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超最弱!? 防御魔法の使い方  作者: カンタロウ
幕間『PARTY NIGHT!!!』
14/52

幕間――4.リーベの(元)仲間たち

 結局、タイガとは話せなかった。どうやら彼は冒険者の中でも結構高めの地位に居るらしくて、(女性)人気が高い。

 対してケンイチは、むさくるしいおっさんばかりだった。ときどき若い女性もいたが、ボーイッシュ寄りだ。

仕方ないと言えばそうなんだが、しかし、モテてぇ。

 超モテてぇ。


 でもまぁその人たちのおかげで、集まった物がある。それは名刺だ。どのように作用するのか、ケンイチにはわかっていない。ただもらうとき「推薦状を書く」と言ってくれたので、友好の証と考えていいのだろう。



「順調。順調!」


 ケンイチは、9人の名刺をもらった。

 ★1冒険者5人、★2冒険者4人。


 会話の糸口は全てワイバーンの襲撃で、どうして勝てなかったのか――大体わかってきた。

 それはずばり、遠距離攻撃ができる冒険者が居なかったという点にある。理由は2つ。


その1、魔法に特化するのが不可能。才能が無い――ひとことで言えばそうなる。魔法使いはそれなりの魔法の知識と肉体を要するため、ある程度の潜在能力が必要だ。


その2、王都ルティーナ周辺の魔物が危険視されていない。どうやらここは平和で、魔物による被害が田畑の荒らし程度。ときどき人の生き死にがかかった魔物の事件は起きる。しかしそれは、ワイバーンのような街全体に響かない――あくまでちっぽけな問題として解決される。

ならば、力あるものはこのカルラート国のどこに集まるか――それは南か東。どうやらそこには危険な魔物がうじゃうじゃいるらしく、強さを求める者、報酬金に目がくらんだ人たちはそこに集まる。



「皆、思わなかったんだなぁ」


 集まった名刺を数え終えたケンイチは、ポツリとつぶやく。

 それに――今回のワイバーン襲撃を迎え撃ったのは30名。そのうち29名が★1冒険者であった。あのときステージで報告していた彼のみが王都ルティーナで活動する★2冒険者である。



「………」


 それから王都ルティーナのどこで武器を調達するべきか尋ねてみた。すると全員が全員、口をそろえて『武器屋ヘーパイス』で調達しているらしい。



「たぶん、これぐらいあったらいいだろう」


 もらった名刺をTCGの手札のように並べる。


「なら、僕のも持っていてくれ」


「あっどうも」


 隣の声になんの疑問を抱くことなく、渡された物を素直に受け取った。

 それは、名刺――名は、タイガ。


「ケンイチくん。やぁ」


 黒髪の美少年がそこにいる。腕や足も棒切れのように細く、強そうには見えないが……。


「なんで、ここに……」


「ちょっと抜け出してきたんだ。ほら、名刺……というか連絡先が必要なんでしょ」


「そうそう。いやぁ助かる」


「同じ日本出身なんだ。できることがあるならなんでも助けるよ。もちろん推薦状だって書くし――」


「タイガさん! どこに行くんですか!!」


 黒髪をツインテールにした女性は、ツンとしていた。背はケンイチやタイガよりも低く153センチ。

 女性――いや、少女と言うべきか、彼女は腰に手を添えて、頬を膨らます。

 明らかに『怒ってますよ』と、言っていた。


 

「ごめん。ごめん」


「ごめんじゃないですよ! 抜け出さないでください」


 タイガの耳を引っ張って、彼女は連れ戻す。


「大変だなぁ」


 ケンイチは彼が見えなくなるまで、手を振った。




「…………」



扉が閉まったのを確認し、ケンイチは改めて集めた名刺を見た。

全部で10人――★1冒険者5人、★2冒険者4人、★3冒険者1人。順調に集まっているし、★2以上の冒険者は推薦状を書いてくれると約束してくれた。

冒険者人生も上手く生きそうで安心する。

ケンイチはさっそく報告しにリーベへと目を向けた。

 彼女はロングテーブルで顔を真っ赤にし、誰かと口論をしているのだ。


「?」


 リーベと口論している女性は、酔っているからなのか笑っていた。

彼女は、ショートカットの銀髪をし、よく見ると褐色だ。

 肌を見せまいと青い服で顔から下を覆っている人――まさか、ケンイチはわかった。


「あのとき助けてくれた人ですよね」


 彼女は、ケンイチのほうへと振り向いた。


「んあ……」


 ジトーッと見て、「あっ」と大きな声をあげ立ち上がる。


「そうそうそうそう、助けたわ。覚えてたのか」


「そうです。だってあの状況で助けてくれたんですよ。忘れるわけないじゃないですか」


「それもそうか!!」


 ケンイチの背中をバシバシ叩く。

 振動が背骨に渡り、脳を揺らした。

 痛い――。


「どうして、ここにいるんだ。飲みに来たのか?」


 女性はケンイチを見て、グラスを向けてくる。


「その人よ……」


リーベは、ケンイチを指さした。


「ん?」


 リーベの声に訊き返す女性。

 再度力を込め、リーベは言った。


「その人が、アタシの仲間よ」


 銀髪の女性は、リーベとケンイチを交互に見る。


「うっそだろ!! お前の仲間なのか!!」


「そうよ」


「ほえー。ビックリだわ、こりゃあ……。あの一匹狼が仲間をねぇ」


 なんだ、その異名?

 ケンイチの疑問を置いて、女性が喋る。


「オレたちから抜けた後お前1人で冒険者やってたから、すげぇ心配したんだぞ。良かったよ無事に続けられそうで」


「やめてよ、その話……」


 これは闇が深い――触らぬ神に祟りなしだ。


「それよりも、アンタはまだアイツと一緒に行動してるの?」


「そりゃあな」


「……居心地悪く無いの?」


「別に。金貰えるし、飯も食える。ただ言われたことをすれば、それで問題なしだ」


「ふーん。なら良かったわ」


「心配してくれたのか、姫」


 突然、リーベが立ち上がる。

 ガタッと大きな音を立て、きっと睨みつけた。


「その呼び方やめてよ!」


「別にいいじゃねぇか。お前らしく可愛いあだ名じゃねぇか」


「それが気に入らないのよ」


 ピリピリとした空気。

 こういうときはピエロを演じるべきか――いや、演じたら余計こじれそう。

 ならば黙っても見ておくべきか。



「それは悪かったなぁ。結構お似合いだと思うけど」


「バカにした意味じゃなければ、アタシも気に入っていたわ」


 思いのほかあっさりと終わった。

 良かった、と一安心する。


「で、最近なにかこなしたか?」


 女性が話題を変えたことでリーベは、座る。

 そして、彼女の質問に答えるべく口を開いた。


「ワイ――」


 だが、その声はさえぎられる。


「それは無しだ。面白くねぇじゃん」


「………」


 リーベは黙った。


「もしかして、何もこなしてないのか?」


 リーベは静かにうなずいた。

 赤い顔を持って、涙をためた目で。


「やっぱりそうか」


 女性は立ち上がる。


「オレたちと一緒にやったほうがいいんじゃ――」


 女性が手を差し伸べるが、リーベはそれを振り払う。


「いやよ!!」


 リーベの声は、かなり大音量であった。だが、周りの喧騒とした空気の中ではあまりにも小さい。

 かき消されたその声は、2人しか聞こえていなかった。


「ワタシ、あいつとは一緒に行動したくないのよ……」


 ごめんなさい、その声はかすれていた。何かを押し殺している、我慢している――知られたくない何かを封じていた。



「そうか。まぁリーベには合わないもんな、アイツのやり方は」


 まわりとは明らかに違う空気にだれも気づかない。気付くはずがない、ここは3人の世界で完全に閉じられていたから。


「…………」


 今にも泣きそうな彼女をどうすることもできないケンイチ。

 こういうときどうすればいいのか、必死に考えていたそのとき


「エリス。やっと見つけたよ」


 全身筋肉のような大きな男は――。


「ハンドックさん!」


 ケンイチはあまりにも嬉しくて、つい大きな声を出してしまった。

 そこで彼は気付いて、手を振る。


「やぁ2人とも。再会できてうれしいよ」


「俺もです! あっあのとき、ありがとうございました」


「いいんだよ。気にしないでくれ」


 ケンイチへ目を向けた後、リーベの異変に気付いた。

 何かあったの――と言った目を向けてくる。

 言うべきか言わぬべきかわからず、曇った表情を見せると、彼は察してくれた。


「……リーベ」


 ハンドックの声に体を震わせ、リーベは手で何かを拭く動作をする。

 そして、口角を少し上げた彼女が彼を見た。


「ハンドックさん。お元気そうで何よりです」


 リーベが一礼する。


「…………」


 ハンドックの戸惑いが見える。だけど、そこは大人と言うべきだろう。彼はすぐに順応し、追及はしなかった。

 その代わり、エリスを指さし


「酔っぱらいがすまないね。注意しておくよ」


 と、言って連れ去った。


「………」


「…………」


 嵐は去った、と言うべきかまぁ何はともあれパーティーは無事終了した。

 ある1つの気がかりを残して。

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