プロローグ第3章 「越境する日本人女性同士の共感」
挿絵の画像を作成する際には、「AIイラストくん」と「Ainova AI」と「Gemini AI」を使用させて頂きました。
そんな英里奈ちゃんの思惑が正解だと分かったのは、それからすぐの事だったの。
「おお、貴女が日本人で初の巴図魯殿でいらっしゃいますか。お初にお目にかかれて光栄で御座いますよ。貴女の御活躍は新聞やニュースで拝見させて頂きました。」
「中華王朝の王女殿下や和碩親王殿下の御命を救われたそうですね。それに講演会やインタビュー等で啓発活動も行われているとか。貴女の更なる御活躍を、我々も応援させて頂きますよ。」
こんな感じに華族の重鎮の皆様方に御声をかけて頂けたばかりでなく、名刺交換をする機会も得られたんだから。
中には私が紹介した華僑の方とでそこそこ大きな商談が纏まったりもするんだから、本当に驚いたよ。
そして今回の晩餐会では、以前から御見知りおき頂きたいと考えていた御方ともお話する機会が得られたんだよ。
「これはこれは、李杉乃親王妃殿下。遅ればせながら、此の度は御成婚おめでとうございます。私は先日に巴図魯の爵位を叙勲致しました、吹田千里少佐と申します。」
紫色のチマと純白のチョゴリという上品な韓服に相応しく、その御方の清楚な美貌に浮かぶ微笑は実に高貴で気品に満ちていたの。
それも無理はないだろうね。
何しろ私が拱手の礼を示している御方は日本や中華王朝の友好国である李朝の親王妃殿下であり、御成婚以前は日本の山手公爵家の御令嬢でもあらせられたのだから。
幸いにして伯爵家の長女である英里奈ちゃんは山手杉乃公爵令嬢だった頃の親王妃殿下とも何度か面識があるみたいだったから、私としてもこうして臆する事なく挨拶する事が出来てはいるのだけどね。
もしも英里奈ちゃんと友達でなかったら、そして私が中華王朝の愛新覚羅麗蘭第一王女殿下から巴図魯の爵位を頂いてなかったら。
とてもこうして李朝の親王妃殿下に直接御挨拶をする事なんて出来なかったろうな。
「李新親王殿下との御婚礼の時にはまだ私は殿下御夫妻に御目通り出来る身分では御座いませんでしたが、此度こうして拝謁する事が出来ましたのは身に余る光栄で御座います。」
「有り難う御座います、巴図魯殿。私も貴殿の此度の叙勲をニュースでお聞きした時には、心より喜ばしく感じた次第ですよ。私と同じく、日本人女性というパーソナリティを持ちつつ国際社会に羽ばたかれたのですから。」
そんな私みたいな成り上がりの新参者であっても決して軽んじる事なく、慈愛に満ちた笑顔を向けて下さるのだからね。
やはり本当に高貴な御方というのは、決して驕り高ぶる事はないんだなぁ。
「私は日本と李朝の友好関係の更なる進展に尽力させて頂いておりますが、巴図魯殿は日中友好の橋渡しを成し遂げられる御方であると見込んでおります。何時の日か巴図魯殿と共に、東アジアの未来を輝かせる国際事業に携わりたいものですね。その日まで、どうか息災に。」
「勿体なき御言葉で御座います、親王妃殿下!殿下もどうか何卒、御自愛下さいませ。」
今はまだ新参者で若葉マーク付きの巴図魯な私だけど、いつかは親王妃殿下みたいに気品ある微笑を自然と浮かべられる貴人になりたいものだよ。
そしてその時には、親王妃殿下と一緒に国際社会の表舞台で共同事業に取り組みたいよね。
その日に向けて、もっともっと頑張らなくちゃ。
こうして中央公会堂での晩餐会は、私にとって実りの多い一夜になったんだよ。
人脈作りが飛躍的に進展したのは勿論だけど、精神的な励みにも大いになった訳だから。
「良う御座いましたね、千里さん。」
「うん、目標に向かいまた一歩前進って所かな。親王妃殿下を始めとする沢山の人からこうして励ましの御言葉を直接頂くと、『日本人初の巴図魯としてシッカリ頑張って行こう!』って活力が湧いてくるよね。」
この次に晩餐会に来場する時には、今回以上に立派な人間になっていたいものだよ。
だからこそ、巴図魯としても特命遊撃士としても抜かりなくお役目を果たさなくちゃ。
古人曰く、「勝って兜の緒を締めよ」だよ。




