第3章 「鉄扇よ舞え、これが巴図魯の戦い方だ!」
挿絵の画像を作成する際には、「AIイラストくん」と「AInova AI」と「Gemini AI」を使用させて頂きました。
そうして跳ね返した銃弾で狙撃手共を残らず仕留めた私に次に迫ったのは、無骨なフォルムをした戦闘ドローンだったの。
小型機銃と自爆機能とが搭載されていたようだけど、コイツも私の敵じゃなかったよ。
「むっ!」
だってブーメラン代わりに投げ付けた鉄扇で内部メカを叩き壊すと同時に、軌道を明後日の方向に変えてやったのだからね。
後で調べてみたら、この時に私が半壊させたドローンは人払いした市民公園の池に沈んでいたよ。
「来たな、賊徒共め…」
そして私が鉄扇を悠々とキャッチした時には、今回の暗殺計画の本隊と思わしき武装勢力が飛び出してきたんだ。
殿下の安全を確保しながら敵勢力をザッと見てみたけど、どいつもこいつも焦燥感と動揺が濃厚だったね。
恐らくは狙撃手とドローンとでケリがつくと思っていたんだろうな。
それで血溜まりになった式典会場で勝利宣言をする腹積もりだったようだけど、お生憎様としか言いようがなかったよ。
「おのれ、公権力の犬め!よくも我々の同志を…こうなれば我々自らの手で忌まわしき帝国主義者とその番犬に天誅を下してくれる!我々の手によって、世界は悪逆なる専制君主から解放されるのだ!」
オマケにこんな事を言って来るんだから、ホント救いようがないよ。
ここには帝国主義者も専制君主もいないのにね。
そりゃ確かに中華王朝は大清帝国の後継国家で愛新覚羅氏が君主だけど初代女王の愛新覚羅紅蘭陛下が帝号を廃されているし、そもそも丞相が朝議を仕切る立憲君主制を導入しているじゃない。
そして日本に関しては言わずもがなだよ。
頭の固いマルクス主義者の残党ってのは、立憲君主制と専制君主制の区別すらつかないんだから本当に困っちゃうね。
だからこそ、そんな時代遅れの愚か者共の好きにさせる訳にはいかないんだよ。
「殿下と私を暗殺する事で日本と中華王朝の友好関係を揺るがし、東アジアの安全保障体制に亀裂を入れる。お前達の手の内は分かっているわ、テロリストの残党共!」
こうして二本の鉄扇を両手に構えて毅然と凶賊共を睨めつける私の背後には、式典用に掲げられた日の丸と黄龍旗が翻っていたの。
巴図魯である私が何方の威光を背負っているのか、そして正義が誰にあるのか、もう一目瞭然だよね。
それに私は、決して単騎でこの場にいる訳じゃないのだから。
「千里ちゃん、あまり一人で気張り過ぎないでよ!」
「ここには私達『後援の双璧』もいるんだからな!」
護衛役として随伴して貰った枚方京花ちゃんと和歌浦マリナちゃんの二人も各々の個人兵装を構えているし、実に心強いね。
「はあっ!たあっ!」
裂帛の気合いと共に扇子を振るい、私は敵の攻撃をいなしていく。
太極扇の型を応用した動きで金色の模様が入った豪奢な扇子を振るっているんだから、見栄えだけは優雅で美しく見えるだろうな。
「ぐあっ!?」
「ああっ!!」
だけど荘厳な雅楽の代わりに伴奏として鳴り響くのが醜悪極まりない凶賊共の断末魔なのだから、芸術点は減点されちゃうかもね。
「たあっ!とうっ!」
だから私自身の裂帛の気合いと鉄扇の鋭い金属音とで、可能な限りカバーしなくちゃ。
「たあっ!」
「うあっ…!?」
体捌きで正中線からサッと外れ、すれ違い様の一撃で敵の得物を弾き飛ばす。
その弾き飛ばした得物の放物線の先にあるのは…
「ぐああっ!!」
そう、隙を狙っていた敵の伏兵だよ。
相手の力を利用して危機を退ける。
これもまた護身術の神髄だね。
そうして私が套路の型を応用したステップで踏み進めていった後に残るのは、倒した敵の屍で出来た血みどろの道だよ。
ある者は脳天を叩き割られ、またある者は頚椎をへし折られ。
中には私が弾き返したスペツナズナイフの刀身で、心臓や眉間を射抜かれて事切れた奴もいるね。
そんな具合に死因に関しては様々だけど、倒れた所で首を踏み砕いてトドメを刺した事に関しては全員共通だよ。
「私のレーザーブレードの味はどうかな、紅露共栄軍の残党共!」
「何時になく昂ぶっているな、お京!それじゃ私も、鉄扇に切り替えたちさの代わりに存分に撃ちまくってやるか!」
その他の賊徒共にしても、ああしてマリナちゃんの大型拳銃で頭を吹き飛ばされたり京花ちゃんのレーザーブレードで袈裟懸けに切り捨てられたりで、綺麗に片付いちゃったんだよね。
こうして私達が会場内の賊徒を一掃する頃には、今回の暗殺騒動にもケリがついていたの。
何しろ近隣に潜伏していた残党共にしても、堺県第二支局から連れてきた生駒英里奈ちゃんや淡路かおるちゃん、それに長崎県支局の特命遊撃士や中華王朝禁衛軍によって一網打尽にされちゃったんだからね。




