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68 汚冥界:大聖堂前1

 

 ⬛システィーナの視点


 ドォン……!

 ドオォォン……!


 鼓動に似た遠雷!

 赤、朱、紫がうねり混じり合う不浄な空のどこかに!

 こっ怖い! 怖い!

 何かが! 脈動してる!?


 目の前には半壊した大聖堂!

 まるで廃墟! 怖い! 何か不浄なモノが出てきそうで……!


 とその廃墟の大聖堂から!

 宙に! 金色に光り輝く楕円形の鏡がっ!


「「聖鏡ルシェリア!」」


 そう、ミシェリア修道院を守護する魔法の鏡!

 聖鏡ルシェリア! ああっ!

 コックリがさっき言いかけた心強い味方とは、聖鏡なのね!


 ルシェリアはゆっくりと回転しながら近づいてきた!


 "お待ちしていましたよ"


「ああルシェリア……」 アルシャーネさんが安堵の声で。「貴方が来てくれていたなんて。何て心強い!」


 "さあ、あと数分でミサが始まるはずです。大聖堂に入って"


「「はい!」」


 ああ、あと数分! 帰れる!

 守り神のようなルシェリアもいる!

 と安堵したその時……!


      ギゴゴゴゴオォォォ……!


 船が軋む音!

 慌てて視線を……!


「「ああっ!」」


 何!? 何!?

 ヴェセルドラゴンの口から!

 人型の何かが! ワラワラと!

 ええ!? まさ……乗組員!?


「「な、何!? 何!?」」


 おっ大きい! 三メートルくらい!

 特に上半身がバカでかい!

 何!? 全身から! 煙!? 黒煙っ!?

 燃えて!? ええ!?

 体から黒い煙とも影ともつかない何かが立ちのぼり!

 何て邪悪な!


 "何てこと! バルログですっ!"


「「バルログ!?」」


 バルログ!

 人型では上位に位置する魂魔獣だという!

 全身に煙と影を纏う巨人!

 ああっ潰れた鼻からは炎が吹き出る!

 分厚い背中からはサイのような角が何本もっ!

 怖いっ!

 手には! 炎のムチ!

 さらにもう片方の手にはそれぞれ違う武器!

 槍や剣、斧!

 それが七~八体!?


 バルログは船を守るように周りを!

 み、見つかったらマズ……と!


      ゴアアアアッ!


 ひゃああっ! 一体がこちらを指し! 気づか!

 ああっ! 一斉に他のバルログもこっちを!

 ひっ眼! 黒いガラス玉!? 一斉っ! 怖っ!


      ゴアアアアアアアッ!

      ゴオオオオオッ!


 ドドドドドッッ!!


 ひゃああ! 地を揺らしながら!

 瓦礫を砕き、吹き飛ばし!

 私たちに向かい来る! ひゃああっ怖い!


「クッ!」 コックリ! ババッと見!「隊長! 霊力の回復量は!?」

「二十、いや三十パーセントです!」

「では司祭とシスの警護を!」

「はっ!」

「司祭!」

「はい!」

「聖輝光で山の頂き一帯を包むことは!?」

「できます!」

「では十五っ」 その時!


 バルログの数体が! 槍を!

 ビュババッッ!!

 ひゃああっ!! 早っ!


 "あっ……!"


 ルシェッ! 危っ! 避けられ! 当たっ!


「波動砲っ!」 ダンッ!


 コックリが! 間一髪!

 槍を一気に弾き飛ばし! ルシェ、動きが! 遅!?

 戦闘不向き!?


「俺が迎え撃つ! 皆は大聖堂! 聖鏡は遠距離攻撃で俺を援護! 司祭は七秒後、聖輝光!」

「はい!」


 "お任せ!"


「頼む!」


 と同時に! バルログへ!

 駆け出す!


 ああっ気をつけてえっ!

 あと数分! あと数分なんだよぅっ!



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