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超最弱!? 防御魔法の使い方  作者: カンタロウ
2章 狡猾に笑う緑色人――ゴブリン編
29/52

2-14.嫌な奴はどこにもいる。それは世界が変わっていても



「ゴブリンが出て、マジでビビったぜ」


 ベリーショートの銀髪をかきわけながら出てきたのは、エリスだ。彼女の持っているダガーには鮮血が付いており、ゴブリンの物だと予想できる。



「よく気付いたな」


 その後ろからやってきた巨体の男は、ハンドック。シールドと同じぐらい大きな分厚い盾を背中にからい、にこやかだ。



「んで、こんなことまでしなきゃならないんだ」


 舌打ちしながらでてきた男は、ユーリ。めんどくさいのか、それとも苛立っているのか、表情が鋭利な刃物みたいで鋭い。



「仕方ないだろ。ザベスさんらが死んだんだ。オレらしかもう残ってねぇよ」


 ユーリの態度に気に入らないのか、エリスが強気に出た。


「こんなことしたって、報酬金あがりゃしないのに。めんどっちいな」



 ぶつぶつ文句言いながら、ケンイチたちを見る。そして、また舌打ち。



「死ぬのがお前らだったらなぁ」



 ポツリと言ったその言葉が、一瞬にして辺りを暗くした。心地よい風が吹いているのに、全身から汗が噴き出て、視界が白くなる。言われた言葉を反芻し、次第に頭が熱くなる。

 いやな奴だとはわかっていたが、ここまで嫌な奴だとは思わなかった。


 ――どの世界も居るよな。こういう嫌な奴は。



 ケンイチが前に出たそのとき、左から走る閃光。見るとそれは、リーベだった。

 彼女は腰にあるレイピアを抜いて、ユーリの額目掛けて突いている。

 その気持ちはわかるが、人を殺していい理由にはならない――異世界でもそういう法律があるから、なおさらだ。

 止めようと動くが、リーベのほうが1と足先に行動へと移している。

 間に合わない――レイピアが火花を散らした。



「…………」



 ハンドックが背中の盾でその攻撃を防いでいたからだ。

 ユーリは驚いた表情のまま、その場に倒れ込でしまった。どうやら反撃されるとは思っていなかったらしく、彼は座り込んでしまい、リーベを見上げている。畏怖の念を込めた瞳で、怒りに震える彼女から目を離していなかった。



「次変なこと言ったら、自慢のその髪、引きちぎるから」



 それはまさに冷徹。リーベは、冷気のように凍えた声でユーリを突き刺した。


「…………」


 返事はしなかったものの、小刻みに首が動いてる。

 リーベはそれを見て、レイピアを鞘に戻した。



「それは、お前が悪いだろ。バカだな、ほんと」


 エリスは、呆れていた。

 いいぞ、もっと言え――なんて言うのは、やめておこう。ケンイチは喉元でとどめておいた。そのかわり、別の話題へと切り替える。



「エリスさんたちは、どうしてここに」


「あぁーえっと、まぁ助けに来た」



 いろいろと段階を喋ろうとしたのだろう。しかし、そこがめんどくさくなってひとことで済ませたようだ。


 エリスは、ユーリの腕を掴み「いつまでもビビってないで、立てよ」といいながら起こした。

 なんとかユーリは立ち上がって、腰にぶら下げてるポーチから紙を取り出した。それには文字が書かれており、一通り一瞥するとユーリはバックに入れて、ケンイチたちを見る。



「ここら一帯にいるゴブリンの討伐を手伝ってくれ」



 予想外の言葉に、驚いた。

 あの彼がそんなことを言うのか。リーベを見ると、一向に目を向けていない。しかし、耳は傾けているようで、話を聞こうとはしていた。



「なんで?」



 かわりにケンイチがきいた。



「お前らが生き残ったからに決まってるだろ。まさか、自分たちが――」


 エリスから腰を蹴られ、ユーリの姿勢が前に傾く。



「コイツじゃ話にならねぇ。オレが代わりに喋るから、お前は出るな」



 ユーリの体が小さくなる。しかし、どこか反抗的な態度でエリスを睨んでいた。

 エリスは無視して、話をする。



「最近ゴブリンが暴れてるからその討伐に協力してほしい。正直、ユーリにさんざん言われてるから嫌なら断ってくれてもいい。その場合、オレらで対処する」



 まさかの提案であった。

 ケンイチは、もちろんオーケーをだすつもりでいる。しかし、リーベはどうか――彼女は固まった表情のまま突っ立っていた。

 悩んでいるのか、それとも、考えが決まっているのか、ケンイチでもわからない。

 どうすればいいんだ——悩み始めたそのとき、リーベは口を開いた。



◆◇◆◇◆◇



 森の奥深くまで歩き、ある場所までついた。目の前には灰色のゴツゴツとした絶壁が広がり、そこでユーリは立ち止まる。


「ここら辺にいるはず」


 前に居るリーダー――ユーリを押しのけ、リーベは前に出た。

 ケンイチたちはもちろん了承した。今ゴブリンを叩けるのであれば、早いとこやっておいたほうがいい。そうしなければ、ラロット村に平穏は訪れないからだ。



「…………」



 各々が警戒する。音を聞き逃さないよう集中した。

 右斜め前の木が揺れる。一行はその方向へと体を動かすが、しかし、また別の所から音が鳴る。今度は木と木がぶつかったようで、明らかに自然で鳴るものではない。



「エリスは右、ハンドックは左。おれは正面」


「「了解」」



 ユーリの指示に2人は従った。

 ケンイチは、どうするか、考えた。リーベは、よく見えるようにするためか、後方に体を動かしている。

 とりあえず、ケンイチも同じような行動をした。視界の幅が広がり、良く見える。よしよし、となっていたそのとき



「右。揺れた」


「左も同じく」


「正面もだぞ」



 ケンイチも見ていたからわかる。3方向の茂みが揺れ、音を鳴らしていた。それが何を意味するのか――



「沢山いるわね」



 隣のリーベは、ため息のように言葉を出した。

 茂みや木――と辺り一面のゴブリンが隠れられるもの全てがまるで意思を持ったかのように動いて、音を鳴らしている。

 敵は1体じゃない。どれだけのゴブリンがこの場に居るのか、わからないが、やるしかないんだ。

 ケンイチは、汗ばんだ手を服で拭いた。


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