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奥山さん、バトる その1

皆さんこんにちは、奥山です。今日は魔王様からの呼び出しがありフランソワ様を連れて魔王城の来客用の大広間に来ています。


「魔王様、失礼します。」


「よう、来たか奥山フランソワちゃん。」


「久しぶり魔っちゃん。どうしたのいきなり呼び出しなんて?」


「まだその呼び方続けてたんですね…え?な、なんで幹部の方達も来られてるんですか?!」


大広間の中には玉座に座る魔王様とその前に並んで立つ魔王軍幹部である亜座美(あざみ)様、蝿谷(はえたに)様、メレ姐さんの御三方が横に並んで立っていらっしゃいました。


「な?!おい松尾!貴様何故フランソワを呼んだんだ!何度も言うがこいつは人質だぞ!」


「あら久しぶりフランちゃん!ねぇ、この集まりが終わったらまたアタシの部屋に来てくれないかしら?」


「これはこれはフランソワ嬢!あなたのおかげで私の部屋におやつ用の保管室が出来ましてねぇ、あの頭でっかちの亜座美さんを説得してくださり感謝いたしますよ!」


「貴様らも何を馴れ馴れしくしているんだ!まったくどいつもこいつも!」


うーん、扉を開けて数秒でこの騒がしさ…最早芸術の域ですね。


「3人とも久しぶり!ねぇ魔っちゃん。なんだかすごいメンツが揃ってるけど一体何の用なの?」


「いやそれがさ、俺もよく分かってねぇんだよ。お客さんの指名でさぁ。」


「お客さん?魔王様、一体誰なんですか?幹部の皆さんに加えてフランソワ様まで指名する方って…」


「その質問には我が答えよう凡庸なオークよ…」


「グェェ!!な、何故上から…誰ですか?!ていうか重いんで降りてください!」


突然声が聞こえたかと思うと背中に衝撃が走り僕は床に倒れ込んでしまいました。どうやら声の主は上から降りてきて僕の背中に着地したようです。


「フフ、すまぬ。あまりに踏みやすそうな背中だったのでな、許しておくれ…」


「ちょっと!叩いたら柔らかくなるからって奥山さんを下ごしらえするなんてひどいじゃない!」


「あんたの発言の方がより酷いわ!てか久しぶりだなそのいじり!」


僕とフランソワ様のやり取りを完全に無視し、おそらく客人と思われる方が僕の背中を降りながら悠然と話し始めました。


「こんにちは魔王軍の皆さん。ご機嫌麗しゅう…我はルシファーの琉詩緒(るしお)様直属の戦闘部隊『七罪天(しちざいてん)』の強欲を司る者…マモンの間本(まもと)だ。」


「やだ聞いた蝿谷ちゃん?あの人自分のこと我って言ってるわよ?現実にいたのねあんな人。」


「いるに決まっているでしょうメレ姐さん。あの髪型を御覧なさい。黒のロン毛で片目を隠してる人は大体そうなのですよ?」


「ちょっとお二人共!そこは触れちゃダメですよ!」


あぁ、心なしか間本さんの身体がプルプル震えてる…恥ずかしかったのかな?ですがそんなことは御構い無しに亜座美様が間本さんに問いかけます。


「ほう、これはまた大層な悪魔が来たものだな。それで俺たちに一体何の用だ?」


「フ、フフフ…そ、そうでしたね。それでは早速本題に入りましょう。私が今日ここに来たのは他でもありません…」


大広間にいる全員の視線が間本さんに集まります。多分この中で間本さんの言うことをあらかた予測できているのは僕だけでしょう。


「我々七罪天はあなた方に7対7の決闘を申し込みます!」


「「「「「「…はぁ?!」」」」」」


「この対戦を我々が申し込んだ理由、フランソワ殿なら分かるだろう?」


あぁ、もしかして琉詩緒様、まだフランソワ様にボコボコにされたこと根に持ってるのかな?


「我々としてはフランソワ殿お一人に対して制裁を加えられればそれで良いのですが、人間の少女一人に対してそれはあまりにも酷い。なのでここは魔王城の皆さんにも責任を…」


「ちょっと待てよ何で俺らがお前らと戦わなきゃいけねぇんだよ!クソめんどくせえな!」


「そうよアタシ暇じゃないのよ?服作るのがどれくらい大変かあんた知らないんでしょ!」


「俺も会計処理やら色々忙しいんだ。お前らに構ってやることは出来んぞ?」


「あなた方のために私のプライベートの時間を割くなど笑止千万。どういう考えをすればその提案が受け入れられると思えるのでしょうねぇ…」


「奥山さんお腹空いた。」


「皆さんもうちょっと手加減してあげましょうよ間本さん涙目になってますよ!フランソワ様に至っては我慢してください!」


こんなに言い返されるとは思っていなかったのか間本さんは完全にアウェーの空気に呑まれてしまっています。何でこの人を伝言役にしたんだろう?そんな間本さんに今度は魔王様が語りかけます。


「ていうかよ、七罪天って七つの大罪になぞらえてるんだろ?そう考えると二人足りねぇじゃねえか。嫉妬はサタンだろ?あいつが誰かの配下に入るなんて考えられねぇし、暴食のベルゼブブに至ってはうちの幹部だぜ?なぁ蝿谷。」


「えぇあそこは実に窮屈な職場でしたのでねぇ。嫌気が差して魔王軍に転職したのですよ。サタンの佐竹さんに至ってはいわゆる幽霊部員のような感じでしたし。」


「なーんだ、厨二くさい名前つけてると思ったら案外大したことないのね。なんかもう飽きてきちゃった帰りましょう奥山さん。」


ほんと容赦ないなこと人達…間本さんだいじょう…あれ、笑ってる?


「フ、フフフ…分かった…分かったぞ!」


「自分が厨二だってことが?」


「魔王様、喋らせてあげましょうよ…」


「貴様ら我らが恐ろしいのだな?魔界でも精強を誇る我ら七罪天に敗北し、自分たちの名誉が地に堕ちることが嫌なのだろう?!なんと情けない連中だ!魔王とその軍勢は腰抜け揃いと見たぞ!フハハハ!!」


あらら、煽られすぎてなんかめちゃくちゃなこと言いだしたぞ?もうこれじゃぁ相手にもされない…


「なんだとコラ…」


あれ?どうしたんでしょう?皆さん殺気立ってますよ?


「上等じゃねぇかクソガキがぁ!てめぇ誰に喧嘩売ってんのか分かってんのか、あぁ?!」


「他の奴らは兎も角としてこの亜座美を侮辱したこと、末代まで公開することになるぞ!」


「いい度胸じゃない?アタシらと戦うってことがどれくらい愚かか思い知らせてやるわよ!」


「全く…これほど愚鈍な輩が七罪天の一人とは…少々お灸をすえる必要がありそうですねぇ!」


「奥山さん、今日は回鍋肉が食べたい。」


「フランソワ様、せめて怒ってくれません?」


喧嘩っ早い人たちだとは思ってたけどこれはちょろすぎないか?!間本さんも計画通りみたいなニヤケ顔してるけど全然うまくないからね?


「では決闘は3日後魔王城にて執り行うというとこで。楽しみにしているぞ?お前達のその顔が鮮血に彩られることをな!」


そう言い残し間本さんはテレポートを発動し、大広間から姿を消しました。


「やってやろうじゃねぇかチクショウ!おいお前ら!あの厨二集団の鼻っ柱へし折ってやるぞ!」


「「「「おぉ!」」」」


「でも、どうするんです?こっちはフランソワ様を入れても5人、あっちは7人だから二人足りないですよ?」


「何言ってんだよ。お前も入るんだからあと一人だろ?」


…嘘でしょ?


「魔王様…それ本気で言ってます?」


「当たり前よ!一緒に奴らをボコボコにしてやろうぜ!」


「燃えてきたわね!頑張りましょう奥山さん!」


僕の命日が3日後に決まった瞬間でした。

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