第17話 セシリア様は飾りではありません
エレナが王宮へ着いたとき、東門の受付に珍しい伝言が残されていた。
「セシリア・アルノー伯爵令嬢から、でございます」
門務官から小さな封筒を渡され、エレナは足を止めた。
「私へ?」
「はい。本日、公爵令嬢が登城されるとお聞きになったそうで、お時間があれば王太子妃教育棟の小応接室へお越しいただきたい、と」
封を開くと、丁寧な文字でほぼ同じ内容が書かれている。
ただし最後に、一文だけ付け加えられていた。
――新聞に出ている噂について、気づいたことがあります。
「気づいたこと、ね」
昨日から、エレナが祖国の機密を外国へ売ったという噂は、王宮とレーヴェルト大使館双方の否定によって勢いを失い始めている。
しかし、最初に匿名の刷り物を撒いた人間については、まだ分かっていない。
ヴァルツ公国の商業組合に加盟する商会と似た印章を使った袋が目撃された。それだけだ。
偶然かもしれない。
意図的な偽装かもしれない。
「会われますか?」
隣のミナが尋ねる。
「王女宮での仕事が終わってからね。今日は午前中だけの予定だから、そのあとなら時間があるわ」
「セシリア様、何をお気づきになったのでしょう」
「分からない。でも、あの方がわざわざ『噂について』と書くくらいだから、ただ新聞を読んだ感想ではなさそうね」
エレナは封筒を鞄へしまい、まず自分の契約上の仕事へ向かった。
◇
王女宮の会計引き継ぎは、驚くほど順調だった。
百二十七枚あった未精算請求書はすでに大半が処理へ進み、若い財務官はエレナへ確認を求める前に、自分なりの判断と根拠を書面へまとめるようになっている。
今日エレナが訂正したのは、わずか一件だった。
「これなら、来週から私が来る必要は半日で済みそうですね」
エレナが言うと、若い財務官は嬉しそうにするかと思ったが、なぜか少し複雑な顔をした。
「もう半日ですか」
「不満?」
「いいえ。ただ……」
彼は言いにくそうに書類を揃えた。
「最初は、公爵令嬢に全部お任せできれば楽だと思っていたんです。でも最近は、自分で判断したものを正しいと言っていただけるのが少し嬉しくなってきまして」
エレナは一瞬、返事を忘れた。
「それは、とても良いことだと思います」
「そうでしょうか」
「ええ。私がいなくても仕事ができる人を増やすのが、この三か月の目的ですもの」
言ってから、少しだけ笑った。
「私自身、それを覚えるのに随分かかりましたけれど」
財務官も笑う。
以前なら、「自分が不要になる」ことに一抹の不安を覚えたかもしれない。
今は違う。
この青年が一人で判断できるようになるほど、エレナは別の仕事へ時間を使える。
それは価値を失うことではない。
役割を終えることだ。
午前の業務を予定より少し早く終え、エレナは王太子妃教育棟へ向かった。
◇
セシリアは、小応接室で一人ではなかった。
同席していたのは彼女付きの侍女が一人と、王太子妃教育を担当する年配の女官だった。
エレナが入ると、セシリアはすぐに立ち上がった。
「エレナ様。急にお呼び立てして申し訳ありません」
「今日はちょうど登城日でしたから構いません。それより、何か分かったとか」
「はい。ただ、私の思い違いかもしれません」
「それでいいのです。最初から正解である必要はありません」
セシリアは少し緊張したように頷いた。
卓上には、新聞の切り抜きが何枚も並んでいた。
例の噂記事である。
「ずいぶん集めましたね」
「王宮へ入るようになってから、新聞を読むように言われているんです。最初は政治の記事を読んでも意味がよく分からなかったのですが……今は、同じ話が新聞によってどう違うか比べるようにしています」
「良い勉強ですね」
「先生に教えていただきました」
セシリアが隣の女官を見る。
女官は軽く頭を下げた。
「ただ、この件について気づかれたのはセシリア様ご自身です」
「何を?」
エレナが席につくと、セシリアは一枚の記事を差し出した。
「最初、私もただの悪口だと思いました。エレナ様がルシアン殿下に乗り換えたとか、お金で国を売ったとか……その、酷い内容ですけれど」
「そこはもう慣れています」
「慣れてはいけないと思います」
思ったより強い声だった。
エレナは少しだけ目を見開いた。
セシリアは言ったあとで恥ずかしくなったのか、声を落とした。
「ごめんなさい。でも……以前なら、私もこういう記事を読んで、そのまま信じたかもしれません」
「だから今回は疑った?」
「はい」
エレナが以前言った言葉を、ちゃんと覚えていたらしい。
誰か一人を悪人にする話は、一度疑うこと。
「それで、何をなさったのです?」
「王宮の方々に聞きました」
「誰に?」
「最初は侍女です。それから衣装係の方、厨房の方、門務官の方、若い書記官の方……」
エレナは思わず聞き返した。
「そんなに?」
「でも、尋問みたいなことはしていません」
「そこは分かります」
むしろセシリアにはできそうにない。
「新聞の記事についてどう思うか、くらいです。それに私はまだ正式な王太子妃ではありませんし、皆様も最初は遠慮していたのですけれど……お茶を飲みながら話していると、少しずつ」
その光景が目に浮かんだ。
セシリアは、人に警戒されにくい。
それは外交交渉の場では弱点になることもあるだろう。
だが、人から言葉を引き出す場面では大きな強みになる。
「それで、何が分かったのです?」
「この噂を、新聞に出る前から知っていた人がいました」
エレナの表情が変わった。
「誰です?」
「衣装係の若い女性です」
「その方が流したと?」
「いいえ、違います」
セシリアは慌てて首を振った。
「その方は、前日の夕方に商人から聞いたそうです。王宮へ布地を納めに来ていた商人です」
「何の商人?」
「服地商です。名前はこちらに」
セシリアが紙を差し出した。
王都の中堅商会。
エレナにも名前だけは覚えがある。
「その商人は、どこで聞いたと?」
「最初は『市場で』としか。でも今日の朝、その衣装係の方にもう一度聞いていただいたら、もう少し詳しく話してくれました」
「誰が?」
「私が直接」
「セシリア様が?」
「はい」
エレナは少し驚いた。
伯爵令嬢であり、次期王太子妃候補の女性が、王宮へ出入りする服地商を呼んで事情を聞いたらしい。
「相手は緊張したでしょう」
「とても」
「どうやって話を?」
「最初に布地の話をしました」
「布地?」
「はい。その方が納めていた冬用の布がとても綺麗だったので、どこの産地か聞いて。それから値上がりしているとおっしゃったので、理由を聞いて……」
セシリアは少し考えた。
「そうしたら、国境の手続きが面倒で、仕入れが遅れているという話になったんです」
エレナは、そこで少し感心した。
制度の話を聞くために制度を聞かなかった。
相手が話したいところから入り、自然に本題へ近づいたのだ。
「それで噂まで?」
「その商人が、『だから外国人へ商売を簡単にさせる制度なんて、ろくなことにならない』と」
「なるほど」
「私が『どんな制度ですか』と聞いたら、『悪役令嬢が外国王子と一緒に作っている制度だ』と言われました」
「ずいぶんな言われ方ね」
ミナが小さく息を吸った。
横から何か言いたいようだったが、今日は堪えている。
「その方自身も、誰かから聞いただけでした」
「誰から?」
「王都商業連合の集まりで、そういう話をする人がいたそうです」
「名前は?」
セシリアは別の紙を出した。
「マルセル・ディーンという商人です」
エレナには聞き覚えがなかった。
「どこの商会?」
「ディーン交易商会。国外の商人資格を取り次ぐ仕事もしているそうです」
その一言で、話がつながった。
「保証人業務に関係がある?」
「そこまでは分かりません」
「十分です。調べればいい」
セシリアは続けた。
「それから、その人が直接刷り物を配ったのかも分かりません。ただ、新聞に出る二日前から、『公爵令嬢が国を売る』『外国商人を大量に入れる制度を作る』という話を何人にもしていたそうです」
「二日前……」
つまり匿名の刷り物より前か、少なくともほぼ同時期。
重要な情報だった。
「ほかにもあります」
「まだ?」
「はい」
セシリアは今度は、三人分の名前を書いた紙を差し出した。
「この三人は、別々の方から聞きました。でも全員、似た話をしていたそうです」
王都の宝飾商。
南地区の輸入酒商。
荷馬車業者。
業種は違う。
しかし、三人とも共通して商業連合の定期会合へ出席していた。
「セシリア様」
「はい」
「これを全部、お一人で?」
「皆様に聞いただけです」
「それができる人は、案外少ないのですよ」
セシリアは目を瞬いた。
「でも私は、エレナ様のように制度を考えたり、数字を読んだりはまだできません」
「同じことをする必要はありません」
「え?」
「あなたは私ではないのですから」
セシリアは黙った。
エレナは卓上の紙を一枚ずつ見直した。
自分なら、こんなやり方はしなかったかもしれない。
最初から商会名簿を調べ、取引関係を追い、役所へ照会する。
それはそれで有効だ。
だがセシリアは、人と話した。
相手が警戒しない形で、日常会話の中から同じ名前へ辿り着いた。
「セシリア様の長所ですね」
「私の?」
「ええ。人があなたへ話してしまう」
「それ、褒め言葉でしょうか」
「かなり」
「少し怖い言い方です」
エレナは笑った。
「外交でも宮廷でも、相手が本音を話してくれるというのは大きな力です。ただし、聞いた話をそのまま信じないこと。それだけ気をつければ」
「疑うこと、ですね」
「ええ」
「前に教えていただいたように」
セシリアの声が少し嬉しそうだった。
それを見て、エレナは胸の奥に妙な感覚を覚えた。
嫉妬ではない。
少なくとも今は。
むしろ、自分とは違うやり方で王宮に居場所を作ろうとしている女性を見て、ほっとしたのだと思う。
セシリアがエレナの代わりになる必要はない。
エレナと同じことができなければ王太子妃になれない、ということでもない。
そこを混同していたのは、王宮だけではなかった。
エレナ自身も、どこかで「この人に自分の仕事ができるのだろうか」と思っていた。
それも少し傲慢だったのかもしれない。
「エレナ様」
「何でしょう」
「お願いがあります」
「どうぞ」
「この話、大使館へお伝えいただけますか?」
「もちろん。ただし、セシリア様のお名前をどこまで出してよいです?」
「必要なら出してください」
少し迷ったあと、セシリアは言葉を続けた。
「私、今まで……誰かに好かれることばかり考えていた気がします」
エレナは黙って聞いた。
「アレクシス様にも、周りの人にも。優しくしていれば皆が仲良くできると思っていました。でも王宮に入ったら、それだけでは駄目なことがたくさんあって」
「そうですね」
「以前は、エレナ様がもっと優しくすればいいのにと思っていました」
「随分正直ですね」
「ごめんなさい」
「続けて」
セシリアは少しだけ笑った。
「今は、優しく言えば解決することばかりではないと分かってきました。でも、だからといって私までエレナ様のようにならなくてもいいのかな、と」
「その通りです」
エレナは迷わず答えた。
「むしろ、なってはいけません」
「そこまでですか?」
「王宮に私が二人いたら、たぶん一週間で喧嘩します」
女官が思わず口元を押さえた。
セシリアも笑う。
「では、私は私のやり方で?」
「ええ。人の話を聞けるのなら、それを使えばいい。私にできないことですから」
「エレナ様にも?」
「私は相手を質問攻めにしてしまうことがあります」
ミナが後ろで深く頷いた。
「ミナ」
「何も申し上げておりません」
「頷きすぎよ」
セシリアの笑い声が、最初に会ったころより自然になっていた。
◇
話が一段落したところで、小応接室の扉が控えめに叩かれた。
入ってきたのはアレクシスだった。
エレナは少し意外に思った。
「邪魔だったか?」
彼はまずセシリアを見て、それからエレナへ視線を移した。
「セシリアがここにいると聞いたので」
「少しお話をしていました」
セシリアが答える。
「新聞の件についてです」
アレクシスの顔が険しくなった。
「また何か出たのか」
「いいえ。むしろ、少し分かったことがあるんです」
「何が?」
セシリアは先ほどエレナへ説明した内容を、自分の言葉でもう一度話した。
途中、何度か言葉に詰まった。
商会名や制度名を言い間違えそうにもなった。
そのたびに女官のメモを確認し、自分で訂正した。
アレクシスは最初驚いたように聞いていた。
「君がそこまで調べたのか」
「調べたというほどでは……」
「十分だろう」
その言葉に、セシリアの顔がわずかに明るくなる。
だが、すぐにアレクシスはエレナへ向いた。
「エレナ、この情報なら何が分かる?」
その瞬間、セシリアの表情がほんの少しだけ曇った。
小さな変化だった。
以前のエレナなら見落としたかもしれない。
「まず」
エレナは答えかけて、止めた。
それからセシリアを見る。
「セシリア様はどう思われます?」
「私?」
「ここまで聞いたのですもの。あなたの考えを伺いたいです」
セシリアが戸惑う。
「でも私は外交には詳しくありません」
「外交の結論ではなく、この噂についてです。誰が何のために広めていると思うか」
アレクシスも黙った。
セシリアは卓上のメモを見た。
「……最初は、エレナ様を嫌いな人がやっているのだと思いました」
「はい」
「でも、聞いた方たちは皆、エレナ様個人のことより『外国商人が入ってくる』とか、『保証人制度がなくなる』という話を先にしていました」
「では?」
「エレナ様が嫌いだから制度を止めたいのではなくて……制度を止めたいから、エレナ様が嫌われていることを使っているのかな、と」
エレナはゆっくり頷いた。
「私もそう考えています」
セシリアの目が少し大きくなる。
「本当ですか?」
「ええ」
アレクシスは、二人を交互に見た。
「なら、このディーン交易商会を調べればいい」
「そうですね。ただし、最初から犯人として扱わないことです」
エレナが言う。
「分かっている」
アレクシスは少し不満そうに返した。
最近は自分でも事実確認を先にするよう心がけているらしい。
「外務省と商務局へ、通常の商業記録を確認させよう。噂を理由に直接踏み込めば、かえって警戒させる」
「そのほうがよいと思います」
答えたあと、エレナは付け加えた。
「それから、今回の手がかりを見つけたのはセシリア様です」
「分かっている」
「本当に?」
「なぜ疑う」
「殿下は今、私へ先に次の判断をお尋ねになりましたので」
アレクシスが黙った。
セシリアが慌てた。
「エレナ様、私は気にしておりません」
「気にするかどうかの話ではありません」
エレナは穏やかに続けた。
「誰が何をしたのか、正しく見ることは大切です。私が昔から一番欲しかったものでもありますから」
アレクシスの顔に、わずかな痛みが走った。
責めるために言ったのではない。
だが結果として、彼には刺さったらしい。
「……そうだな」
アレクシスはセシリアへ向き直った。
「すまない。君が調べたことなのに、すぐエレナへ答えを求めた」
「いえ」
「いや、よくない」
彼は珍しく自分から言い直した。
「ありがとう、セシリア。助かった」
セシリアは、少し照れたように笑った。
「まだ何も解決していません」
「それでもだ」
そのやり取りを見て、エレナは胸の奥に小さな痛みを感じた。
完全には消えないらしい。
アレクシスがセシリアへ向ける表情は、自分には向けられなかったものなのだと、今でも思う。
けれど、その痛みと同時に、別の感情もあった。
これでいい。
二人が自分なしで話し、自分なしで考え、自分なしで失敗しながら前へ進めるのなら。
自分が真ん中にいる必要はない。
「では、私はそろそろ失礼します」
エレナが立ち上がる。
セシリアも立った。
「エレナ様」
「はい?」
「私、役に立てましたか?」
ひどく素直な問いだった。
エレナは少し笑った。
「十分に」
「本当に?」
「私では拾えなかった情報です」
セシリアは、今度こそ嬉しそうに笑った。
「では、また何か気づいたら聞いてみます」
「ただし無理はなさらないでください。危ない相手へ直接近づくのは禁止です」
「分かりました」
「それから、王太子妃教育もあるでしょう。全部を自分で調べようとしないこと」
アレクシスが横から言う。
「それは君が言うのか」
「私だから申し上げるのです」
三人の間に、少しだけ笑いが生まれた。
婚約破棄の夜には考えられなかった光景だった。
◇
王宮を出る前、エレナは大使館へ送る報告書を東門の使者へ預けた。
セシリアから得た情報。
王都商業連合。
ディーン交易商会。
保証人制度に関係する業者との接点を調べる必要があること。
ただし、現時点では噂の発信者と断定しないこと。
最後に、情報提供者としてセシリアの名を記した。
隣でミナがその書面を見ていた。
「セシリア様、変わられましたね」
「ええ」
「お嬢様は、嬉しそうです」
「そう見える?」
「少し」
エレナは東門の向こうに停められた馬車へ向かいながら考えた。
「安心したのかもしれないわ」
「何にです?」
「私がいなければ、王宮は何もできないと思っていたところが、少しあったのよ」
「それは事実だった時期もございました」
「でも、ずっとそうである必要はないでしょう」
王女宮の若い財務官もそうだった。
アレクシスもそうだ。
そしてセシリアも。
エレナがいなくなった空白を、誰か一人がそのまま埋めるのではなく、それぞれが自分の得意な方法で少しずつ担い始めている。
「セシリア様は、私にはなれないわ」
「はい」
「でも、それでよかったのね」
むしろ、同じになる必要などなかった。
人に好かれやすいこと。
相手の緊張を解くこと。
話しやすい空気を作ること。
以前のエレナは、それを政治の世界では頼りない性質だと思っていた。
今は違う。
使い方次第では、自分の鋭さよりずっと深いところへ届くこともある。
「飾りではありませんでしたね」
ミナが言った。
「誰が?」
「セシリア様です」
エレナは少しだけ眉を上げた。
「最初から飾りだと言った覚えはないわよ」
「思ってはいらしたでしょう?」
「……少しくらいは」
「正直でよろしいかと」
「あなたは本当に遠慮がなくなったわね」
「お嬢様が本当のことしかおっしゃらないので、私も真似しております」
「そういうところまで真似しなくていいの」
馬車へ乗り込む。
扉が閉まる直前、王宮を振り返った。
そこにはもう、自分一人の仕事場だったころとは違う人々がいる。
誰かに必要とされなくなることは、捨てられることだと思っていた。
けれど、自分が教えたことを誰かが覚え、自分がいなくても続けられるようになるなら、それはむしろ残ったものなのかもしれない。
そして今日、セシリアはエレナから教わった「疑う」という一つの習慣を使って、自分にしか集められない情報を持ってきた。
悪役令嬢の代わりになる必要などない。
優しいだけの伯爵令嬢でもない。
セシリア・アルノーには、セシリア・アルノーにしかできない王宮での仕事が、少しずつ見え始めていた。




