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67 汚冥界:居住区(城壁内)

 

 ⬛コックリの視点


 俺たちは走る!

 大聖堂を囲う城壁のような居住区の通路を!

 天井が高い! 闇がはびこる! 何かいそうだ!

 さっきはこの闇にグリムリッパーが潜んでいたが! もういない!


「はぁっはぁっ! うあぁ不吉!」 シスが叫ぶ。


 ああ不吉だ! 前に伸びる暗い通路に、赤い光線が斜めに射す!

 猛禽類がひっかいたような鋭く細い窓から!

 不気味だ!

 何て不気味な通路だ!


      ギャリイイイィィンッ!!


 ぐああっ魂を竦(すく)ませる金属音!!

 心臓が! ギュンッと縮む!


「「ひゃあああっ!」」 女性陣が叫ぶ! あの兵長まで!

「くっ、近い!」


 ヤバい! すぐ下にいる!

 ヤバい! 早く大聖堂へ! 早く!


 城壁に似た居住区は上から見るとU字型!

 今俺たちはU字型の左上!

 U字の底部分に大聖堂へ繋がる出入口が!

 もう一分もかからない!


「ああっサマラ! しっかり!」


 司祭が繭に叫ぶ!

 繭の中で! サマラの魂が! 死にかけている!

 魂を削るバアルの存在によって!


「アルシャーネ司祭! 効果があるか分かりませんが聖輝光で空間を満たして下さい!」

「か、かしこまりました!」


 司祭はすぐに聖輝光で空間を満たす!

 うおおっ聖なる力が! 心と体に充満して!

 恐怖や心理的な苦痛といったものが! 和らぐ!


「どうです!?」

「ああっ! サマラの魂が! 少しだけ力強さを!」

「よし!」


 と少し希望を持てたら真逆の方角から!


 ズズンッ!

 ゴゴゴゴッッ!!


「「ひゃああ!」」


 突然の破壊音と揺れ!!

 天井からパラパラと破片が……!!


「揺れが! さっきから何なんだっ!? 大聖堂は大丈夫か!?」


 俺は大聖堂側の壁を見、亀裂のような窓から窺う!

 大聖堂は! この狭い窓から見える分は平気だ!

 頼むぜ、あとちょっとなんだ!


「行きましょう!」

「「はい!」」


 聖なる光に包まれたまま、俺たちは走る!


      ギャリイイイィィンッ!!


「「ひゃあっ!」」


 ぐおお! だがさっきほど魂にダメージはない!

 聖輝光で少しだけ相殺できている!

 相殺できるができればバアルとは戦いたくないっ! 俺も霊力が心もとない!


「コックリ! 前が明るいわ!」


 U字型の左下部分!

 カーブしている部分まで来たら!

 カーブの先が凄く赤く、明るい!

 魔物の胎内を思わせる、おどろおどろしい建屋の内壁が見えるくらい明るい!


「行こう! 行くしかない!」

「「はい!」」


 そのまま走ると!


「うおおっ!」

「「ああっ!」」


 うおおっ! なんだこりゃ!?

 なんだこりゃ!? 何てこった!!


「「建屋が! ない!」」


 そう、建屋がない!

 目の前が!

 拓(ひら)けてる! 何てこった!


 U字型の右半分が! グシャグシャに崩れ!

 中心に位置する大聖堂も右半分が崩れて!

 瓦礫が山のように!

 うおおっ! 何があった!?


 拓けているから、空が!

 赤と紫が入り雑じる不吉な空が!

 至るところで不気味に光る空が!

 こんなに近い!


「ああっ! コックリ!」 シスが指差す!

「うおおっ!」

「「ああっ! ヴェセルドラゴン!」」


 そう! 巨大なヴェセルドラゴンがっ!

 瓦礫と化した居住区の場所に横倒しに!

 さっきの崩壊音はコイツが!


 ヴェセルドラゴンは三十メートル級のゴーストシップにドラゴンの手足が生えている!

 船体の前面には、穴のような巨大な口!

 その口から煙が! と次の瞬間!


 バリバリバリッッ!!


「「ああっ!」」 女性陣が叫ぶ!


 半分崩れた大聖堂の中から雷(いかづち)が!

 ヴェセルドラゴンを撃つ!


      ギゴゴゴゴ……!


 船が軋む!

 おお! 戦ってくれていたのか!

 と、その雷を発生させた主が大聖堂から姿を!

 宙に浮きながら、その美しい姿見せる!


 縦長の楕円形をした一枚の鏡!

 金色に輝く縁(ふち)を持つ鏡!


「「ああっ! 聖鏡ルシェリア!!」」


 "お待ちしていましたよ"



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