プロローグ第2章 「日本人初の巴図魯の日本の社交界における浸透具合」
画像作成の際には、「AIイラストくん」と「Ainova AI」と「Gemini AI」を使用させて頂きました。
全てのキッカケとなったのは、元化二十六年度が始まって間もない四月に決行された「EMプロジェクト」という特殊作戦だったの。
この時期には日本の友好国である中華王朝の愛新覚羅麗蘭第一王女殿下が公務で近畿地方を訪問される事になっていたんだけど、麗蘭王女殿下の御命を狙う不埒者がいたんだよね。
建国間もない中華王朝と帝政ロマノフ・ロシアの立憲君主制に異を唱えたマルクス主義者達による国際テロ組織である「紅露共栄軍」は数十年前の「アムール戦争」によって壊滅したんだけど、その残党や思想的後継組織が水面下で動いていた。
そして彼奴らは中華王朝の次期君主であらせられる愛新覚羅麗蘭第一王女殿下を公務で訪日されたタイミングで暗殺する事で、日本と中華王朝の友好関係に亀裂を生じさせて且つ両国の公安組織と人類防衛機構の信頼を失墜させようと企てていたんだ。
これを阻止すべく立案されたのが、愛新覚羅麗蘭第一王女殿下の暗殺阻止と紅露共栄軍の殲滅を二本柱とする「EMプロジェクト」だったの。
その実態は一言で言えば「トロイの木馬」で、愛新覚羅麗蘭第一王女殿下の影武者を仕立て上げた人員を故意に拉致させ、体内に仕込んだGPSで敵の総本部を突き止めた上で、内と外からの総攻撃で殲滅する。
その作戦の要となる影武者として白羽の矢が立ったのが、この私なんだよ。
何しろAIさえが私を麗蘭第一王女殿下と同一人物と認識するんだからね。
義歯に仕込んだGPSで呼び込んだ友軍と合流するまでは孤立無援の戦いを強いられ、最初のうちは倒した敵兵から強奪した精度の悪い銃器しか使えない。
そんな厄介極まりない戦場だけど、外部協力団体である京洛牙城衆と崑崙仙軍の人達とで共同戦線を張ったり、義歯のGPSで呼び込んだ人類防衛機構と中華王朝政府軍と合流したりで、この厄介極まりない紅露共栄軍も遂に地上から完全に根絶出来たんだよ。
こうしてEMプロジェクトの二大目標である愛新覚羅麗蘭第一王女殿下の安全確保と紅露共栄軍の殲滅に影武者として貢献した私は中華王朝から戦功一番槍と認められ、愛新覚羅麗蘭第一王女殿下より直々で巴図魯の称号と官位を下賜されたって訳だね。
この高貴な地位を単なる名誉称号で終わらせては、余りにも勿体ない。
日本人で初めて巴図魯の官位に就く事の出来た私には、日中友好の架け橋として高度な国際安全保障体制の確立に助力する事が出来るのではないか。
そう考えた私は巴図魯としての公務で様々な啓発活動を行いながら、特命遊撃士養成コースに編入した小6の頃からの友達にして伯爵令嬢でもある生駒英里奈ちゃんのバックアップを受ける形で日本や中華王朝の様々な有力者との人脈を形成すべく頑張っているんだ。
今回こうして華族の晩餐会に英里奈ちゃんの伝手で招待して貰ったのも、そういう訳だよ。
念には念を入れて、同じく同期の友達であるフレイア・ブリュンヒルデちゃんにも付き添って貰ったけどね。
「それにしても私達三人って、なかなか凄い組み合わせだよね…この中だとフレイアちゃん位じゃないの?この晩餐会の雰囲気に溶け込めそうなのは。」
「然りですわね、千里さん。とはいえ御二人とも、オリエンタルで雅やかな趣が御座いましてよ。」
ヴィクトリア風の青いドレスに白い手袋を合わせたフレイアちゃんは見るからに西欧の貴族令嬢という趣があって、中央公会堂の雰囲気にピッタリなんだよね。
一方の英里奈ちゃんはピンク色の和服だし、私に至っては緑色の満洲服だもの。
とは言え英里奈ちゃんに言わせれば、これも計算のうちなんだって。
「現在こうして千里さんが御召しの満洲服は、巴図魯を叙勲された際に帝都の在日中華王朝大使館で御召しだった物で御座いますからね。これならば、千里さんが中華王朝の準貴族である巴図魯だと一目瞭然で御座います。そして千里さんが中華王朝の準貴族であれば、私は生駒家宗公の血を継ぐ日本の伯爵。和装で臨んだ方が、千里さんとバランスが良いと存じました。」
「な、成る程…バランスの問題もあるんだ…」
そうした深謀遠慮には、私も恐れ入った次第だよ。




