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第4章 「吹田千里少佐、北京の空へ」

挿絵の画像を生成する際には「Ainova AI」と「Gemini AI」を使用させて頂きました。

 かくして紅露共栄軍の残存勢力は一人残らず駆逐する事が出来て、尚且つ式典参列者には一切の犠牲を出さずに済んだんだ。

 公安職としてこれ程に誇らしい事はないね。

 だけどこれは決して私一人だけで挙げた成果ではなく、双璧であるマリナちゃんと京花ちゃんは勿論の事、長崎県支局の子達や中華王朝禁衛軍の皆さんの御協力があってこそだよ。

挿絵(By みてみん)

「御怪我は御座いませんか、愛新覚羅永祥和碩親王殿下?」

「む、むう…かたじけない事です。麗蘭第一王女殿下に続き、私も貴女に救われましたな。」

 そう仰りながら控室で呼吸を整えられた愛新覚羅永祥殿下には、御怪我はおろか一滴の返り血すら飛んでいなかったの。

 この高貴で聡明な和碩親王殿下を御守り出来た事は、実に喜ばしい限りだよ。

「勿体ない御言葉で御座います、愛新覚羅永祥殿下。日本の公安職として、そして中華王朝の巴図魯として。私は当然の務めを果たしたまでの事で御座います。」

 そんな殿下に私は、長揖の拱手礼で応じさせて頂いたの。

 今じゃ人類防衛機構の敬礼や捧げ銃と同じ位に、しっかり身体に染み付いた礼儀作法だよ。

 そして今回の一件で愛新覚羅永祥殿下が強い親日意識を改めて抱いて下さったのは、日本の公安職として喜ばしい限りだね。

 国家間の友好や同盟関係の持続可能性を維持するためには、双方の親愛と信頼が必要不可欠だもの。

 殿下の仰るには、「人類防衛機構極東支部は、その前身である大日本帝国陸軍女子特務戦隊の勇猛果敢な気風を正当に継承していて実に頼もしい限りである。また今回は、日本人初の巴図魯の戦い振りを間近で拝む事も出来たが、その華麗で鮮やかな技の冴えは正しく『花木蘭』の伝説が現代に蘇ったかのようだ。」との事だけど、殿下のような高貴な御方に個人として御誉め頂けたのは光栄の至りだね。


 不埒なる闖入者の襲撃が終盤に起きたものの、長崎市における日中友好式典は無事に幕を閉じた。

 そうして式典参列者や警護を担当した各組織の公安職も、それぞれ何事もなく帰路についたんだ。

 一部の例外を除いての話だけど。

 その一部の例外というのは、かく言う私なんだ。

 それというのも、帰国される永祥殿下を巴図魯として護衛するように中華王朝側から要請があったんだよ。

「それは此度の一件で、中華王朝の方々が貴官に強い信頼を寄せていらっしゃる事の何よりの証です。それでは吹田千里少佐。殿下の護衛任務の継続を貴官に命じます。」

「はっ!承知しました、東条湖蘭子上級大佐。この吹田千里少佐、中華王朝の巴図魯として、そして人類防衛機構の特命遊撃士として命令を全うする所存であります。」

 こうして私は正式の出国手続きを経て中華王朝の政府専用機に同乗し、殿下の護衛として紫禁城まで赴く事と相成ったんだ。

 私自身の護衛として同じ堺県第二支局所属の淡路かおる少佐の随伴も認めて貰ったし、もう式典は終わったのでレーザーライフルの携行も出来るようになった訳だから、私としても実に心強い限りだよ。

 とは言え今回の北京行きは、かおるちゃんにとって寝耳に水の急な話である事に変わりはないからね。

 だから政府専用機の柔らかいシートに腰掛けながら、こういう具合に耳打ちしたんだよ。

挿絵(By みてみん)

「ゴメンね、かおるちゃん。支局でのシフトとか学校とかプライベートとか…かおるちゃんにも色々と用事はあったろうに。しかも私のレーザーライフルまで持って貰うだなんて、これじゃ実質的にカバン持ちじゃない…」

 だけど流石は士族の生まれと言うべきか、かおるちゃんはシッカリしていたね。

「そう御気になさる事は御座いませんよ、千里さん。何しろ千里さんは、もう貴女一人の体ではないのですから。中華王朝の準貴族である巴図魯の千里さんに一人も随伴させずに公の場に出しては中華王朝の方々に申し訳が立ちませんし、人類防衛機構の名折れでもありますからね。」

 確かに、かおるちゃんの言う事も尤もだよね。

 高貴な官爵や社会的な地位のある人間は、その地位や官爵に相応しい立ち振舞いをしなくてはならない。

 そうでなければ、それは所属する団体や地位を与えてくれた人の面子を潰す事に繋がる訳だからね。

 あの有名な孔子も「論語」の中で、「君君たり、臣臣たり、父父たり、子子たり。」という具合に己の立場を弁える事の大切さを説いているじゃない。

「それに私と致しましても、此度の北京行きは喜ばしい限りなのですよ。警護の際に禁衛軍の方々と親交を育む事が出来ましてね。禁衛軍の方々も『日本の居合術を会得された方と模擬戦が行えるのは、我々としても勉強になります。』と仰っていました。」

「ああ、あの馬佳夕月(マギャ・シーユエ)警護隊長っていう禁衛軍の士官さんだっけ…確かにかおるちゃんと話が弾んでいたもんね。」

 この馬佳夕月(マギャ・シーユエ)さんっていう警護隊長は私達とそう歳も変わらないけれど、とっても優秀な禁衛軍の少女士官の方なんだ。

挿絵(By みてみん)

 中華王朝の前身にあたる大清帝国の四代皇帝であらせられる康熙帝の側室の栄妃の血縁にあたる名門の生まれだけど、それに決して胡坐をかく事なく軍人として国家に尽くそうと努力されている立派な方なんだよ。

 どうやら淡路かおる少佐は、満洲族出身の禁衛軍士官と早くも意気投合出来たみたいだね。

 やっぱり武人同士で、色々と通じ合う物はあるんだろうな。

「私も士族の子女として、様々な流派の技を学んでおきたいですからね。禁衛軍の体験訓練と模擬戦は、私としても望むところなのです。」

「成る程…かおるちゃんにとって、今回の北京行きは技術交流の短期留学でもあるんだね。」

 そんな具合に長崎発北京行きの短い空の旅は、目的地到着という形で無事に幕を下ろしたんだ。

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― 新着の感想 ―
ぐっ。 やっぱり殿下はいずれこの世界観風なデザインとしていつかイラストで描きたい(;゜Д゜) というか……イラスト、ちょっとこれは(;゜Д゜) AIはまだまだ発展途上だなぁと思います。 日本刀の存在…
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