、ほんとそれは私が悪かった。

 心の底からごめんなさい、ウサヒャン。


「ウサヒャン。こんな私だけど、それでも最後まで見守っていてね」

 

『うん!もちろんだよ、ローザ』


 さて、セルフ返事も終わったので、いってみよう、やってみよう。


「はいさー!服毒ー!」


 もしもの時の命綱。

 【万能薬】を左手に握りしめ、紫色の怪しい液体を喉の奥へと注ぎ込んだ。

 ごくごくと喉をならして、それを飲み干した。

 カトン!と音を立て、腰かけている木の枝の上に、空になった瓶を叩きつけるように置いた。

 えー、なんともーしますかね。この見た目がどろりとして、怪しすぎる紫の液体の、気になるお味はと言うと。


「とっても美味しい、リンゴジュースです、ね」


 甘すぎず。かといって酸味が強過ぎもせず、後味もスッキリなとっても美味しいリンゴジュース味の、毒でした。

 どうしてグレープ味で無いのかは、永遠の謎です。




 そんなわけで、数時間たっても体に異常は現れなかったので【オールクリーン】の兄貴はちゃんと使える兄貴だと証明されたのであった。


 ローザの死亡エンドを打破する準備がひとつ整った。








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