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超最弱!? 防御魔法の使い方  作者: カンタロウ
幕間『PARTY NIGHT!!!』
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幕間――2.パーティーの意味

「あの人が……」


 風格、見た目、どれも全てが一級品。知性に包まれつつも、本能から感じる強さがこの白髭のおじさんからあった。

 髪は全てオールバックにし、顔は皺だらけであるがそれがまたチャームポイントとなっている。身長は高くて、遠目からもわかる180センチだ。黒のスーツを着用し、青のネクタイを首に巻いている。


 ケンイチは、ダンディーなおじさんに釘付けとなっていた。

 納得できる――と言った表情で。

 そんな彼に気付いたリーベが一言。


「あの人じゃないわ。ただの先頭を歩く人よ」


「うっそ!?」


 思わず声が漏れて、彼女を見る。

 リーベはずっとその列に目を向けていたが、口はケンイチに向けられていた。


「本当よ。帰還した冒険者を案内する人――としてよく目にするわ」


 たぶん、と最後に言葉を付け加えて。

 ダンディーなおじさんだったから、感動していたのに――がっくりと肩を落とした。


 次に歩いてきたのは、鎧を着た8名の人間。

 新品なのだろうか、誰一人傷が無く光沢があった。


「めっちゃきれいじゃん」


「そりゃだって、パーティーだからね。おめかししてるのよ」


「あぁそういうことか。なるほどねぇ」



 次に歩いてきたのは、やっとお出まし冒険者だ。全員数えると8人いた。

 瞬間、歓声が湧く。この場に居る冒険者たちにとっての憧れなのだろう――ヒーローショーを見る子供のような輝いた目で見ていた。

 ただケンイチは、いまいちわからない。凄いのは何となく風貌とかでわかる。だが、そこまでだ。テレビの芸能人に対してキャーキャー言ってる中、ときどきある「この人だれ」という状態が今のケンイチにある。



「彼らは、★3冒険者たち。みんな彼らのような凄腕冒険者になる事を夢見て日々、切磋琢磨してるの」


「そうなんだ。リーベも?」


「アタシは別に。ただ冒険者になる事が夢だった――それだけよ」



 リーベにも冒険者と言うのに憧れがあったのか、と驚くが、そもそもこの世界では冒険者になる事は一般的で結構簡単なのかもしれない――多少の試験は難しいことぐらいで、この職業自体は浸透しているのだろう、と勝手に解釈してみた。



「ちなみに先頭の黒髪――タイガって名前なんだけど、あの子が一番強い」



 リーベが指さした方向へと視線を動かした。

 ケンイチと全く同じ髪色と目の色。身長は170センチだと考えられる。顔はとても優しく、他の人とは明らかに作りが違う――彫が無く、エラが張っていない。明らかに日本人と言う顔をしている。

 服装は全身真っ黒で、ダークなオーラがある。だけどそれは、首に巻いている白いマフラーが変えた。

 白と黒。

 陰と陽。

 対立するその2つの色は、彼を勇者として、強者として立たせていた。



「どうしたの、さっきから」


 深く考え、ずっとタイガを見ていたケンイチに気付いたリーベが話しかけてくる。


「なんでもねぇ……」


 直感でわかる――彼は日本人で、同じ転移者だと。

 タイガもふいにこっちのほうへと目を向けた。お互い目と目が合い、何かを察したのか手を振ってくる。

 ケンイチはとっさのことで反応できず、ただ首を縦に動かすしかなかった。



 10人が歩き終えた後、続いて3人の塊が歩いてくる。

 ただ彼らは不思議なことに涙を流している。嬉しそうに、この帰還を喜んでいるみたいだ。


「帰れて嬉しかったんだな」


 そりゃそうだ。

 ケンイチも部活終わりの帰宅が一番楽しかったから。


「それもあるけど、実際の理由は別にあるわ」


「そうなの?」


「えぇ。彼らは仲間を亡くしてるのよ」


 空気が止まった。

 辺り一面がスローモーションのようになり、その衝撃を受け止めるのに時間がかかった。

 亡くした?

 仲間を?

聞こえてる声に変化がある。耳澄ませばよくわかる。


「よく頑張った」


「お前たちは悪くない」


 見ると、涙を流し、肩を震わせ、悲しんでいる人ばかりだ。中には泣いていない人もいるが、表情は引き締まっており、覚悟を決めているように見えた。



「鎧兵20名。★3冒険者10名。★2冒険者7名が今回遠征して、帰ってきたのが見ての通り」


 心なしか、リーベもその事実に目を背けたいと言った表情をしている。


「そうだったのか」


「彼らは冒険者であるけど、英雄でもあるの。だから、帰還は喜ばれるし、こうやって祝われる」


最初は楽しめる行事だと思っていた。しかし、実際は彼らに「おかえり」と声をかけるイベントーー悲しい祝福をすることだ。

 リーベは続ける。


「だから服装が自由っていうのも、帰還した彼らに対して《日常が戻ってきた》と思えるようにするためなの」


「……じゃあ俺って」


 この服装でいいのか、と悩んでいたのがあまりにも馬鹿馬鹿しい。

 最初から知っておけば、このパーティーの趣旨を理解しようと動いていれば、ああやって思うことが無かっただろう。

 なんて愚かなんだ――ケンイチの肩にリーベは手を置いた。



「無理もないよ。初めてなんでしょ、こういうの?」


 ケンイチは頷いた。


「じゃあ仕方ないよ。誰だって初めはそうだもの――知れるって楽しいよね」


 リーベの微笑みに釣られ、ケンイチも口角を上げた。

 帰還兵――いかに今回の遠征がどれだけ過酷だったのか、それはタイガの報告で初めて知ることとなる。


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