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奥山さん、止める

皆さんこんにちは、奥……


プルルルル…プルルルル…


皆さんこんに……


プルルルル…プルルルル…


皆さ……


プルルルル…プルルルル…


「ちょっとフランソワ様、携帯鳴ってますよ!これじゃ挨拶出来ないじゃないですか!」


「フェ?あぁ本当ねゴメンゴメン。ネトゲに夢中で気づかなかったわ。」


フランソワ様は僕の呼びかけでやっと着信に気付いてくれました。周りの音が聞こえなくなるまで集中するなんて、どんだけ熱中してるんですか…

ですがこれでやっと挨拶が出来ますね。


「あぁ、パパ?久しぶり〜。うん元気よ。中々快適だし、遊び相手もたくさんいるからね。ん?どうしたの奥山さん?」


「フランソワ様、その電話の相手ってもしかして……」


「うん、私の父よ。実家からちょくちょくかけてくるのよ。」


皆さん、信じられるでしょうか。彼女はここで人質として監禁されている囚われの身なのです。そんな彼女は今、部屋の中でスマホ越しに自分の親と会話をしているのです。

何なんでしょうね、監禁って……

=====


「ねぇ奥山さん。奥山さんはSNSってやらないの?」


「あぁ、一応アカウントはありますよ?ただ呟くことは特にないんで、ただ他の人のツイートを見るだけですけどね。」


「奥山さん、あなた私のアカウントをフォローしてる?」


「してないですね。フランソワ様のアカウントは知ってますけど、あんまりフォローする気には……」


「はぁ……もったいない、もったいないわ奥山さん。この神絵師フランシーヌをフォローしていないなんて。お味噌汁に豆腐を入れてないくらい損してる。」


「何一つ伝わってこない例えやめてもらえません?」


「でも損してるのは確かよ?私の美麗イラストと抱腹絶倒のツイートをチェック出来ていないのだから!」


滅茶苦茶ハードル上げるじゃんこの人!あれ?そういえばフランソワ様ってこの前自分のアカウントで魔王城に囚われてる内容のツイートしてフォロワーからバカにされてたような……


気になった僕はフランソワ様にバレないようにソッとSNSを開いてフランシーヌのアカウントを検索しました。すると……

=====

フランソワ@絶賛囚われ中

『今日のお昼ご飯は大好きな麻婆豆腐!魔界で食べると一味違うわね!』

太郎飴@二次元に入れない30歳

『囚われて麻婆豆腐食べられんの?自分もそこに囚われたいんだが。』


ひこうき蜘蛛

『魔界に麻婆豆腐があるのか……』


ヲタク三郎@同人誌の海に溺れた男

『最早誰も草を生やさないという。』


島縞志摩

『草枯れたわ』

=====

あ、この前ひたすら草の一文字を打ち込んでた島縞志摩さんでさえこの反応なのか。


「フランソワ様、フォロワーの方達から引かれてますよ?」


「え?……こ、これはまぐれ、まぐれだから!」


「ツイートのまぐれって何なんですか…」


「ほら奥山さん!最新のイラスト投稿したのよ!そのツイートを見てちょうだい!」

=====

フランシーヌ@絶賛囚われ中

『今期一番気に入ってるアニメの推しキャラを描かせていただきました!新調した液タブでの初イラストです!』


マキ@シラス丼食べたい

『待ってました!ありがてぇありがてぇ…』


ヲタク太郎

『やっぱ魔界で描いたイラストは一味違いますねぇ(棒)。』


社畜剣士

『フランシーヌさんにとって社会そのものが魔界という説に2ポンド賭けてもいーよ。』


島縞志摩

『草』

=====

「いや、コメントの大半がフランソワ様のことバカにしてますよ?」


「でも久々に草って言ってもらえたし……」


「フランソワ様しっかり!そこに満足するようになったら完全に闇に飲まれちゃいますから!」


この人よくこんな状態で抱腹絶倒とか言えたな。うーん、これは重症だぞ?


「ねぇフランソワ様。別にやらなきゃいけない義務なんてないんですからもうSNSなんねやめましょうよ。」


「そうね……奥山さんの言う通りだわ……なら最後に!」


「あれ?聞き分けがいいですね…え?最後に?」


「私の渾身のイラストを投稿して有終の美を飾ってみせるわ!」

=====

フランシーヌ@絶賛囚われ中

『私が人生で最も愛したキャラクターのイラストです。もうこのアカウントは消す予定なのでこのツイートが最後のツイートとなります。』


みっしー@下A連打

『お?釣りかな?』


ナナナの七奈

『お前……消えるのか?』


新米賢者

『誰一人として心配してなくて草』


島縞志摩

『草草の草』

=====

「ゴフゥ……!」


有終の美を飾るはずが心配されることなく、ただ草を生やされるという無情なコメント群を見てフランソワ様は謎の奇声をあげてベッドに倒れ込みました。


「ふ、フランソワ様ー?大丈夫ですかー?」


「フランソワ…SNSコワイ…フランソワ…モウ寝ル。」


「そ、そうしましょう。それがいいですよきっと。」


そうしてフランソワ様はベッドにうつ伏せになり、ピクリとも動かなくなりました。まぁこれで当分SNSには手を出さないでしょう。あれ?でも待てよ……こんなに大人しくなるんなら定期的にSNSをやらせた方が僕が楽になるんじゃ……やめてあげましょう。可哀想ですしね。


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