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超最弱!? 防御魔法の使い方  作者: カンタロウ
2章 狡猾に笑う緑色人――ゴブリン編
28/52

2-13.大空へ!

感想ありがとうございます!!

 自分の感覚が狂っていないのであれば、ここからラロット村までの距離はまあまあ離れているはず。だからどうして、リーベがここにいるのか不思議だ。

 ケンイチが混乱している中、背中を向けるリーベ。そこにはヒーロー然としたたくましい後姿をしていた。



「ケンイチ、アタシのために剣を握ってくれると言ってくれて、ありがとう。そんなこと初めてだったから、嬉しかったわ」


「そ、そうか」



 安堵から流れる涙が止まらない。その光景を目にしたリーベが、微笑む。



「でも、アナタだけに背負わせたくない。戦うのは怖いけど、ケンイチ――あなたが死ぬほうがもっと怖い」


「…………」


「だから、アタシも戦う――あなたが戦うのなら、隣で剣を構えるわ」


「…………」



 この世界には知り合いもいなければ、親だっていない^^孤独だった。寂しさと悲しさを表に出さないようひたすら隠して2か月間すごしていたが、もうそれはしなくていい。



 ――俺は1人じゃないんだから。



「…………」


 前に居るゴブリンに対して、ビビることはない——リーベが居て、帰るべき場所がある。

 涙を拭いて、ゴブリンを睨みつけた。


 涎を垂らし狡猾に笑う緑色人。

 見た目通りの不気味さと蔑むようなゲスな笑みをこぼし、余裕をぶっこいている。

 

 ――絶対に倒してやる。


 ケンイチは立ち上がって、リーベの隣に立つ。彼女はは凛とした表情をしていたが、手に持っているレイピアが少しだけ震えていた。

 まだ怖いようだ――それでも、助けに来てくれて、戦おうとしてくれている。これほどうれしい事はない。

 ショートソードを一段と強く握った。



「なぁリーベ」


「どうしたの」


 彼女と目が合う。


「ありがと!」


 瞬間、リーベがケンイチのふくらはぎを蹴る。


「ば、バカじゃないの! まだ助かったわけじゃないんだからね」



 そんなに怒らなくても、と思ったが、耳まで真っ赤になったリーベの顔を見て、照れ隠しだと理解する。



「きゅーーー!」


 河川敷に居たゴブリンが叫び、前に出た。

 勝てる――そう思っているのだろう。リーベはフッと鼻で笑った。



「以前のアタシと思わないでよね」


 瞬間、リーベはゴブリンとの距離を縮めるため走った。後方に居たゴブリンが弓を構えるのが見える。

このままじゃまずい――ケンイチも走りつつ、さっきまで展開していた2枚のシールドをリーベの前に出す。

弦がはじかれ、5本の矢が空を飛ぶ。しかし、それはシールドが防いだことで矢は彼女に当たることはなかった。

それでも、シールドは貫通し、矢の攻撃を受け止められなかったが。



「…………」



距離を詰めたリーベがゴブリンと、剣術で戦う。両社互角――かに思えたがけど、ゴブリンのほうが不利だ。確かに力勝負で行けば緑の魔物にぶがあり、リーベのほうが押されている。だが、それ以外――腕の長さと体格をいかした防御に、何と言っても水のように受け流した防ぎ方は、ゴブリンの攻撃を大ぶりにした。



「……………」



リーベは、ここぞと思ったのか、青い瞳を光らせる。瞬間、腕は伸び、レイピアの先がゴブリンの胸を貫いた。人間でいう所の心臓部分に、剣先がある。

リーベが剣を抜くと、ゴブリンは動くことなくその場で倒れ込んだ。その小さい穴から血を流して、ピクピクと痙攣しながら息絶える。

 河川敷とは思えない強さに、ケンイチが驚いた――むしろ自分のほうがお荷物なのでは、と考えてしまうほどに。



「まだ。いるわ」



 リーベの言葉で我に返ったケンイチは、前方のゴブリンに目を向ける。数はあと5体と言ったところか。弓が3体、剣が2体。ここで厄介なの乃が遠距離攻撃だ。剣部隊を倒してからでもいいのだが、正直それだと危険だとケンイチは考えた。

 ならば――あの手を考える。



「リーベ。俺に作戦がある」


「一体何を」


「シールド使うから飛んでくれ」


「…………」


 返事が返ってこず、リーベのほうへと目を向ける。見ると、彼女は口をパクパクしながら首を振っていた。

 嫌がっている。それもめちゃくちゃ。



「大丈夫だって。できるって」


 心配なのだろう。まぁそうだ、なんせ自分もそうするのは初めてだから。しかし、だからと言ってやらないわけにはいかない。

 確証だってあるし――それは、ワイバーンのとき証明したから。

 ケンイチは、話した。


「安心しろ、成功する――いや、させるから絶対に」

 

 ケンイチの意思に半ば折れかけたが、リーベは踏みとどまる。



「違うのよ。アタシ、高いとこダメなの」


 

 そうだったのか――だからと言って思考しない。暇が無いからだ。

 ケンイチは、再度言う。


「大丈夫、大丈夫。できるって」


「人の話聞いてた!?」



 リーベは唇を尖らせた。明らかに不機嫌だけど、それしか方法が無い。



「自分でやればいいじゃない? 別にアタシがやらなくたって問題ないじゃん」


「シールドは、基本的に40センチの隙間ができるからできないの! できたら、俺だって苦労しないさ」



 シールドの性質を話したら、リーベは喋らなくなった。難しい顔をして、ため息を吐く。



「魔法の条件なら、仕方ないね。やればいいんでしょ、やれば」


 逃げられないこの状況に、投げやりになる。


「いえす!」


 全く納得した表情ではないが、それでも呑み込めたらしい。リーベが少し前に出る。



「戻ったら、真っ先に『レ・ベッカ』の特製ハンバーガーを奢ること。約束ね」



 『レ・ベッカ』という店は、冒険者協会にある食堂の事である。リーベはそのハンバーガーが好物らしく、何かあればその食べ物を引き合いに出してくる。



「わかってるって」


 その言葉を合図に、リーベが大地を駆けた。



「ちょ早すぎ……」



 彼女は嫌なことを真っ先にやるタイプなのは知っていたが、こんなすぐだとは思っていなかった。少し出遅れたが、ケンイチは唱える――新たな防御魔法を。



「ジャンプ・シールド!」



 リーベの前にだされた横向きの半透明の板。彼女はそれを踏み、(高所恐怖症のリーベにとって)大空(4m上空)へと駆ける。まるでペガサスのように。



「ギヤアアアアアアア!」



 と、大きな悲鳴をあげながら、弧を描いて飛び跳ねていた。

 地面にいるケンイチでさえもよく聞こえる絶叫だ。


 ――頑張れ、リーベ。


 彼女を応援した。



「…………」


 悲鳴をあげ、絶叫を轟かせても、やるときはやる女。地面に着地するやいなや、リーベは持っているレイピアでゴブリンの心臓を貫いた。

1体、2体、3体――と、見事弓部隊を屍へと姿を変える。それもまさに一瞬で、見ているケンイチはついその美しさにうっとりとしていた。



「ケンイチ、前!」


 リーベにそう言われるまで、ぼーっとしていた。

 棍棒を持ったゴブリンが前に出てくる。咄嗟に身をかがめたことで、回避することに成功した。

 ケンイチは、シールドを展開することなく、ショートシールドで首を切った。

 傷は浅いかに見えたが、噴き出す鮮血の量で致命傷を与えられたのだと知る。

 すぐに距離を取って次の相手を探す。すると、右斜めの方向に草むらが揺れ、走っていく小人の姿が――。


「まずい!!」



 やりきれない剣を鞘に納めて、その方向へと足を向ける。だが――。


「ぎゃあああああ!!!!」



 聞こえる悲鳴は、絶対に人間だ。



「ど、どうしよう……」



 色が抜けた目をリーベに向ける。


「大丈夫。きっと違うはずだから」



 そう慰めてくれるが、そこには自信が無い。

 自分の甘さによって誰かが傷ついてしまった――と考えたその時、茂みが揺れ、現れた人物によって安心感を得た。

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