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プロローグ第1章 「三貴婦人、中央公会堂に立つ」

挿絵の画像を作成する際には、「AIイラストくん」と「Ainova AI」と「Gemini AI」を使用させて頂きました。

 大阪府大阪市北区中之島。

 この大阪の都心のど真ん中の中洲には日本銀行や中之島図書館といった明治から大正にかけて建築された歴史的建造物が集中しているから、レトロモダンな雰囲気を満喫するには最適な場所なんだよね。

 中でも株式仲買人の岩本栄之助氏の出資によって大正七年に完成した中央公会堂は、ネオ・ルネッサンス様式を基調とした日本有数の公会堂建築として国の重要文化財に指定される「中之島の顔」と呼んでも差し支えない程の格を持つ建物なんだ。

 とは言っても、私にとってこの中央公会堂はそこまで縁の深い建物という訳でもなかったの。

 何しろ私は生まれてから17歳の今に至るまで堺県堺市在住だし、高校2年生の小娘が交響楽団のコンサートにそう足繁く通うのも珍しいでしょ。

 強いて挙げるなら、特命遊撃士としての業務でなら馴染みがあるんだよね。

 私こと吹田千里が少佐階級の特命遊撃士として所属している人類防衛機構は警察や自衛隊とも連携している国際的治安維持組織で、テロリストやカルト教団などの犯罪組織や獣害をもたらす危険な特定外来生物と日夜戦っているんだ。

 だから中央公会堂で著名人の講演会がある時に、周辺警備の応援要員として参加した事も何回かあるよ。

 厳密に言うと中之島は大阪支局の管轄で私は堺県第二支局の所属だけど、そこは同じ近畿ブロックの支局という事で人員の交流や融通は積極的にし合っているんだ。

 今年の春に和歌山の友ヶ島要塞で新米佐官を対象にした合宿研修に参加したけど、あの時も和歌山支局や大阪支局の子達とワイワイやって楽しかったね。

 安易な縦割り行政だと、こうはいかないよ。


 しかし今回に関しては違ったね。

 何しろ私達三人がいるのは中央公会堂の三階に位置する中集会室だし、公安職ではなくて招待客として顔を出しているのだから。

挿絵(By みてみん)

「うーむ、これは凄い。何処を見ても、タキシードや夜会服といった礼装をビシッと着こなされた華族の紳士淑女の皆様方が勢揃い。英里奈ちゃん、フレイアちゃん?華族の晩餐会というのは何処もこんな感じなのかな?」

 思わず感嘆の溜め息を漏らしてしまった私は、二人の連れ合いに呼び掛けたんだ。

「欧州の貴族社会ではダンスパーティーが主流では御座いますが、こうした歓談が目的の晩餐会も確かに御座いましてよ。」

 そう言いながら黒いヘアバンドで纏めたボブカットの金髪を軽く揺らして自信満々な微笑を浮かべたのは、私と同じ堺県第二支局に特命遊撃士として配属されているフレイア・ブリュンヒルデ少佐だった。

 フレイアちゃんの御実家のブリュンヒルデ家はフィンランドの公爵だから、こうした席にも慣れているんだね。

「左様で御座いますね、千里さん。私が先だって参加致しました京都の華族会館での晩餐会も、概ねこのような感じで御座いました。」

 こう応じてくれたのは、今回の晩餐会に私を招待してくれた同期の生駒英里奈少佐だったの。

 英里奈ちゃんは戦国武将として名高い生駒家宗の高貴な血を継ぐ伯爵令嬢でもあるから、日本の華族ではないフレイアちゃんや私でも英里奈ちゃんの伝手で何とかなるんだ。

 とは言え生まれながらのフィンランド貴族であるフレイアちゃんはともかく、ほんの少し前までの私は英里奈ちゃんの伝手があった所で華族の社交界には入れない身分だったんだよね。

「頼んだよ、二人とも。何しろ私は準貴族とは言っても日本じゃなくて中華王朝の爵位だし、その爵位も叙勲して間もない若葉マーク付きだからね。」

 ツインテールに結った黒髪を軽く掻きながら、私は左右の二人にチラッと視線を送ったんだ。

 そんな私に、二人は本当に優しかったね。

「そう御謙遜なさいますな、巴図魯殿!その巴図魯の爵位は、千里さんが愛新覚羅麗蘭第一王女殿下の影武者を立派に勤め上げて紅露共栄軍を壊滅させた武勲を正式に評価された証ですのよ。もっと成り上がり者として堂々となさいませ!」

「フレイアさん、『成り上がり者』は流石にどうかと…しかしフレイアさんの発言も、ある意味では然りですね。自らの武勲と才覚で巴図魯という高貴な地位を獲得された千里さんには、私のような世襲で爵位を継いだ者にはない活力と威風が御座います。」

 二人の言う通り、今の私が中華王朝の準貴族の巴図魯という高貴な肩書を名乗っているのも、壮絶な影武者任務で立てた武勲によるんだよね。


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