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超最弱!? 防御魔法の使い方  作者: カンタロウ
幕間『PARTY NIGHT!!!』
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幕間――3.転移者の報告

「皆さんお集まりいただき感謝します」


 中央に設置されたステージで,

タイガは報告を開始した。


「僕は調査団リーダー、タイガと言います」


 彼は一礼する。


「まず今回の遠征について報告させていただきます。今回われわれの目的は、山岳地帯――グランドウォールに突如として現れたドラゴンの調査です。今わかってる情報は以下の通りです」


名称ネーヴェック。

全長20メートル。体重は不明。

特徴は、頭に生えてある紫の角。

鱗は雪原を思わせる銀色で、防御面も優れている。剣や魔法の攻撃を全て弾くことが可能。ただし、内部からの攻撃なら話は変わるかもしれない。



「以上の情報しかまだわかっておりません。ネーヴェックの影響でグランドウォールの魔物は、暴れています。今日起きたワイバーンの襲撃も原因の1つだとわれわれ調査団は考えています」


 どよめきが走る。

 集まった冒険者たちはコソコソ喋り始め、周囲の空気が乱れ始めた。



「ですが、安心して下さい。冒険者協会と連携し、行き場を失った魔物たちの調査がすでに実行されています。そこでお願いしたいことが1つありまして、冒険者協会のクエストでその魔物たちの討伐をしていただけないでしょうか。もちろん、報酬金は高くしますし、保証はします。一匹でも多くの魔物を保護、あるいは討伐をしていただきたいと考えています」


 しかし、納得は言っていないのか、それともネーヴェックの影響と強さによる不安なのか、冒険者たちのざわめきは消えない。

 むしろヒートアップしていった。


「…………」


 タイガの表情が曇る。その澄ました瞳の奥でグツグツと何かが燃えていた。



「皆さん聞いてください。今回調査した人数は、総勢37名です。しかし、帰ってきたのは衛兵8名、冒険者11名ののべ19名です。約半数のかたが調査により、命を落としました。彼らの尊い犠牲により、明日が繋がっているんですよ」


 タイガの拳が強く握られた。


「われわれ冒険者は、いま立ち上がる必要があります。やるしかないんですよ。僕たちでネーヴェックがもたらした影響を止めるしかないんです」


一度、呼吸をした。

落ち着いたのか、表情が明るい。



「僕は、あなたたちがドラゴンと戦え――なんて思っていません。ネーヴェックは必ず僕らが退治します。だから、あなたたいはこの街を守ってください! それが亡くなった英霊たちに対する弔いになると考えています」


冒険者たちに希望が走る。

迷いはない――『自分ができることをする』そう満場一致で思っているのだろう。



「さあ勇気ある者よ、グラスを握れ」


 冒険者たちは、透明な液体が入ったグラスを空に掲げる。

 ケンイチも近くのテーブルに乗っていたグラスを上に向けた。



「僕たちに残してくれた英霊たちが恥じぬよう、共に戦おうじゃありませんか!!」


 歓声が上がる。

 一気にヒートアップし、熱に包まれた。



「われわれは負けない! 必ずこの戦いを終わらせましょう。英霊たちに、そして、明日ある平和のために――乾杯」


 乾杯!!!


 皆がグラスを口に近づき、ぐいっと一口で飲み干した。

 ケンイチも同じようにし、苦しい顔をする。

 それは酒だった。舌を刺激する苦みとのどの痛みを抑え、なんとか胃に抑え込む。

 今までジュースしか飲んでいなかったケンイチにとって、あまりにも強すぎた。


 それからまもなくパーティが開始され、料理が壁際のロングテーブルに並べられる。見たことのある料理、見たことのない料理が勢ぞろいした、ただ大事なのは味である――ケンイチは、皿とフォークを手に待つ。

 瞬間、冒険者たちはロングテーブルにドサドサと走り、料理の奪い合いとなった。


「…………」



 結論、ケンイチは勝てなかった。

 運ばれた料理を我先にと行ったものの巨体な冒険者たちの威厳にくじかれてしまい、トホトホと歩いて、いま椅子に座っていた。

 からの皿とグラスを並べ、人が居なくなるその時まで待つ。


「英雄の扱いがこれかよ」


 ちょっとぐらい優しくされると思っていた。特別にいいよ――みたいなおすそ分けか、あるいは、譲渡をしてくれると思った。

 しかし、それは無かっ――—街を守った英雄だと人は言うが、食べ物という怪物の前ではみなが平等となるこの世界。



「…………」


 まぁでも、とケンイチは考えてみる。

 食べ物をワイワイ取り合えるこの環境は、ワイバーンが居なくなったことで訪れたひと時ではある。

 許せないけど。

 


「…………」


 さっき摂取したアルコールがまわったのか、ふいに体が火照り眠くなる。

 テーブルに肘をついた。

 動けそうも無いし、と少々考えに浸ってみる。

冒険者になると言うことは、つまり危険が付き物だろう。この先たくさんの事件に、事情に巻き込まれるはずだ。それは楽しい事、嬉しい事、悲しい事、イライラする事――どれに分類されるかわからない。

ただそれでも、最後の最後に『あぁ異世界に来て良かったな』と思えるようになればいい。今ここに居る人が誰も死ぬことなく、魔物との戦いに勝利を収めてくれればそれでいい。



「なら、俺も頑張んないとな」


 いつかある冒険者研修とその試験を合格し、冒険者として生きていく――そこにリーベが居てくれればなお良しってものだ。

 ケンイチの隣に誰かが座る。見ると、皿いっぱいに食べ物を乗っけたリーベがいた。



「今日は楽しみましょ!」


彼女のフォークに刺された揚げ物をケンイチの口に突っ込んだ。


「んにゅ!?」


 突然のことであったから恥ずかしい声が漏れる。

 奥歯と奥歯を噛み、食べ物を細かく砕いた。その瞬間――


「うまい!」


 ただただうまい。

 あの世界の中で一番近い料理は何か、と考えた。記憶の扉を開き、サクッとしたそのときひろがる肉汁の料理を探す。

 たくさん流れてくる揚げ物料理。今までこんなに食べたのか、と懐かしさに浸りつつたどり着いた答えは、そう――。


「唐揚げ」


 咀嚼し、喉に流した。

 納得すれば、今食べたものが更に唐揚げだと感じる――もう唐揚げ以外考えられない。

 この世界で食べられるとは――異世界は最高である。

  

 ――異世界万歳!!



「いま空いてきてるし、行って来たら? アタシ席を取っておくから」


 ロングテーブルへと目を向ける。

 確かに人は少ないが、その分料理の品も数える程度。ただここで何も食べずに終えるのは、割に合わない。

 街を守ったのだからタダ食ぐらいしてもいいだろう――ということで、ケンイチは皿を手に取った。



「それは助かる。なら、行ってくるわ」


「いってらっしゃーい」


 リーベはナポリタンをフォークに巻いて、口に頬張る。

 ケンイチはそのまま歩いてロングテーブルへと向かう。途中酔いのせいか足を踏み外しかけたが、なんとか耐え、目的地までついた。


「おお」


 やはり、そこには現代日本人に通じる料理も並べられていた。

 ナポリタン、唐揚げ、カルパッチョ、とんかつ、コロッケ、アジフライーー他にもあるが、それは異世界料理というやつだろう。見たことが無かった。

 ケンイチは、疑問に思う。



「なんか、揚げ物多くない?」



 知ってる6品のうち4品が揚げ物。しかも家庭の食卓に並べられていたものだ。

 運動部であったケンイチにとって――いや、高校男児としてこの並べられた料理たちは、拍手するべきものだ。

 この世界に揚げ物と言う料理を作ってくれてありがとう、と感謝する。



「それが僕のチョイスなんですよ」


 隣に立つ黒い服と白いマフラーを巻いた少年――タイガだ。


「おおっ。そうなんすか!」


 年が近いと直感し、崩した敬語を話した。


「そうなんですよ。僕も転移者ですから」


「へぇーなるほどー………?」


 タイガが言った『転移』という言葉。

 嬉しさのあまり口角が上がった。

 さて、どんな話をしようか、この日本人に対して。




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