第3話 星渡術師からの試練、力E勇者への極限挑戦。
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伝説の【星渡術師】アパティがついに登場しました。
今回はトゥエンが挑む大魔導師の試練と、王都への旅が含まれています。楽しんでいただけたら嬉しいです。
朝風の中、アパティ・ヴィルズは静かに俺の様子を眺めていた。その琥珀色の瞳が俺の全身を舐めるように見ても、そこには一切の感情の揺れがなかった。
道端の石でも見るような目で見つめられ、俺の社恐本能が瞬時に発動した。俺は思わず腰を曲げ、前世式の標準的なお辞儀をした。
「大魔導師、初めまして。俺はトゥエン・ドレイク、この世界の勇者です。よろしくお願いします!」
しばらくして、俺が少し目を上げると、彼女は珍しい動物でも見るような目で俺を見て、それからうちの周りの環境をちらりと見た。
どうやら「歴代勇者の中で最弱」の俺は、大魔導師の目にも留まらないらしい……
「私は【星渡術師】、アパティ・ヴィルズ」
彼女の口調は軽く、俺の悲惨な属性を嘲笑うことも、この奇妙な礼儀について何か言うこともなかった。
その瞳には、俺を見下すような蔑視の態度もなかった。強いて言えば、冷徹さと理性が共存しているような感じだ。
「王都で学ばせてください。魔王を倒せる勇者になるために、修行したいんです!」
真剣にそう願い出た後、俺はうつむいて、彼女を直視できなかった。
アパティ・ヴィルズ、ゼルド初級魔法学院の創設者。俺が「勇者」という身分でなければ、彼女が自ら来ることはなかっただろう。しかし、俺の「最弱属性」を知った上で、彼女は俺をどう見るのか……
「魔王を倒す?」
アパティはその言葉を繰り返し、それから微かに首を振った。
「あなたには、可能性を何も感じない」
やはり、俺は嫌われたのか?
「大魔導師、うちのトゥエンは確かに才能はありませんが、苦労を厭わず修行に励んでいます!」
母が彼女のそばで説明したが、俺はこの大魔導師がそれで納得するとは思えなかった。そうだよな、神父でさえ首を振ったこの凡才が、高人に頼ろうなんて思うのが間違いだったんだ。
「基礎的な礼儀は悪くない。しかし、それだけだ……勇者なら、腕前はあるんだろうな?」
「え?」
俺が理解する前に、アパティはそばから紫の宝石が下がった魔杖を宙に出現させ、しっかりと握った。
構造魔法?!しかも詠唱の前触れすらない?
「大魔導師殿下、これは一体——」
「魔王を倒したいのなら、私に可能性を見せてみろ。口だけなら意味はない」
【微星魔法】
彼女が魔杖を掲げると、数多の輝く星が散弾のように俺の目の前を駆け抜け、次の瞬間、俺の両目はまばゆい白光に包まれた。
「まぶしっ!」
俺は思わず目を閉じた。両親が驚きの声を上げて止めようとしたが、足は見えない風にがんじがらめにされて動けない。
まずい、これはあの大魔導師が俺を試しているんだ!試練なら、何か反応を見せなければ、本当に無能として拒否されてしまう!
「フランルーティス!」
「わかってる——」
首元の毛布が胸元まで巻き付き、盾のように張り詰めて、相手の魔杖の先端からの突きを同時に防いだ。
「パシッ」
鈍い音がして、俺は目の前に盛り上がった毛布を見た。
危なかった!もしこの一突きが当たっていたら、この小さな体では痛みでのたうち回っていただろう。しかし明らかに、アパティは魔力を一割も使っていない。魔法の光すらなく、まるで言うことを聞かない子供を杖で叩くように、魔杖の先端で軽く突いてきただけだ。
「ほう?」
アパティは魔杖を受け止めた毛布を見て、その琥珀色の瞳に初めて、ごく微かな波紋が走った。
「女神の加護か?」
え?彼女の心の声が聞こえる?
いや、これはおそらくフランルーティスが一時的に俺に貸してくれた「心読み」の能力だろう。どうやってやったのかは知らないが。
「もう、勇者様!相手は大魔導師ですよ、勝てるわけないじゃないですか」毛布の中からフランルーティスの慌てた囁きが聞こえた。「大きな動きをして、相手をびっくりさせればいいんです!」
目を引く?俺の両目はまだ光のせいで痛くてしみるんだが!
しかし、やらないわけにはいかない。藁にもすがる思いだ!
【引曳魔法】
俺は左手を上げ、アパティの体を引き寄せようとした。しかし思惑は外れ、魔法の力は彼女の深紫色の法袍の襟をかろうじて引っ張るだけだった。
そして次の瞬間、力任せに突き込まれた魔杖が俺の腹部を捉えた。
「おえっ——」
腹部に走った激痛で、危うく朝食を吐き出しそうになった。続けて、押し出すような力で俺の全身がひっくり返された。
「支えきれません、勇者様!」
フランルーティスが化していた毛布が宙でほどけた。次の瞬間、俺は空中で後ろに何度か回転し、最後に背中を家の門の柱に強く打ちつけた。
天地がぐるぐる回る。
「トゥエン!」両親が慌てて駆け寄ろうとしたが、アパティに魔法をかけられ、その場で叫ぶことしかできない。
今の一撃、もし毛布が衝撃の大半を受け止めてくれていなければ、この力Eの小さな体は骨折していただろう。
「これは……」
俺は目をこすり、頭がぐらぐらする中で、ゆっくりと顔を上げた。
そして、見てしまった:
さっきの【引曳魔法】の引っ張りで、アパティの深紫色の法袍の襟が大きく開いていた。白いレースのブラジャーに包まれた、雪のように白く豊満な双峰が、無防備に俺の視界に飛び込んできた。
時間がこの瞬間、一瞬止まった気がした。
待て待て。今は人生の大事な場面なんだ、アパティの美しい姿を気にしている場合じゃない。こんな展開、精神的には高校生の6歳児にはちょっと刺激が強すぎないか!
しかし、アパティはただ微かに眉を上げただけで、感情のない琥珀色の瞳で、上から俺を見下ろした。
「あなた、合格よ」
「え?」
待て、俺はボコボコにされた上に、見てはいけないものまで見てしまったのに、これが合格?
アパティは俺の戸惑いを無視して、まっすぐに振り返り、馬車へと向かった。
………
「早く帰ってきてね、トゥエンちゃん~」
「うん、早く魔王を倒して、家に帰ってくるよ!」
俺は両親と名残惜しく別れ、この大魔導師の馬車に乗った。故郷をゆっくりと離れる時、俺は窓から顔を出し、芳菓村というこの小さな村を眺めた。
「勇者様、家が恋しいですか?」
「もちろん! 少なくともここでは、俺は楽しくやれていたから」
俺はアパティと向かい合って座っている。車内の雰囲気は決して和やかとは言えない。
背が低すぎるので、俺の両足は宙に浮いたまま、馬車の揺れに合わせてぶらぶら揺れている。
俺は時折顔を上げてこの大魔導師を観察し、時折うつむいて床に目をやり、彼女のあのつやつやした皮のブーツをじっと見つめた。
「トゥエン」
「はい!」
俺はすぐに背筋を伸ばし、顔を上げて、彼女と目を合わせた。
「はっきり言っておくわ」アパティは馬車のクッションにもたれかかり、非常に穏やかに言った。「あなたの才能では、魔王を倒すことは不可能よ」
「あ? ああ……」
やはり、俺は弱すぎるのか? 事実だとわかっていても、大魔導師に面と向かって「お前はダメだ」と宣言されると、やはりかなり堪える。最初から転生の時に、パネルを適当にいじらなければよかった!
「勇者様、そんな嫌な顔しないでくださいよ~。いざとなったら私があなたを包んで、こっそり転がり落ちてあげますから」
「ちょっと落ち着かせてくれないか? 女神様……」俺は仕方なさそうに小声で呟いた。
「えへへ、ごめんなさいごめんなさい~」
「俺はすべての魔法と戦闘技術を学びます。どれだけ練習しても構いません。以前の勇者のように、民のために貢献できるなら!」
俺は勇気を振り絞り、短時間で心の中で組み立てた台詞を一気に言い切った。
「そう」
彼女が口を開いた時、俺は条件反射のようにうつむいた。
「以前の勇者の中には、確かに一線を退き、民のために尽くした者がいたわ」彼女は淡々と続けた。まるで古い歴史書を読むような平坦な口調で。「当時彼は能力を使い、世界六境のうち五穀豊穣、国泰民安を実現した」
いい人のように聞こえる。
「失礼ですが、大魔導師……」俺は彼女が黙った後、慎重に唾を飲み込んだ。「その勇者はその後どうなったんですか?」
「彼?」アパティは一瞬止まり、何気なく言った。
「死んだわ」
「死んだ?!」
「そう、魔王に殺された」
彼女はごく普通の小事を話すように言ったが、俺の耳には雷のように響いた。
待てよ、あの世界を救った勇者の最期が、たった一言「魔王に殺された」で片付けられるのか? この勇者の先輩、あまりにも報われなさすぎる!
どうやら、この世界は俺が思っていたよりずっと危険らしい……
俺は突然、さっきまでの熱意がまるで白痴のようだった気がした。
「勇者様、そんなに悲観的にならないでくださいよ~」首元の毛布が俺の体をくすぐりながら言った。「歴史上、魔王に勝った勇者だっていないわけじゃないんです。あなたの刻苦勉励なら、絶対に成功できますよ!」
うん、と俺は女神に適当に応えた。
「私……」
「魔王は勇者にしか殺せない。それはわかっているわね?」
「わ、わかりません」
フランルーティスのやつ、どうしてこんな致命的な設定を事前に教えてくれなかったんだ! 道理で、俺は「最弱属性」のチビなのに、アパティのような大魔導師がわざわざ来るわけだ。
「まったく。上の連中はほとんど気にしていないようね……」彼女の口調には少し不満があった。どうやらその失職した者たちに呆れているらしい。
「大丈夫です、どうせ俺は弱いし、誰も俺を探しに来なくても当然です。たとえ誰かを派遣しても、俺の属性を見たらすぐに諦めるでしょう」俺はため息をつき、自暴自棄になって後ろにもたれた。
「何を馬鹿なことを言っているの」
アパティが突然振り返り、その琥珀色の瞳で冷たく俺を睨んだ。
「許してください、【星渡術師】様……」
俺は思わず彼女に頭を下げて謝った。
しかし、顔を上げた時、彼女がいつの間にか身を乗り出して近づいていたのが見えた。
深い色の皮のブーツを履いた足が俺の隣の席に置かれ、彼女は右腕を伸ばして、直接俺の頭の横に手をつき、俺の全身を完全に彼女の影の中に包み込んだ。
「あなたにはまだ粘り強さがあると思っていたのに、こんな風に自怨自艾するなんて」彼女は眉をひそめ、軽蔑の目で俺を見た。
「『どうせ俺は弱い』から仕方ないと、無能のままでもいいと思っているなら、たとえ王都に送っても時間の無駄よ」
「私……」
俺は深く息を吸い、改めて顔を上げ、アパティの目をかろうじて直視した。
「もう愚痴は言いません。俺は弱いですが、この馬車に乗った以上、必死にあなたの歩みについていきます」
その言葉を聞くと、彼女はゆっくりと右腕を引き戻し、それ以上俺を責めることはなかった。なにせ俺は今ただの六歳の子供で、彼女もまた徳の高い年長者なのだから。
「降りなさい、着いたわ」
アパティの声とともに、馬車は王都の城門の中に停まった。
俺は馬車から飛び降り、顔を上げた。
高くそびえる城壁、華麗な噴水、そして大通りを行き交う法袍を着た者や長剣を帯びた者たち。繁華な異世界の王都が、一枚の絵巻のように俺の目の前に広がった。
感慨に浸る間もなく、皺くちゃの入学申請書が俺の額に貼りついた。
「しっかり持ちなさい、チビ。学院の登録所まで連れて行ってあげるから、その後は自分で頑張りなさい」
「わあ~ここが王都なんですね」首元の毛布が微かに動き、フランルーティスも感嘆の声を上げた。「勇者様、私たちの新しい生活が始まりますよ!」
ただ、この新しい生活がいきなり下馬威をくれなければいいのだが……
ここまでお読みいただきありがとうございます。
トゥエンはついに賑やかな王都に到着しましたが、ここからが厄介事の始まりです。これから魔法学院で、彼はどんな人や出来事に出会うのでしょうか?
次話、トゥエンの学院生活(そして行列に並ぶ日常)が始まります!




